緋山酔恭「山水石美術館」 全国の水石・美石を紹介 五城目孔雀石


五城目孔雀石




五城目孔雀石は30数年?ほど前に、秋田県の五城目の国有林「国有地」で発見され

期限付き(2年ほどらしい)で採掘された石で、もちろん今では採掘できない幻の石です







あくまで超一級品の話ですが

色彩石の王者は、佐渡の錦紅石と、羽茂五色石が双璧をなしていると言えます

これに続くのが、五城目孔雀石でしょう

希少性からすると、錦紅石をしのぎ、羽茂五色石と双璧をなしています


また、五城目孔雀は、紋石でもあります

紋石では、岐阜の菊花石が別格です

質、種類の豊富さ、世界のどの菊花石も足元にもおよびません


しかし、五城目孔雀石も別の意味で別格なのです

ジャスパーの硬度をもち、これだけの目玉模様をもつものは

世界的にみても

2000年にマダガスカルで発見されたオーシャンジャスパーと五城目孔雀だけです


ジャスパーの硬度をもつゆえ、内面からにじみだすような輝きをもちます

この点において、岐阜の孔雀石などお話ではないのです


このように、五城目孔雀石は、色彩石と紋石にわたり

日本では別格、世界でも希少な石と言えるのです






クリックすると写真が拡大表示されます






横18.5×高さ(台込)13.5×奥3.5  2097g













この石は、著名な石の収集家 静岡県在住の一刻爺さんこと

田旗さん(故人)のもとに行ってゆずってもらったものです

五城目孔雀は、ほとんどが黄色系のもので

ピンクのものは稀というかほぼ存在しないようです
























横3.5×高さ5.5×奥2.5  90g








この石は、仙台の宝石店アレックスさんからいただいた

五城目孔雀石の1つです


なんでも亡くなられた先代が、美石を収集を趣味としていたということで

運よく五城目孔雀が入手できたわけです



マメ石ながら両面ともになかなかの景色です

津軽錦石の鹿の子石に似ています











横17.5×高さ11×奥3.5  761g




この石も、仙台の宝石店アレックスさんからいただいた

五城目孔雀石の1つです



五城目孔雀の質のよさがうかがえます











横4×高さ(台込)7×奥1.5  87g




この石も、仙台の宝石店アレックスさんからいただいた

五城目孔雀石の1つです



小品ながら玉がよく出ています











横5.8×高さ(台込)8.5×奥2  212g


この石も、仙台の宝石店アレックスさんからいただいた

五城目孔雀石の1つです



小品ながら色合いが面白いです










横10×高さ(台込)7.5×奥4  475g




この石も、仙台の宝石店アレックスさんからいただいた

孔雀石の1つです



この石は

先代が亡くなられているのではっきりしたことは分からないそうですが

五城目とは別の場所で採れた秋田の孔雀石ということでした



しかし底をみると石英質で、五城目かもしれません











この石も、仙台の宝石店アレックスさんからいただいた

孔雀石の1つです



横10.5×高さ7×奥8  741g











横10.5×高さ13×奥8.5  1412g







この質の良さ!!


