緋山酔恭「山水石美術館」 全国の水石・美石を紹介 佐渡 錦紅石


佐渡 錦紅石

(きんこうせき)




世界に誇れる 日本の色彩石の王で

佐渡の石の中でも一番人気の石です


絵の具を溶かしたような色調が特徴で

佐渡北東の岩谷口(いわやぐち)から産出され

「岩谷口五色」とか「五色メノウ」とも呼ばれます


昭和40年代初頭には産出は終了し

一級品のものを手にすることは非常に困難といいます




なお、島津光夫著 佐渡の赤玉 (佐渡名石協会発行)によると

著者の科学的な観察の結果

錦紅石の赤の部分は、ジャスパー

白の部分は、瑪瑙 であると判明した と書かれています





クリックすると写真が拡大表示されます






横22×高さ(台込)25×奥14  およそ5.5㎏














佐渡の錦紅石の欠点を言えば

白の硬質化した泥(石灰?)が混じるところです

硬質化した泥の多少は、錦紅石の価値を判断する1つになります


















現在ただ一人、佐渡で、原石から仕上げまでする

石磨き職人 高野さんよりいただきました





ちなみに、錦紅石(岩谷口五色)

が産出した場所は

現在、新潟県道45号佐渡一周線という道路の下に

埋まってしまっています



この佐渡一周線は

佐渡国際トライアスロンや

佐渡ロングライド(サイクリングイベント。タイムを競うレースではない)

でおなじみで


佐渡の海岸線の一周が約280kmであるのに対し

道路の一周は約200kmあるそうです


このうちの国道部分(国道350号線)を抜いた

県道佐渡一周線(県道45号線)の距離は167kmで

日本一長い県道なんだそうです








錦紅石の名は

江戸時代の文献にもみられるそうなので

かなり古くから知られていた石のようですが


昭和39年頃に

この道路の整備がはじまり

以来、錦紅石の採石ができなくなり


現在、原石は

分厚いアスファルトの下に

眠ってしまっているわけです












横7×高さ7.5×奥6  357g




海ずれの自然石

みごとに丸い















横4.5cm 33g のマメ石

海ずれの自然石











横4cm 80g のマメ石

海ずれの自然石


この石は、錦紅石というより

海ずれの錦紅の拾える海岸でとれた瑪瑙というべきでしょうか・・・











横7.5×高さ7.5×奥2.5  171g 小品


茶色系の錦紅石

高野さんにおまけでいただいたものです












横18×高さ(台込)11.5×奥8.5  1530g







佐渡の大澤商会さんからいただきました


最初に入手した錦紅石で

まだ、高野さんや市川さんとのお付き合いがなく

22万だったと記憶しています


高野さんによると

佐渡の錦紅石の基本的な全色は、赤、ピンク、紫、黒

だそうですが

この石は、さらに黄色、抹茶、薄茶まで入り八色です



なお、もともとは、写真の石でしたが

顔のように見えるので

満天菊さんに、仕立て直してもらいました









昭和41年、石井銘石店刊行の 石井喜右衛門著「石のこころ」にみられる

この石とわりと似ている錦紅石です












一級品の錦紅石を求めて



様々な美石を集めてきたのですが

私の中で、佐渡の錦紅石は特別な存在でした


そんな錦紅石への想いが膨らみすぎ

幻想的な錦紅石を私の中につくりあげていたのかもしれません・・・



錦紅石の素晴らしさは、なんといっても絵の具を溶かしたような色彩


紅・白、その中間色のピンクや薄紫が混じりあって

織りなす色調は、日本人の誰もが心惹かれるものでしょう



逆に欠点は、母岩の部分が多かったり


硬質化した泥

(硬質化したといってもジャスパーに至らなかった白い軟らかい部分・)

が混入するところにあります


ただ、白い軟らかい部分が混入するゆえ

それが赤に混じって錦紅独特の色彩ができあがったのかもしれません





例えばこの石

一見、素晴らしい色彩にみえますが

ジャスパー化されてない部分を多く含みます






こういったものでなく

私が幻想として求めたのは


ほぼ全部がジャスパー(泥を含まない)で

多彩で、絵の具を溶かしたような色調をもち

しかも色、とくに赤が鮮やかで

大きさが10㎏を超えるもの

でした


しかしそのような錦紅石は

存在しないのかもしれません



高野が

「過去に売った最高の五色の錦紅石」

と語る写真がこれです


私の幻想から言わせると

この石でも、もう1つピントきません


値段は150万で取引されたそうです









クリックすると写真が拡大表示されます



横30×高さ(台込)21×奥18




ちなみにバブルの時代に

ほぼこれと同じ色彩のドラム缶大の錦紅を

さる誰もが知る有名な会社の代表に

売ったときの値段が

なんと1億円だったそうです


大きいから値段が高いというのもあるでしょうけど・・・






私が先日入手した石は

以下の石として

事前に、佐渡の銘石会の副会長をしている

市川さんから写真が届きました






実際には、写真より若干、劣ります


(写真は、実物の石より色濃く

また透明度が高く写されている)













