緋山酔恭「山水石美術館」 水石・美石を紹介 荒川 梅花石・利根川 梅花石


荒川の梅花石




梅花石で、名高いのは、北九州門司の梅花石、荒川の梅花石

北海道の梅花石(空知川・夕張川)の梅花石ですね


このうち門司の梅花石は

北九州門司の青浜海岸の岩層(天然記念物)より産出され

これを花出しという作業により花を削り出したものです

星型の花は、ゴカクウミユリの化石で

茎がオクラを切るように輪切りされたものです



荒川と北海道の梅花は、じつは生物の化石か鉱物かよくわかっていません


水石の本に、荒川の梅花石について

輝緑凝灰岩中の海百合の化石

と書かれているものをしばしば目にします



現在、唯一人 金生山の更紗花瓶、化石花瓶を作っているのが長谷川さんです

(関ケ原マーブルで売られているものも長谷川さんか、先代の作です)

傑出した名人で、長谷川さんほど石を薄く削って

花瓶に仕上げられる人は存在しないそうです

その長谷川さんに、よい景色ができそうな石を見立てて

提供しているのが、清水さんです

もう80歳に手が届くかたで

墓石の製造などをしている石屋さんです


清水さんは、かつては

花瓶になる更紗や化石を探すのに、山をかけずり回っていたそうで

金生山は「庭」同然と語ります



そんな清水さんに、以前、門司の梅花石の写真を見てもらったところ・・・


梅花石を見て不思議に思ったのは

すべてのうみゆりが「茎の輪切り」になったものであることです

輪切り、縦切り、斜め切り、いろいろ入るのが

化石としては自然と思っていたのですが…

門司の梅花石は、急激な埋没でできたのでしょうか…

というご意見をいただきました






金生山の化石

丸が輪切り、三葉虫のようなのが斜め切り




私は以下ように答えました

門司の梅花も色々入ったものはあります(写真)





イモ虫のような形がウミユリの茎の斜め切り  写真は転写



ただ、水石としては、星型の花と、丸のつぼみがバランスよくあって

他はごちゃごちゃまじらないものが好まれ、評価がつくので

あまり出まわらなかったのではないかと思われます




ところが、荒川の梅花石では

縦切り、斜め切りにされたウミユリなど1つとして見たことありません

私が最初に、石を習ったのが、秩父の寄居のかたで

それこそ毎日のように梅花を拾いに、荒川の河原に行き

部屋いっぱいになるほど、荒川の梅花石を並べていました


つまりこれは、荒川の梅花石が

ウミユリの化石ではないということに他なりませんね(笑)



では、フズリナのような原生動物(アメーバやゾウリムシの仲間)の化石なのでしょうか?

フズリナとは、古生代石炭紀にはじまり,二畳紀末に絶滅した原生動物の一群で

約1億年にわたって存在したとされます

しかし、金生山のフズリナの場合

黒、白、中抜き、瞳様、虹彩様、年輪状…

じつに形状が多様ですので、これも疑問です





なお、全国に様々な梅花石が産出しますが

荒川の梅花石(青の良質なもの)と北海道の梅花石は、とりわけ石が硬質です

また、北海道のものは、花が灰色なのに対して、荒川のものは花の色がキレイです



荒川の梅花石は、大変硬質で、落ち着いた緑の色をしていることから人気が高く

年間100日とか拾いに行く人で

飾れるものは年に一個とか二個しか拾えない状況にあります

さらに銘品となるとなかなか入手は困難です




荒川の梅花石といっても、せいぜい拾えるのは、上流部の寄居(秩父)あたりまでです


荒川の源流は、奥秩父山系の甲武信岳

〔こぶしだけ・甲州(山梨)・武蔵(埼玉)・信濃(長野)の県境にある山。日本100名山〕

だとされます

下流で隅田川が分かれ、本流・隅田川ともに東京湾に注ぎます







日本100名山 甲武信ヶ岳より見る富士 右は黒金山





なお、荒川では色んな石質の梅花石が採れます

大別すると、緑色の青梅花と、黒の母岩の黒梅花ら分けられ

このうち熱狂的に拾われるのが、青梅花の最も硬質のものです



本来、川ずれの自然石を観賞するので

「美石」より「水石」に分類すべきですが

「花モノ」としてくくって紹介したかったので

便宜上「美石」に分類してあります

但し、荒川の梅花は、磨き石でも観賞できます






クリックすると写真が拡大表示されます






横15×高さ(台込)27.5×奥10.5  6㎏弱













頭の白は雲にみたてられます (この台は仮台)