この石は、仙台の宝石店アレックスさんからいただいた五城目の中では

最高のものです



「梅花」と呼ばれ

かつては、ちかくの信用金庫に貸し出したりもしたそうです












横.5×高さ(台込)13.5×奥11  896g




この石も、仙台の宝石店アレックスさんからいただいた

五城目孔雀石の1つです



青の五城目孔雀石です

非常に珍しいものです












横11.5×高さ(台込)8.5×奥5  647g


この石も、仙台の宝石店アレックスさんからいただいた

五城目孔雀石の1つです



桜山に見れます











横10.5×高さ(台込)7×奥1  232g




この石は、著名な石の収集家 静岡県在住の一刻爺さんこと

田旗さん(故人)のもとに行ってゆずってもらったものです


小品ですがとてもキレイです











横23×高さ(台込)32×奥14  12㎏強
















秋田の草薙工務店さんよりいただきました

草薙さんは石の収集家でもあります

この方は、美石の収集家でもあり

このとき男鹿の青石もいただきました


五城目孔雀石の一級品は

秋田市の何十周年などといった特別の行事に飾られるようで

一般の水石の展示会ではみることもできないらしいのです

この石はそうした記念のイベントに何度も出展しているとのことでした










孔雀鹿の子





横21×高さ(台込)26×奥13  8㎏










この石は、岐阜の孔雀ではありえない

ジャスパーの質と、美しさをもちます

しかも両面みれます


ただ、産地が、五城目なのか、津軽錦石の鹿の子石なのか迷いました


正直、私以上に、全国の美石を収集した者は存在しないはずなので

私が特定できなければ、特定できる人はいないと思います


むろん「これとそっくりな石を見たことがある」

という地元の業者さんなり

収集家の方がいれば別ですが・・・・



中心の玉模様は「鹿の子」であり

母岩というか赤い部分は「孔雀」といえます



五城目とみるの場合は

出てきたのが秋田の骨董屋さんからだということが

最大の根拠になります



五城目でないのでは? との疑いは

五城目の場合、石の一部がえぐられ

そこに水晶(石英の結晶)がみられることが多いのに

それがみられないこと


また、五城目の場合、黄色が主体であり

赤やピンクは一部に混じってくるというものであるが

この石は赤が主体であることです




一方、鹿の子ではないのでは? との疑いは

鹿の子の場合、色んな種類がありますが


大きなものでも

せいぜいこぶしよりちょっと大きい程度である

(小田桐錦石研究所の小田桐さんの話)

ということ


それと、色彩や模様が、やや複雑すぎやしないか

ということです






以下、転写















わたしの中では、五城目50%、鹿の子50%とみています

いずれにしてもものすごい石です


長野の月水苑の月水先生は

天から資格を与えられた人間だけがもつことのできる石を

「天稟石」(てんぴんせき)と表現しますが

まさにそのレベルの石だと感じています



石に選ばれたことに感謝です(^o^)/






その後

このような↓鹿子石を目にするに至り

私の石の鹿の子部分に類似していること












また、孔雀の羽模様は

この石↓に似ていること







以上のことから

鹿の子石であることが

ほぼ確定的と言えると思います













石の曜変天目



ヤフーオークションでこの写真をみたとき





以下のような判断をして入札しました



1、磨くと丸い模様があらわれる

「オビキュラー・ジャスパー」の世界的なものは

マダガスのオーシャンジャスパーしか一般に知られていないが

五城目孔雀もその1つと言える


(津軽錦石の鹿の子や、中国の雨花石は、玉がちいさい)



オーシャンジャスパーの

以下の写真は、天使のsizuku という

天然石(パワーストーン)のアクセサリーショップの

サイトの写真をお借りしました

https://shizuku.ocnk.net/product/2117



















この写真は

ディヴァインエンジェルプレイス

というアクセサリーショップの写真を借りました


おそらく、色彩的には一級品のオーシャンのようですが

サイズはかなり小さいと思われます


そう考えると

一刻先生からいただいた五城目孔雀は

こうしたタイプの石では、世界級なのかも知れません





ちなみに、雨花石(うかせき)というのは

雨に濡れると花のように美しくなるため

「雨花石」と呼ばれるようになったという説もあるようですが


中国・南京市の雨花台でよく採取されるので、そう名付けられた

というのが正しいようです



以下の画像は転写です













画像を見ると

雨花石は、津軽錦石(鹿の子)に近いことがわかります





2、そもそも縞瑪瑙の中には、同心円(二重以上の円)をもつものは多く

とくに目玉模様の綺麗なモノはアイ・アゲート(目玉瑪瑙・天眼石)

と呼ばれているが、写真の石は違うように思える





目玉模様をもつ川ずれ水晶というかメノウ

(佐渡産・知り合いの自採 55gのマメ石)








3、オーシャンジャスパーは2000年に発見された新しい石で

石の台座の古さからいって五城目の可能性が高い



4、先に青の五城目を入手していたので

やはり五城目かな?