とはいえ、これまでみてきた錦紅石の画像や

今回、高野さんから送られてきた写真をみても

色彩、照りに関しては

これ以上の

錦紅石はないのかもしれません


これで10㎏を超えるものがあれば

日本一クラスなのかもしれません





ということで、購入しましたので

ここに画像を公開します


完全に色を同じにすることは不可能ですが

わりと、実際の色に近く画像処理できました






横16×高さ(台込)17.5×奥13.5  およそ3.5㎏













こちらの面は、メノウ化した部分が多く入っています

錦紅石の別名 五色メノウの名にふさわしい石です








正面、側面、裏側で

これだけ全く違う色彩が見られる石も珍しいです







裏面は、この石に近い感じです


 
 現代名石譜 日本の観賞石 (石乃美社)に

見られる錦紅石
   笠原学さん(故人・水石業者)の

山水園に展示されたときの写真









赤主体の錦紅石





横29高さ(台込)20×奥25  8㎏強








うぐいすが枝にとまっているようにも見えます





このように観ると、左下を谷に見立てることができ

山に鶯としても観賞できます











以下の写真は、いずれも一級品、あるいは凖一級品の錦紅石ですが

こうした石に比べて、今回入手したものは

いかに、硬質化した泥が少ないか

また赤が優っているかが

お判りいただけると思います




写真は、転写です








































全部がジャスパー(泥を含まない)で

多彩で、絵の具を溶かしたような色調をもち

しかも色、とくに赤が鮮やかで

大きさが10㎏を超えもの


高野さんに探してもらいましたが

やはりムリでした



ただ、高野さんの懇意にしておられる知り合の方が

赤色が主体の錦紅石をもっている

大きさも8㎏ある ということで

高野さんに、その方に交渉してもらって

入手できたのがこの石です



このように赤が主体で、ノロ(硬質化した泥)が少ない錦紅石も

まずないとのお話です



値段は片手(50)をいってしまいましたが

それほど錦紅石のいいものは希少ということですね










硬質化した泥について





横12×高さ(台込)21×奥11  4㎏弱


この石は、加賀瑪瑙で、白山紋石庵のご主人 山下さんよりいただきました

山下さんの自採石で、自身による磨きです


山下さんはこうおっしゃられます

「加賀瑪瑙は、泥の中でできるのだろうか? 欠点は、泥がまじること」

「石灰質の泥だと思う」

「仮に、さらに何万年と地中に埋もれたなら

この泥も、ジャスパーやメノウになるのかもしれない」

「ただ、これが加賀瑪瑙の特徴であり、証拠と言える」







横15.5×高さ(台込)23.5×奥9  4.5㎏


この石も、加賀瑪瑙で、白山紋石庵のご主人 山下さんよりいただきました

山下さんの自採石で、自身による磨きです





上の2つの石のように

泥も景色として観れる石なら、「景色」としては問題ありませんが

その部分が、ジャスパーやメノウではないことは、誰が見てもわかります




どのような観賞石であれ、景色として完全な石であっても

質として他に落ちるとしたら、一級品とは言えても

最高級品の評価は与え難いですよね


とくに、翡翠なんかの場合、質(透過性)が

ほぼその石の評価を決めてしまうほど重要視されます





横17×高さ(台込)27×奥8  およそ4.5㎏


この石も、加賀瑪瑙で、白山紋石庵のご主人 山下さんよりいただきました

山下さんの自採石で、自身による磨きです



上の2の石に比べると

母岩のジャスパー化が劣り

泥っぽさが、アラ(欠点)として目立ちますが

その分、水晶が景色を補っています





上の石の裏側




但し、石灰岩の変成したものは、大理石であって

石灰岩(炭酸カルシウム CaCO3)と

玉髄やメノウ(二酸化ケイ素 SiO2)とでは

成分が違うので

石灰岩が玉髄やメノウになることはありません




化学変化では、原子の集まり方が変わるだけで

ある原子が別の種類の原子に変化することはありません


(なので質量保存の法則が成り立ち

卑金属が、金になるなどといった錬金術は

ニセ科学であったとされています)