この石は、わたしの最初の石の師匠の自採石です

この方は、秩父の寄居の人で、荒川はすぐそばにあります

なので昔は、荒川の梅花石だけで部屋が埋まるほどもっていました


今ではほとんど手ばなしてしまいましたが

とりわけよいもの数点だけは残していて

そのうちの一石をもらってきたわけです


台座は、タガヤサン(鉄刀木)で本人(大工さんでしたので)の自作です

タガヤサンは、紫檀(シタン)、黒檀(コクタン)、タガヤサンと称される銘木で

木目が美しいのを特徴とします


台座のなかに70と書かれてあり、1970年に自採されたようです



このボリュームでこれたけの景色もさることながら

質と色調と肌が秀逸です

このクラス荒川の梅花を入手するのは奇跡にちかいと言えます












横26×高さ(台込)16×奥11.5  およそ7㎏










この石も、わたしの最初の石の師匠の自採石です

残しておいた一石をいただいてきました


上の石より、白っぽいのですが

それがかえって上品というか味となっています

形が山で、裾の景色が抜群です

雲海を想わせます



横26cmで7㎏もあるわけですから

相当、重くて硬いです


荒川の梅花の名品は、本や雑誌、またヤフオクなんかでもみたことないので

荒川の梅花の本当のレベルを知らない人がほとんどだと思いますが

荒川の梅花の超一級品は、門司や小矢部のそれなどお話になりませんよ(笑)