5、ただ裏側の写真でみると、巣穴が多く

もしかしたら新潟ぼたん程度の(母岩の柔らかい)

中国の石なのかな?



6、この写真だと、冒険入札になるので、出せて2万だな



5、自分と同じ考える者がいるかもしれないので

2万5千入札ておこう

もし五城目なら掘り出し物だし



と判断し、用事から帰ったら、2万2千円で落ちていました






の石を手にして、まず一声

「うわwww綺麗」

「なかも水晶でみたされていて最高の質だ」でした





しかしつぎに疑問が浮かびました

「これ染めているんじゃないか?」

あまりの美しさから疑いが湧きました








石英鉱物は、目に見えるほど大きく結晶しているもの

つまり顕晶質(けんしょうしつ)のものを「水晶」と呼びます


一方、ミクロサイズの結晶が集まった

潜晶質(せんしょうしつ)のものは


「カルセドニー」(玉髄)、「瑪瑙」(アゲート)

「ジャスパー」(碧玉)に分けられます



「カルセドニー」(玉髄)と

「瑪瑙」(アゲート)は、半透明なモノ



「瑪瑙」(アゲート)は

カルセドニーのなかで模様の美しいモノをいいます



これに対し、ジャスパーは不透明なモノを指します





日本ではジャスパーでもとりわけ美しく透明感のあるモノを

五色瑪瑙(佐渡の錦紅石)、羽茂瑪瑙(佐渡の羽茂五色)

出雲瑪瑙(花仙山のジャスパー)などと呼び

メノウは「美称」にもなっていますが

基本ジャスパーですし、世界的には瑪瑙はありふれた石です



但し、佐渡の錦紅石を化学的に研究した人の本によると

白い部分は瑪瑙らしいです



白、半透明じゃないじゃないか!! という話になりますが

スライスしたときに半透明なら「瑪瑙」らしいのです


ただ【何センチにスライスしたとき】などといった規定はなく

そこはあいまい



厳密には不純物を20%以上含んだ

不透明なものをジャスパーというそうです




さて、このように瑪瑙は、潜晶質ゆえに

すきまがあり、染色することが可能です


瑪瑙を染色したものは結晶の密度の違いによって

コースターの写真ようになります





転写



ところがこの石は、白い部分が染まっていなかったり

まるで自然の色のような濃淡を示しています


このような染色ができるのでしょうか? 

ただ裏をみると明らかに染めた印象をうけます







関係のある幾人かの水石業者さんに聞きましたが

ジャスパー、瑪瑙に関しては

それほど関心がないようで

石の産地、製造方法 不明というところです



月水先生は石の模様と色合いから

「まさに曜変天目」

言っておられましたが


石の産地、製造方法が不明ということからもそう言えるのです(笑)




なお、岐阜の石友さんからは

色を見たとき、藍銅鉱(アズライト)に近いと思ったんです

秋田県なら、尾去沢鉱山や、阿仁鉱石で

アズライトが産出されてますので

五城目に、藍銅鉱混じって孔雀柄なのかなぁ?って思いました

との見解をいただきました





アズライト  転写




アズライト  転写






横28×高さ(台なし)24×奥10.5  11㎏強

















その後、色々、勉強した結果

天眼石ではないかと思うのです



アイ・ゲート(目玉瑪瑙)でとくに有名なのが

チベット産の「天眼石」です


チベット仏教のダライ・ラマ14世がノーベル平和賞の授賞式で

身に着けていたことでも話題になったそうで


チベットの僧侶が好んで愛用し

数珠(法具や護符)として用いられてきたようです


天眼石(アイ・アゲート)は

チベットでも多く産出されるため「ネパール・アゲート」や

「ゴビ・アゲート」とも呼ばれているそうです


現在では、中国やアフリカでも産出されているそうですが

パワーストーンとしては、チベット産が人気とありました



以下の画像は転写です
















以下の石と同様、入手した石も

染めていないのでしょうか?




