佐渡の赤玉石は、約2300万年前の変質した

安山岩や凝灰岩の中に脈状に出ていて

おそらく、含金銀石英脈をつくった熱水溶液(約200℃)よりも低い

シリカや鉄分の多い熱水溶液が

岩石の割れ目に入って固まったものであろう

とされています


シリカとは、二酸化ケイ素および

二酸化ケイ素によって構成される物質の総称で

自然界でもっとも最も一般的な形状が石英です




土岐石は土岐砂礫層から産出されたといいます

樹木が火山灰に埋まり、火山灰には珪酸が多く

この珪酸成分が樹木に染み込んでいったとされます

そして地熱の影響で炭化され、さらに碧玉化されていったと考えられています




ちなみに、シリカとは、SiO2のことを指し

ケイ酸とは、H4SiO4あるいはSi(OH)4のことを指します


一般に液相の場合(溶液中に溶解している場合)は「ケイ酸」

固相の場合は「シリカ」と表記することが多いそうです




すなわち、錦紅石のノロとかガスとか呼ばれている部分は

石灰岩にしろ、泥質の岩にしろ

シリカ成分を含む熱水の浸透が十分でなかった部分である

と言えるのではないでしょうか






ウキペディアに

菊花石の成因の説の1つとして

玄武岩の中に放射状の割れ目ができ、この中に方解石や玉髄等が入り

花の模様ができたもの、又は方解石が石英等に置き換わった

と書かれてあります



方解石とは、石灰岩の主成分であり

石灰岩とは方解石の集合体を言います


玉髄とは、半透明の石英(不透明なものはジャスパー)をいうので


方解石が石英等に置き換わったと書かれているということは

地中深く、とてつもない高い圧力のもと

地熱の影響により

石灰岩の一部が、ジャスパーに変化する

可能性もあるということになります




しかし、ある原子が別の種類の原子に変化するには

もともとその元素が、放射性同位元素である場合か


核分裂、核融合といった原子核反応しかないのです



核融合というのは

太陽などの恒星でみられる現象で

これを利用したのが水素爆弾です



核分裂は、原子力発電や原子爆弾にみられる現象です



天然の原子炉は

ガボン共和国〔中部アフリカ。西は大西洋のギニア湾に面している〕の

オートオゴウェ州オクロにある3つのウラン鉱床で

核分裂反応があった場所が16箇所見つかっているといいます


このオクロの天然原子炉が、天然原子炉として唯一知られているものです




そう考えると、石灰岩の花が、メノウ花になる

というのは、おかしいのではないでしょうか?




石灰岩は、あくまで大理石へと熱変成するのであって

ジャスパーにはならないと思います





この(ウキペディアの話)場合、1つ考えられるのは

石灰岩といっても

チャート質を含むものだったとすると

あるのかもしれません



石灰岩は、貝類やサンゴなどの水中動物の

貝殻や骨格などが水底に積もって出来た堆積石で

主成分は、炭酸カルシウムです



チャートも堆積岩の一種ですが

主成分は、水晶、メノウ、ジャスパーと同じ石英です

この成分を持つ放散虫・海綿動物などの動物の殻や

骨片(微化石)が海底に堆積してできた岩石と言われています


じつはチャートも、ジャスパーほどの硬度をもちます







紅加茂石  およそ36㎏


紅加茂は、チャート系の鑑賞石で、最も知られています





桐生川(朝日沢産) 赤更紗石 8.5㎏


桐生川更紗は、紅加茂石とともに

チャート系観賞石の代表で

ジャスパーとは違った独特の色味をもちます




桐生川更紗石 (旗川産)  6㎏弱






なお、大理石は

石灰石が、地中(マグマ)の熱によって熱変成を受け

再結晶化した変成岩ですが

純白なものは

石灰岩が再結晶するときに不純物が除かれたのだそうです







いずれにしても言えることは、佐渡の赤玉のように

シリカや鉄分の多い熱水溶液が

岩石の大きな割れ目に入って固まったものとは違い


錦紅石というのは

岩盤=岩石=母岩の一部が、ジャスパー化したものということです





菊花石の場合、母岩に、綺麗な菊が

たくさん出ていれば、当然、評価が高くなります

逆に、花が少なかったり、花がぼやけていたり

ねずみ色の花だったりすると

評価は低くなります



錦紅石のようなタイプの色彩石も

当然、ジャスパー化している部分が少なければ

加工もされないはずです


≪ほとんど母岩≫というものを加工しても

加工賃も出ないからです


なので、ジャスパー化の多い部分だけを

とくに、岩盤・岩石=母岩より採取して

観賞石となっているのです






この石なんかは、その典型ですね






いずれにせよ錦紅石を、欠点という観点から判定する場合

硬化した泥の混入を含め

ジャスパー化されていない部分の多少は

当然、問題とすべきなのです





また色彩石である以上

色が鮮やかなほうが評価がいいのは言うまでもなく


とくに錦紅石の場合は

赤と白、その中間色であるピンクが基本となるので

赤が鮮やかなことがいいに決まっています


くすんだ赤ではお話になりません









なお、加賀瑪瑙では、このように

泥っぽい部分がほとんど見られない

(裏側には混入がありますが)

ものもあります



この石なら≪ほとんどがメノウ化している≫

と表現してもまぁ差し支えないでしょうし

誰もが納得できますが


錦紅石の場合、小さな石はともかく、ある程度大きくなると

およそノロはみられます




横27×高さ(台込)17×奥18  およそ6.5㎏








さらに錦紅石の場合

泥っぽい部分がほぼみあたらない石であっても

上の写真のように

色彩部分の厚みが

やたらと薄いものも多いので注意が必要です


こうした石でも、光をあてて、光らせて撮って写真にすれば

とても綺麗に見えるはずです









およそ5.5㎏


最初に紹介したこの石ですが

じつは、もう1つ台座があります


上の写真の台座は、高野さんの台座の師匠の作で

(ちなみに石磨きの師匠は、父である先代の高野氏)

下の写真の台座は、高野さんご自身の作です






しかし、このように飾ると

一番目のいく山頂部に、泥がいくことになるので

この石自体の質の悪さを印象づけてしまいます



山頂部直下右の白い部分は、瑪瑙化してはいますが薄く

泥にのっているだけです






なお、この石は、丸磨きであっても自然の風合いを残しているので

水石家好みの石です






ちなみに高野さんの台座の師匠は

佐渡では「台座作りの名人と言われた方だったといいます



〔 むろん水石の世界で台座作りの名人

と呼ばれた人の作とは天地の差はありますが 〕








この写真の左上と右の白い部分は

ある程度はジャスパー化していると思われるものの

ジャスパー、メノウにはほど遠く、硬質のノロですね


(左上のほうが右より質がよい)