石の硬さが違いますから


味わいが違ってきます











横18×高さ(台込)17.5×奥11  およそ5㎏
















横19×高さ(台込み20×奥7.5  およそ4㎏





この石は、数十年前、青梅花の原石地で拾われた

ゴツゴツした原石を磨いて仕上げたものです


青梅花の原石地のある大洞(おおぼら)谷は

秩父屈指の荒れ沢で、夏は水量が多く、冬は凍ります

いずれにしても水量の少ない冬にいくしかないのです

原石地まではおよそ2.5時間、往復の沢登りが要求されます


この石は磨き石ですが、景色が素晴らしく

特別の石です














横13.5×高さ(台込)16×奥7  2467g





これも大洞谷の原石を磨いたもの

玉が大きくバランスもよい


石も硬質











横8.5×高さ(台込み)12×奥5.5  684g

青梅花の名品














横13.5×高さ(台込)13.5×奥6.5  2049g




荒川の梅花として名高いのは青梅花、すなわち緑の梅花石です

しかし黒の名品の方が得ることははるかにむずかしいです

黒にはなかなかよいものがありません

この石は黒としては最高クラスのものです

絵柄ばかりでなく、川ずれがよく

形も丸くて申し分ありません












横10×高さ15×奥6  1750g


イボ梅花などと呼ばれる特殊な梅花石ですが

変わっているというだけでそんなたいしたものではありません

ただ石が硬質で、ずっしりと重いです












横26×高さ8.5×奥14.5  およそ3.5㎏




表面は、茶梅花(黄金梅花)の系統です












横14×高さ(台込)15×奥5.5  2360g




このバランスになってくるとなかなか入手困難です

この写真は裏側でなく、石を回転させて撮影しました











横10×高さ(台込)13×奥4  700g





なかなかバランスのよい黒梅花












横16×高さ(台込)11×奥8.5  2015g















横6×高さ1×奥4.5  138g

小品で机におくにはいいです











横20×高さ(台込)24.5×奥7  7㎏弱




これ以上の黒梅花はみたことないですね

そこいらの川で真黒石(まぐろいし)と呼ばれている石より硬質で

玉のバランスがいいです


この質の黒梅花の原石地は、荒川水系入川(いりかわ)上流

車止めからおよそ7時間かかります

千丈滝よりさらに20分の真の沢にあり

そこから荒川の源流(碑が立っている)ところへ

あと2時間もすれば着きます

とても日帰りではムリです

そもそも沢登りの経験のない一般の人では行くこともできません



この石は車止めより40分ほど行ったところで採取された石で

よく川ずれしています












横10×高さ(台込)16×奥6  1621g




玉(花)の大きな青梅花で、バランスがいいです









荒川の茶梅花





横23×高さ(台込)23×奥12.5  およそ6.5㎏










「黄金梅花」として、ブログ紹介されておられる方もいますが

地元では「茶梅花」と呼ばれています


なかなか入手しにくい石です


台座は、関東一とうたわれた桐生の小黒さんの作です














利根川の梅花石




利根川の梅花の魅力は

日本人の好む緑茶色の色彩と、柔ら味を持つ質感にあります

三大梅花をしのぐ色具合と質感を持ち合わせていると言えます

現在では全く拾えない石になっています




利根川は、谷川連峰に近い三国山脈の丹後山付近に源を発するとされ

群馬、栃木、埼玉、茨城、千葉の五県にまたがる大河です

長さ322kmは信濃川(367km)に次ぎ、流域面積1位です


〔流域面積とは、ある河川に雨や雪が流れ込む範囲が流域で

流域面積はその面積をいう〕



江戸時代には物流の大動脈となり板東太郎の異名を持ちます

鬼怒川、渡良瀬川など

その川自体、多くの支流、枝沢を持つ大きな川を支流に持ち

下流では江戸川が分流し東京湾に注がれ、本流は銚子市より太平洋に注ぎます




なお東京都の水道水の大半は利根川がまかなっていて

残りを荒川がまかない

多摩川は一部の地域にとどまるようです








日本100名山 谷川岳 山頂

谷川岳は双耳峰で手前がオキノ耳、奥がトマノ耳(三角点)






日本200名山 谷川連峰最高峰 仙ノ倉山










横8.5×高さ14(台込)×奥5  1124g




枝入り。老梅を想わせます















横14.5×高さ9×奥11.5  1972g


真黒(まぐろ)石の梅花石。枝入り





利根川梅花の場合は、黒地に、緑の玉(花)が多く

このような石は珍しいです










梅花の山としても観れます











横9×高さ(台込み)9.5×奥5.5  548g





梅一輪 あるいは お月見の景で観れます











横11×高さ(台込)14.5×奥5.5  805g


月に星に雲











横35×高さ12×奥29  12.45㎏




この石は、知り合いが谷川岳の沢にイワナ釣りに行って拾ったものを譲りうけたました

原石に近いものです。


玉(花)が飛び出ています











横6×高さ(台なし)12×奥3.5  444g













横9×高さ(台なし)11.5×奥5  855g







利根川梅花の場合は、黒地に緑の玉(花)が多く

緑の地に緑の玉もわりとみますが

緑の地に緑の玉は、秀石がなかなか出てきません














荒川と神流川の梅林石



紫に近い小豆色の地に、粉雪を散らしたような模様をもつ石を

梅林石といいます


梅林は、全国的に拾えるようで

石質も景色もさほど魅力がなく

評価は低いですが

最初の石は、梅林石としては特別キレイで質もわりといいです







横11.5×高さ10×幅1.5  401g












荒川産











横10×高さ(台込)6×奥2.5  238g




石が少しやわらかいのと小品ですが

紅白の花が咲くなかなか得難い景色です

利根川の支流 神流(かんな)川産


梅林石の文様石です













神流川の赤梅花






横8×高さ11×奥3  298g





神流川(かんながわ)は利根川の支流ですが

神流川自体、鬼怒川や片品川などと同様

いくつも支流を持つ利根川水系の大きな川です

群馬県上野村の方から秩父へと至り利根川本流へと注がれます



なお、神流川の支流 三波川(さんばがわ)は

庭石として有名な

三波石の産地です




ピンクはあっても、全国的にも赤梅が拾えるところは耳にしたことはなく

小品ながら希少です


神流川でも紅梅花はめったに拾えない貴重な石です


ちなみに荒川では赤梅花は拾えません











横4.5×高さ(台込)10.5×奥3  223g




こちらは小品ながら

玉がよくでています


石は磨いてあります











横10×高さ(台込)15×奥5  837g














荒川の紋様石

梅花とつばき



紋様石というのは、石質としては

多くはふつうの川原の石ですが

天工の妙を楽しむものです






横7.5×高さ9.5×奥3  296g


















横9.5×高(台込)17×奥6  1800g




つばきの白


花に黄色の芯まであります

まさに天工の妙ですね












横9.5×高(台込)14.5×奥6  855g

つばきの赤


子供のお絵かきのようですが・・・







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