曜変天目茶碗について



曜変天目茶碗は、現在の中国福建省建陽市で作られたとされます

完品で現存するものは世界でわずか3点しかなく

そのすべてが日本にあり国宝とされています

いずれも南宋時代(12~13世紀)の作とされますが、作者は不詳です


以下、写真は転写です


なお2009年末に、中国で2/3ほどの形をとどめる茶碗が発見されています

工事現場に重機が入って作業をしたということで

割れた状態、破片として2/3が発見されたのです

出土場所はかつて宮廷の迎賓館のような建物があった場所とのことです













また、MIHO MUSEUM

〔ミホ ミュージアム・滋賀県信楽町。世界救世教から分立した宗教法人神慈秀明会運営〕に

加賀藩主前田家伝来の曜変天目があり、重要文化財に指定されています

かつては「鞍馬天狗」シリーズの作者として有名な

大佛次郎氏(おおらぎじろう)が所蔵していたそうです

但し、国宝3点とは異なり、曜変は内面の一部に限られ

この天目茶碗を「曜変」と呼ぶかどうかは議論があるといいます












国宝3点のうち、最も美しいとされるのが

世田谷の静嘉堂文庫美術館の「稲葉天目」とされ

徳川将軍家→淀藩稲葉家→小野哲郎氏(三井)→岩崎家(三菱)

に渡り現在に至っています


小野が大正7年に買い取った価格が16万8千円

現在の金額でいうと16億8千万円といいます

昭和9年に約9万円位の値で岩崎小弥太氏の手に渡ったそうです













稲葉天目とともに名高い「藤田天目」は

水戸徳川家に伝わった曜変天目で

大正時代に藤田財閥(阪神財閥の1つ)に移り、藤田美術館(大阪市)に収められています













3つ目の「大徳寺天目」は、安土桃山時代の堺の商人で

千利休らとともに茶湯の天下三宗匠と称せられた津田宗及から

その子 京都大徳寺の龍光院の初世住侍 江月宗玩に

伝わったものとされますが詳細は不明です

大徳寺所蔵で一般公開はされていません













なお、テレビ東京系の「なんでも鑑定団」(2016年12月20日放送)で

"4点目"が新たに見つかったと放送されたものがあります


古美術鑑定士 中島誠之助氏が「曜変天目に間違いございません」と断言し

「22年の番組史上最大の発見」

「信長、秀吉、徳川家康が持ってさらに現代に伝わっていれば、国宝になっていたかもしれない」

として、2500万の値をつけたところ



陶芸家・九代目長江惣吉氏が

「番組を見ていて思わず絶句しました

どう見ても中国の商店街で売っているまがい物にしか見えなかった」

と語り、問題になったものです




現在、徳島県徳島市でラーメン店を営む橋本さんというかたの所有で

曽祖父が、腕利の大工で

戦国武将 三好長慶(みよしながよし)の子孫の屋敷の移築を請け負った際に

大金を投じて買い取ったものの中に入っていたものというお話でした











曜変天目茶碗の「曜変」は

もともと陶磁器を焼く際に窯の中で予期しない色に変わる「窯変」という言葉に由来し

のちに「星」や「輝く」という意味の「曜」が用いられるようになったとされます


「天目」は。鎌倉時代に中国へ渡った禅宗の僧侶たちが

天目山の寺院から持ち帰ったことが語源とされ

黒いうわ薬のかかった茶碗を一般的に「天目」と呼ぶそうです



曜変天目茶碗が価値をもつ最大の理由は

その紋様の制作方法が解明できないところ

再現不可能とされてきたところにありました






長江氏の再現(20006年製作)






どうですか?

曜変天目茶碗をみて・・・

もちろん工芸品としては素晴らしいですね


しかし石に比べて、作為の匂いがぷんぷんでしょ

玉なんかとくに・・・

金生山の更紗花瓶、化石花瓶のほうがよっぽどいいでしょ(笑)



人間の作ったものなど

石に比べたら所詮「おもちゃ」なんですよ

モノそのものでなく

歴史や、技法に価値がつくのです












銘 隠れ猫   金生山更紗花瓶



こうして比べれば

一目瞭然

中学生でもわかりますね








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