この加賀瑪瑙の

この部分とほぼ同質です





錦紅石の色彩化されている部分のほとんどが

ジャスパー化、あるいはメノウ化しているなんていうのも

全くのデタラメです






こうした写真と説明で、誰もが理解できるように

泥質(ノロ)に色がついている部分も

かなり含まれているということです









小ぶりながら、私のこの石なんかは

五色であるとともに、全てがほぼジャスパー化している感じですし

上の写真の面には、メノウ化している部分も多く含まれ

まさに≪五色メノウ≫と呼ぶにふさわしいものです


≪しっかり、熟成されている≫と表現したいくらいに

赤は深みがあります




しかし

≪五色の錦紅石≫と称している

ほとんどのものの色彩は

ジャスパーと泥質との混合によってできているわけです






もう一度はっきり、画像で示しておきますね




このピンクがかった白は泥質






メノウ質とはこういうものです










不純物を含み不透明な場合にしても

これくらいになっていなければジャスパー質とは言えないはずです




以上のように、錦紅石という石は

色彩の素晴らしさとともに

質の悪い部分が混入するという欠点が、同居しているのです





そして、いよいよここが肝心です


まずは参考に

もう一度この画像をみてください




錦紅石のように

互いの色が溶け込まずとも

白い部分も黄色い部分もメノウ質であることは

誰の目にも一目瞭然です





錦紅石は

互いの色が溶け込むように混じりあっているから

全てがジャスパー質(あるいはメノウ質)である


石灰質など別のモノが混じると

互いの色が溶け込むような色彩にはならない


という話はデタラメを通り越して

まるっきり逆さまなのです








錦紅石には、様々なタイプがみうけられますが

こうした標準型の

一級品の錦紅石にみられる


絵の具を溶かしたような色彩


互いの色が溶け込むように混じりあっている

と感じさせる

錦紅石独特の色彩は


ジャスパー質に

泥質が溶け込むように混じることによって

生み出されているのです




つまり、日本人の琴線にふれる

錦紅石の魅惑的な色調は

泥質の存在なくしては生まれてこない ということです






なお、石英鉱物は、目に見えるほど大きく結晶しているもの

つまり顕晶質(けんしょうしつ)のものを「水晶」と呼びます


一方、ミクロサイズの結晶が集まった潜晶質(せんしょうしつ)のものは

「カルセドニー」(玉髄)、「瑪瑙」(アゲート)、「ジャスパー」(碧玉)に分けられ


「カルセドニー」(玉髄)と「瑪瑙」(アゲート)は、半透明なモノ

「瑪瑙」(アゲート)は、カルセドニーのなかで模様の美しいモノをいいます


これに対し、ジャスパーは不透明なモノを指します





津軽錦石の玉髄


この石も

≪しっかり熟成されている≫と表現できるように

深部までジャスパー化、メノウ化がなされ

色に深みがあります





瑪瑙は、潜晶質ゆえに、すきまがあり、染色することが可能です

瑪瑙を染色したものは結晶の密度の違いによって

写真のとおり濃淡が生まれます





転写





生(自然のまま)で、観賞できることで

水石の世界で名高い 枝幸(えさし)瑪瑙  4㎏弱






それから

日本では、美しく透明度の高いジャスパーを

五色瑪瑙(佐渡の錦紅石)、羽茂瑪瑙(佐渡の羽茂五色)

出雲瑪瑙(花仙山のジャスパー)、ピリカ瑪瑙(北海道のピリカ石)

などと呼び、メノウは「美称」にもなっていますが

メノウもジャスパーもそれ自体は、世界的にはありふれた石です




ピリカ石  15㎏




なお、佐渡の錦紅石を化学的に研究した人の本

〔島津光夫著 佐渡の赤玉 (佐渡名石協会発行)〕

によると、錦紅石の白い部分は瑪瑙らしいです


白、半透明じゃないじゃないか!! という話になりますが

スライスしたときに半透明なら「瑪瑙」と呼ぶようです


ただ【何センチにスライスしたとき】などといった規定もなく、そこはあいまい


厳密には不純物を20%以上含んだ不透明なものをジャスパーというそうです





ジャスパーが長大な時間、熱による変成を受けることで

透明度をましてメノウになる

などということではなく

ジャスパーよりもメノウのほうが透明度が高いのは

単純に、不純物の多少にあるということのようです





ついでにいうと、≪五色石≫というのも一種の「美称」にすぎず

全国的にみても

赤、黄色、青(緑)の三色で「五色石」と呼んでいるものが多く

羽茂五色も基本はそうです



五色の嵐渓石のウブ 7㎏

〔新潟県三条市の五十嵐川(いからしかわ)産出〕





五色の嵐渓石のウブ 22㎏




最上川上流の白川産 2942g




津軽錦石(大鰐産)の五色石  4.7g㎏





北海道興部(オコッペ)の碧玉 およそ18.5㎏





結論をいうと、佐渡の錦紅石というのは

すごい石であるとともに、大きな欠点もあるので

全てに100%いいという石がなく

逆にいうと100の幻想を求めるところに

惹きつけてやまない魅力があるのかもしれません


また全てに100%いいという石がないゆえ

いくつか違ったタイプの石をあつめて

100としたりする楽しみも持てるわけです






ちなみに、同じく「幻の石」とされているジャスパーに

五城目孔雀石 があります








12㎏強


五城目孔雀の内部は、水晶に充たされていて

驚くほど質の良さを感じさせます












五城目に比べると

「質」という観点においては

錦紅石では、太刀打ちできない差があるのです






もう、ブランド石というだけで、あぐらをかいていられる時代ではないはずですが


私のように、目ができた人間が、サイトやブログで色々書くと

錦紅石の価値が下がってしまうのでしょうか?



