緋山酔恭「山水石美術館」 蛇尾川石、小口川石、荒井川石、湯西川石


蛇尾川石

(じゃびがわ・さびがわいし)




蛇尾川は、那珂川(なかがわ)水系の箒川(ほうきがわ)支流で

栃木県那須塩原市の大佐飛山地に源を発する大蛇尾川と小蛇尾川が

山地を抜けた地点で合流して蛇尾川となるそうです


大蛇尾川と小蛇尾川の合流地点より下流の中流域では

伏流水として流れる水の無い川となっていて

橋もかかっているものの水が流れていない

もしくは水量の少ない流れがまばらに出現するような枯れ川の光景が

十数キロに渡って連続しているといいます


ところが大雨になると、大量の水が流れ、過去に幾度も洪水を出した川だそうです

大田原市郊外で再び地表に流れ、箒川と合流するそうです



ちなみに那珂川は、栃木県北部那須郡那須町の那須岳山麓を源とし

茨城県のひたちなか市と東茨城郡大洗町の境界部で太平洋に注ぐ

関東第3の大河(150㎞を流れる)であるとともに、関東随一の清流としても知られ

アユが遡上する川として親しまれています





日本100名山 那須岳  転写




クリックすると写真が拡大表示されます






横23×高さ9×奥14.5  およそ4㎏
















茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました









小口川石

(こぐちがわいし)




小口川は、那珂川(なかがわ)水系の河川ですが

小河川なのでしょう

ネットで調べても詳しいことが書かれていません






転写




ネットで調べても詳しいことが判らないような河川ですが

瀬田川のカニ真黒と区別のつかない硬質の石が採れることで

地元では知られているようです






横23.5×高さ(台込)17×奥12  およそ6.5㎏




茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました


質は、かなり硬質です











横30×高さ9×奥12  およそ3.5㎏








この石は、後ろがないですが

質は上の石ほどではありませんが

カンカン響き

虎石としてはかなり硬質です


また瀬田の虎と梨が合体したような面白い質の石です


茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました









荒井川石




荒井川は、盆栽のさつきで有名な鹿沼市を18kmを流れ

大芦川と合流する利根川水系の小河川で

鹿沼市上久我寄栗地区の上流にある大滝を源流として

水のきれいな川として知られているそうです




ちなみに

利根川は、谷川連峰に近い三国山脈の丹後山付近に源を発するとされ

群馬、栃木、埼玉、茨城、千葉の五県にまたがる大河です

長さ322kmは信濃川(367km)に次ぎ、流域面積1位です


〔流域面積とは、ある河川に雨や雪が流れ込む範囲が流域で

流域面積はその面積をいう〕



江戸時代には物流の大動脈となり板東太郎の異名を持ちます

鬼怒川、渡良瀬川など

その川自体、多くの支流、枝沢を持つ大きな川を支流に持ち

下流では江戸川が分流し東京湾に注がれ、本流は銚子市より太平洋に注ぎます







以下、関東Ⅰ、関東Ⅱにわたって紹介する石の産地

荒井川、湯西川、渡良瀬川、桐生川、武尊(ほたか)川は

全て、利根川水系の河川です







横24×高さ(台込)15×奥13  4㎏弱



















硬質で、荒井川の名を連想させる

特徴のある荒い肌をしています



茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました

株木さんの話では、石裂(おざく)沢の石が

本流に入り、川ズレしたものとのことです





なお、片山貞一氏とともに

樹石社を立ち上げた 村田圭司氏の

父 村田憲司氏が

東京の三越で、日本水石会の展示会を催したさい


株木さんがお付き合いで

出品したのが

この↓荒井川の石裂沢産の石だったといいます






実物は、もっと黒く、肌が荒いです



目算で、10㎏程の狛犬の姿石で

荒井川のほとりに、荒井本家という地元の名家があり

(荒井川という名称もそこからきたのではないかと株木は推定)

そこの庭石の上に置かれていたといいます



その荒井本家の娘が

ウジイさん

(この方はお亡くなりになっており

また古い話なので、どのような漢字だったかは覚えていないそうです)

という地元の製材所の家に嫁にきたそうです



狛犬の姿石は、こうした経緯で、ウジイさんの所有となったそうです


株木さんは「おそらく明治の時代に揚げられたものではないか?」

といいます




株木さんは、このウジイさんと

20年?ほどお付き合いがあったことから

狛犬の姿石を借用し、三越の展示会に出品したのだそうです




すると、日本水石会の会員らは驚き

当時、まだ業者として駆け出しであった株木さんに

会員の1人が

「株木君、このような石が関東で採れるはずがないよ」

と言ってきたというのです



じつは、これは、鎌をかけたのであり

この質の石が「石裂沢」で揚がることを

株木さんが語ると


会員たちが、大挙して、石裂沢におしかけ

石がみんななくなってしまったそうです




荒井川石といっても

たくさんの沢が本流に合流し、できています


そのうちどこの沢が、原石地なのか?

これを他人に明かすものではない

とそのとき、株木さんは悟ったそうです




また、この狛犬の姿石によって

荒井川の石、とくにその石裂沢の石が

水石界において

知られるようになったわけです




この狛犬の姿石は、現在、株木さんのもとにあります











横18×高さ(台込)6×奥8.5  799g







荒井川の石としては、珍しく川ズレがよく

小ぶりながら、硬質で肌合いがいいです


茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました













湯西川石




湯西川は、栃木県北西部を流れる利根川の支流 男鹿川の支流です

帝釈山脈枯木山を水源とする三河沢川と橋立沢の合流点を起点し

22.5kmに渡って流れ

五十里湖にて男鹿川と合流します


湯西川の渓谷沿いには、平家の落人伝説の残る集落で知られる

湯西川温泉(日光市)があります




以下の2石は、茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきましたが

株木さん曰く

「全国の業者さんでも、湯西の石を扱うのは、うちぐらいなもの」

とのことです







横30×高さ21×奥19  18㎏弱










この石は、沢のほうで採取されたのでしょうか?

土中石の雰囲気をとどめています


質は、硬質砂岩の豊似石(北海道)や

外装の取れた佐治川石の芯に、似ています

もっとも佐治の場合は、川ズレしていますが・・・


もちろん底も切っていない自然です



もちろん茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました











横46×高さ15×奥29  22㎏弱







以上の3枚は、フラッシュなしで撮影し

石の色を実物に近づけるため修正しています


以下の4枚は、フラッシュ撮影しました

フラッシュ撮影の色ほうがむしろ実物に近い色が出ます















この石は、株木さんが

「20万で買ったと言ってもとおる石ですから」と語った

荒磯景の名品です



もちろん底切りなどしていません



世に出ている瀬田の名石のような

「なぶってんじゃない?」 (いじくっているんじゃない?)

と感じさせるようなところが

みじんもないのが株木さんの石のよさです



株木さんは、底切りして薄い水盤で観賞することが流行ったときも

けっして底は切らないという信条を守ってきたかたです



水石人口が減って、ホントに石が好きな人だけが残った現在

ヤフオクをみていても

底切りはみる影もありませんね




底切りするとすごい石になります

とくに裾野部分の入り組み方なんかすごい石になります

川に入ればそんなのもちませんからね



では、なぜ底切りがダメなのか?

それは

私たち人間は、眼という感覚器官を通して入ってきた情報を

脳で観賞するからです

心(脳)のどこかに「底切り石」という意識があると

眼ではすごい石であっても

それがひっかかって楽しめないわけです







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