いえいえ逆ですよ

特級品、一級品の錦紅石は、3倍、5倍と上がっていくことでしょう

超特級品なら10倍と上がるかもしれません


下がるのは、もともと価値のない

二級品、三級品、クズ石です




二級品、三級品の相場を示しておくために

長崎県の水石業者 佳石庵の中路さんが、2018年6月に送ってきた

通信販売のリストを載せておきます



佳石庵の中路さんは、九州最大の水石業者さんで

水石業者のなかでは、珍しく

わりとまじめというか正直な値段をつける人として

著名な石の収集家であられた一刻爺さんこと

田旗先生(故人)も評価されていました


私もまったく同感で、中路さんをひいきの業者さんの一人として

お付き合いされてもらっています







クリックすると写真が拡大表示されます



上代6万円ですが「2割は引く」ということでやっていて

実際は48000円です


つまり、25センチとわりあい大きさがあって

色彩的にもそんなに悪くなくても

これだけ泥っぽいと5万を切るということです



いくら希少石とはいえ、これだけ泥っぽいと

この評価になるということです




私は、こういった文化に関する情報こそ

広く共有の財産となるべきである

という考えから

当サイトを運営している部分もあるのです




中世にはローマ教会は

聖書を各国語に訳すことを認めなかったので

信徒は直接聖書を読むことができませんでした


広く各国語に訳されるようになったのは

宗教改革以後です


なかでも、マルティン・ルター(1483~1546)が

ヘブライ語(旧約)、ギリシャ語(新約)の原典から

ドイツ語に訳した「ルター訳聖書」

〔新約は1522年に完成。旧約は1534年に完成〕は有名です



宗教改革以後、カトリックの嘘がバレちゃったんです



教会を通じてでなければ神の救いが受けられないとか

マリアに原罪(アダムとイブが神の言葉に反して智慧の実を食べたことにより

その子孫である全ての人間が生まれながらにしてもつ罪

マリアの無原罪はマリアを神聖化する教義)がないとかいった教義は

カトリックが勝手に創造したものであることがバレてしまったんです






最初に掲載した石は5年くらい前に

高野さんより27万で購入しましたが


その当時、あるネットショップでは

クズ石が、20万、30万で売られてました



そうしたネットショップで買った人が

佐渡にきて

高野さんのお店に立ち寄り

錦紅石をみて

「ホントはこんなに安いんだ」

「ひどいものを買わされていたものだ」

と嘆いていたと言います


この話は当時、高野さんより聞いた話です



なお一級品の錦紅石は

私なんかがサイトでこうして書いたことにより

当時よりはずっと値段があがり

現在では倍くらいはするようですが・・・






佐渡でタダ同然の原石を買いつけて

びっくりするような値段で売っている業者もいる

との話も耳にしています




報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であれば

権利者の許諾がなくても著作物の引用が許されますし


それ以前に

こっちのほうが批判を受けて

害の及んでいる当事者なので

その返答という意味で






高野さんで、この石(5.5㎏)を

27万で買った当時の


そのショップの錦紅石の写真と価格を掲載します



クリックすると写真が拡大表示されます





ボロい商売でしょ(笑)



質はむろんお話にもなりませんが

ガラ(大きさ)もありませんね


クズ石だと

≪大きければ価値があがる≫なんてことはなく

かえって邪魔になるだけですが


16×11×5 だと

700gくらいのはずであり

美石ですとサンプル程度にしかならないですよ





コソコソお金もうけしているのであれば

私もあえてとりあげません


そこは人間のサガなんでね


社会正義のためにサイトをやっているわけではないし・・・




そもそも

プロというのは

「自分は専門ですから」みたいなことをうたって

ボロく儲ける



痛いところをつかれれば

そこは、とぼけを決め込んで

いままでどおり、儲けつづける


それこそが真のプロでしょ(笑)




つまり、私から言わせれば

黙って、コソコソ儲けていればいいんですよ

さんざん甘い汁を吸ってきているのだから・・・






なのに、この業者は、私の見識を

否定してきたので

この業者およびサイト読者への

直接的な答えとして


この業者が

最高級品の錦紅石と謳っている

石の写真を紹介しておきます





サイトの記事をちゃんと

読んでくれている読者は

すでに見識、審美眼ができているはずなので

長い解説はいりませんね


左半分の色彩が

張り付いているだけのような感じをうけます






錦紅石に関しては

泥質を多分に含むものや

色彩部分が

≪表面に張り付いているだけ≫

と表現できるくらいに薄く

母岩のジャスパー化もいまひとつ

といったものがほとんどで


メノウうんぬん以前に

錦紅石を≪ジャパーである≫

と定義していいのかさえ考えものという石がほとんどでしょう






つまり、錦紅石のほとんどものは

泥質の岩とジャスパーの混合したもの

あるいは

母岩の表面だけジャスパー化されたもの

ということです




なので、真に≪五色メノウ≫と呼ぶにふさわしい石は

たいへんなものだということになりますが

現実に、私が入手した3.5㎏の石以外

今の段階では

写真でもお目にかかったことはありません




   











過去の水石の本に掲載された錦紅石を

つねに気にしてみてはいますが

欲しいと思わせてくれる石がでてきませんね






昭和30年の後半から40年代の

水石や美石のブームのときには

一般の人もブームにのって石を買うほどでしたし


また、各地で様々な石が発見され

広く知られるようになり

これらの石は、地元の愛石家によって熱狂的に採取されたようです



ただ、もともとそんなにたいした石ではなかったものも多く

ブームがさり、本当に石の好きな人だけしか残らくなると

見向きもされなくなった石もかなりあります



かつての水石の本や雑誌には

「なんだこりゃ」といった石も多くみられますよね(笑)


つまり過去の本や雑誌は

参考程度にしかならない

あてにならないということです







もう1つ言っておくと

水石をちゃんと理解している人の磨きと

表面だけしか分かっていない人の磨きでは

≪センス≫というか≪おもむき≫に

違があるということです



以下は、白山紋石庵のご主人、山下さんによる磨きですが

山下さんは、水石を趣味としていて

自分でもよく各地の河川に、採石にいかれていました















中心やバランス

さらには「流」や「韻」(リズム)というものを

とても大切にしています


ここが、単なる美石だけの愛好家とは一線を画すところです



「流」や「韻」がある石は、もののあわれや侘び・寂

また、雅などといった美的感情を呼び起こします



こうした石なら磨き石でも

ぜんぜん茶室に飾れます








この写真は、著名な水石と美石の収集家であられた

一刻爺先生(故人)が展示会のときに

五城目孔雀石を飾られたときのものです








この五城目は、現在は私が所有していますが

こうした磨き石でも

どこかに日本的なところがあれば

飾り方によっては、十分、和室に飾れるわけです






それと

ヒスイなどの鉱物、美石(色)、水石(造形・侘び寂)

それぞれ求めるものが違う

色や造形など、なに価値をおくかに違いがある

などともっともらしいこと書いていますが



まず、観賞石としてのヒスイは

どちらかというと美石ですよ


その根拠は

鉱物趣味というのは

水晶のクラスター(結晶の集まり)で代表されるように

基本的には、結晶を観て楽しむものだからです




つぎに美石と水石ですが

求めるものが違えど

その求めるものを生み出す根拠は一緒です

「質」ですよ



色彩石の場合でいうと

質がいいから、色も照りもいいわけです

質が悪ければ、色の深み、照り、透明感 いずれも劣ります

さらに質が悪いと、磨くことすらできません



水石というのも、天工の造形とともに

石質や石肌をめでる文化です





≪錦紅石のウブ石(初心石・手を加えてない自然のままの石)は

美石ではなく、水石の範疇(はんちゅう)で

質を求めるものでないので、クズ石でも高価になる≫

そんなことはありません(笑)





また

≪ウブ石で、色がよく形のある錦紅は出てこない。それほど貴重≫

などと書いていますが

そうした貴重なものと

いいところを取り去って残った質の悪い部分

あるいは破片

そういったものとは全く違うでしょ

という話です(笑)




だいたい、赤玉ならともかく

ジャスパー質でない軟らかい部分を含む錦紅石の場合

ぶっかいて、グラインターで形をととのえたって

ウブかどうか判らないでしょ


という話にもなります




こうした話のすりかえやごまかしをするのは

クズ石を高値で売ってきたことに対し

過去の購入者から文句がくるのを防ぎたいのかな?


そこについてはよくわからないし

どうでもいいですが・・・





いずれにしても

ヤフオクなら20万、30万で買える菊花石を

50万、70万で売ったって、文句を言う人はいないと思います

もともといいものなのですから・・・


私なんかもそこを承知で

根尾の菊花石専門業者の杉山さんとお付き合いしています



しかし3千円とか5千円のものを

20万、30万で売るというのは

「やりすぎ」

という話になりますよね(笑)






≪美人が好きな人、個性的な人が好きな人、千差万別

石の楽しみ方も無数。一方向だけだと、面白い物も見落とす≫


こういった話は、客観的な価値を、主観的な価値にすりかえたものです


客観的な価値=価格としての価値を

主観的な価値=自分の好み

にすりかえて語ることで


あたかも クズ石、グレた石も

金銭としての価値をもつような印象をもたせ

過去を正当化するといったものです





読者の方には、よいものを知らない方もいるでしょう


どういうものがよいものかを知らないと

どういうものがクズ石なのかも判らないと思いますので


佐渡産ではないのですが

一級品・特級品は、佐度産よりも入手困難とされている

只見錦紅石を紹介しておきましょう





横30×高さ(台なし)39×奥16  およそ22㎏






横23.5×高さ15.5×奥18  6.5㎏弱


川ズレの原石






横26×高さ(台込)22×奥16.5  10㎏弱


只見の錦紅石で、これだけ赤いのも珍しいです







横38.5×高さ(台なし)13.5×奥14  およそ6㎏


この石は模様に味があり

指で弾くと清音を発するキンキンの質です




≪石には、産地による独特の特徴があるから

他県の石や海外の石を引き合いに出して説明するのは無意味≫


逆ですよ

全国レベルの知識、見識を養わないから

クズ石やグレた石を、高値で売ろうとする業者なんかにだまされるのです


宗教と同じで

色んなこと知らないと騙されるのです




それから、あらゆることは「他」との比較によって成り立っています


例えば、『文化』とは、民族の固有性ですが

こうした固有性は、他との比較の上に

成り立つものです




正直、こんなのは中学生レベルの話で

「こんなことわざわざ言わせるなよ」

というレベルです







なお

主観的な価値とは、自分の好みや

自分にとっての必要性と言えます



これに対し、モノやコトの客観的な価値を示すものに

「価格」というものがあります


この「価格」は

≪需要と供給のバランス≫

という根拠を

客観性としてもつわけです





私が、錦紅石のノロに対し

加賀錦の「泥」を引き合いに出して説明したのは


まずは

「真偽(事実)判断」

(これは〇〇である)

(これは〇〇であって=真 〇〇でない=偽)

についてのことです



その結果を根拠として

はじめて

客観的な「価値判断」

(これは〇〇レベルの石である)

をしているわけです



私の話は、全てにおいて

真偽の判断(根拠)→ 客観的な価値の判断

からズレてないはずです


そこは自分で意識してますから・・・




ところがこの業者の場合

1、真偽の判断(認識の概念)と、価値の判断(評価の概念)

との違いを理解できていないうえに


2、都合によって

語っているだけです



なので


錦紅石は、ほぼ全てがメノウ質であるなどと平気で嘘をつき

そこを指摘されると


昔の本に「白の流れがとくによい」と書かれている部分を

持ち出してきて、あたかも私の見識が間違えているかのごとく

印象づけようとしていますが


「白の流れ」は

≪〇〇でできていて(真)、メノウ質ではない(偽)≫

というのは

事実判断、真偽の判断です


これに対して

「この石における白の流れは素敵だ」

というのは

美に関する価値判断、評価の判断です



ここをごちゃまぜに語ることで、論点をすりかえ

私の見識が間違えているかのごとく印象づけるとともに

虚偽=錦紅石はほぼ全てがメノウ質 を

ごまかそうとしているわけです




また、ジャスパー化した部分は

ジャスパーなのですから

もちろん硬いのはあたりまえですね


しかしジャスパー化した部分だけが

錦紅石ではないのは

専門家であるこの業者は百も承知でしょう(笑)


ところが「石質もっとも硬い」「きわめて硬質」と書かれている

昔のアホな記事を持ち出してきて

いつまでもごまかしをするわけです




ついでに言えば

ジャスパー、メノウ、水晶の硬度は

ほぼ同じとされているものの


厳密には、潜結晶のジャスパーは

酸化鉄や粘土鉱物などの不純物を多く含むので

顕晶質の水晶に劣ります


また当然、不純物の少ないメノウに劣ります



但し、水晶が

劈開性(へきかいせい・ある特定方向へ割れやすいという性質)

をもつのに対し

ジャスパーは劈開性をもたず

靭性(粘り)が高いので割れにくいわけです


〔なお、水晶とジャスパーを比べて

単純にジャスパーのほうが割れにくいというのは間違えでしょう

ジャスパーといっても一般的に、青は赤より柔らかい

というように、不純物の質や量により一様ではありません〕



水晶には

柱を斜めに切るように割れる

「不明瞭な劈開」があるとされます


これに対し、劈開のない瑪瑙などの鉱物は

彫り物などに加工しやすいわけです




専門家なら、率先して

こういった科学的根拠のある話をしないと

専門もなにもあったものではありません(笑)






粘り(靭性)とは?



ダイヤモンドがモース硬度10に対し、翡翠は6.5~7とされます

但し、モース硬度とはひっかき傷に対する抵抗力を示すもので

ダイヤはハンマーで叩くと粉々に割れてしまいます

これに対し翡翠は、ハンマーを跳ね返すほど硬い石です



ダイヤが、劈開性(へきかいせい・ある特定方向へ割れやすいという性質)

をもつのに対し、翡翠はもちません



「欠け」とか「割れ」に対する抵抗を靭性(じんせい)といいます


最も粘りのある材料として知られる

カーボナードを10としたときの靭性は


カーボナード  10

コランダム(ルビー・サファイア)   8 

翡翠の硬玉(ジェダイド)  8    翡翠の軟玉(ネフライト)  8

ダイヤモンド  7.5   水晶  7.5

エメラルド  5.5   トパーズ  5



カーボナードは、ダイヤモンドの微細な結晶が緻密に集積したもので

ブラックダイヤと呼ばれます

生産量は少ないそうですが、宝石としての需要は少ないため

単結晶ダイヤモンドと比べると安価といいます


カーボナードは、劈開性をもたないため

単結晶ダイヤモンドと違い非常に割れにくいわけです



ダイアモンドの硬度が高いのはよく知られていますが

靭性は水晶と同じ7.5で、あまり高くありません


エメラルドが割れやすいのは靭性が低いからです


翡翠が割れにくいのは

モース硬度は低いけれども靭性が高いからです






話を戻しましょう


しかし、それだけでは

≪錦紅石はほぼ全てがメノウ質≫という嘘は

ごまかしとおせるものではありません


するとノロ(ガス)の存在を言いだし

〔ノロの話は、そもそも私が指摘したこと〕


あえて質の悪い部分を活かした観賞法もある

といった話をしてくる


〔この話も意味不明で、そもそも、ほとんどの錦紅石が

質の悪い部分を含みます

なので、そもそも、悪い部分をも含めて(活かして)

観賞するものとなっているのですから〕





また

赤と白の石なら、外国にもあるが

多彩で絵の具を溶かしたような石は、世界的に錦紅石だけで

そこに錦紅の価値があるというような話をしたかと思うと

今度は

≪他県の石や海外の石を引き合いに出して説明するのは無意味≫

という話がでてくる




あげくのはてには

客観的な価値を論じていて

ごまかしとおせないとさとると、主観的な価値の話にすりかえる


といった具合に

支離滅裂

話に一貫性がないわけです






≪原石を、数百数千と見ないと良さが分からない≫

嘘八百もたいがいにしろって(笑)


高野さんの話では

「佐渡じゅうの人と知り合いなのだから

誰と誰のところに、錦紅石の原石があるのかは知っている

誰と誰が原石をもっているのかはわかっている

≪この石はよくなりそうだぞ≫

とあたりをつけている石もある

ただ、その石を買い取ってきたとしても

最終的にどうなるかは、磨いてみないとわからない」

ということです


つまり、それほどまでに数がないから、希少性が高いんですよ






数百数千!

そんなにあるとしたら


そんなにあるのに

この↓レベルの石を





20万、30万で売っていたんですか!! 

それは悪質すぎやしませんか?

という話にもなりますよ(笑)







それと前述したとおり

私は、商売における

嘘自体を否定しているじゃないんですよ

誰しも嘘を言っても儲けたいという気持ちはありますから・・・


嘘の程度というのもありますが

それに関しても

本来、どうでもいいのです(笑)






では、なぜ、この業者さんは

こうしてサイトに記事として書かれて

嘘が、広くバレてしまったのでしょうか?



それは、この業者さんが

嘘をつく相手を間違えたからです


また、嘘をつく状況

嘘をつく内容を

間違えているからなのです







最終的な価値判断というのは

1つの価値基準だけでなされるものではありません

総合的になされるものです



価値基準とは

錦紅石でいうなら

色が鮮やかであるのか、色に深みがあるのか

色が多彩で混じりがいいのか、石の照りはよいのか

大きさはあるのか、泥質(ノロ)が多いのか少ないのか

といったものです



こうした価値基準の内容を争っても意味はありません

なぜなら、私とこの業者のみならず

こんなことは誰しも一致しているわけです



但し「色彩石は、まずは色が鮮やかかどうかです

次に大きさ、最後に形である」(高野さんのお話)

というように

どの価値基準を優先させるか というのはあります




いずれにせよ

私の主張を要約すると


こうした価値判断を下す以前の

事実(真偽)の判断において

「ほぼ全てがメノウ質は≪偽≫ 泥質を含むのが≪真≫」

ということであり


「泥質が少ない→ 質がいい→

色の深みや照りがいい ということでもある」

「泥質の多少は、価値判断の大きな要素(価値基準)の1つとなる」

ということなわけです




これに対し

この業者の主張は

つまるところ この↓2つなのです


「ほぼ全てがメノウ質が≪真≫」

(のちにノロの存在を言いだすが)


「色が多彩で、どれだけ混じり具合が面白いか

この価値基準を最大に優先させるべきである」






間違えないでくださいね

この業者は

≪ 赤のジャスパー部分の多いほうが良いとかいう者もいますが

それは間違いです≫とか

デタラメなことを書いていましたが


私は、どの価値基準を優先させるか

それについては

一度もふれていませんから(笑)




あえていうなら

「石質」こそが根本である

≪石質がよいかどうか≫の基盤の上に

全ての価値基準がのっかっている

と主張したまでのことです


なぜなら質がよければ

色彩に深みがあり、照りもよく、透明度も高い

また、質が悪ければ

大きさがあったり、形がよかったり、多彩であったりしても

意味がないからです




嘘を言って、論点をずらし

別の論争に引きずり込み

ごまかそうとしても

そうは問屋が卸しませんよ(笑)





錦紅石の最大の特徴→ 多彩で絵の具を混ぜたような色調

そうした石は、世界的に錦紅石だけである

なので

色が多彩で、色の混じり具合がよいものに

最高の価値を与えるべきである


そんなのあたりまえでしょ(笑)



とはいっても

色彩部分が、が貼りついた程度に薄ければ

かえって汚らしくみえる場合もあるし


石に照りや透明感がなければ

美石としての魅力に欠けます




ですから

最終的な価値判断とは、1つの価値基準ではなく

いくつかの価値基準の評価を総合して

なされているのです



そうしたいくつかの価値基準の基盤に

「質」というのがあるということです






では、AとBの2つの錦紅石があったとします

両者の客観的な価値を

あなたなら、どのように判断しますか?


どちらが上の錦紅石であると判断しますか?



もちろん両者の美点や欠点をあげて

比べてみるわけです




Aの錦紅石




大きさは8㎏

ノロが少ない

赤主体で、その赤は鮮やかで

希少性が高い





Bの錦紅石




大きさは5.5㎏

Aよりノロが多いとはいえ

錦紅石としては、かなり質はよいほうである


なにより錦紅石特有の色調をもち

さらには自然な風合いを残し

水石家好みの石でもある




このとき

一級品・特級品の錦紅石になると

≪質がよい≫

なんてことは「前提」としてあり

その上で

それぞれの美点・欠点を総合して

最終的な価値判断を下すわけです





なおここでいう価値判断とは

客観的な価値(価格として示される価値)の話であり

個人の好みや必要性は含みませんよ


また、話をすりかえられると面倒なので

あえて明記しておきますが・・・








結局、相手の話は

嘘にデタラメ、ごまかしにすりかえ ばかりなので

よけいな説明に、時間とエネルギーを浪費しました


とはいえ

この業者との論争は、私にとって

とても有益になりました


なぜなら、≪美石とはどういうものであるか?≫を

細部にわたって

読者に説明するのに

つぎつぎとよいきっかけを投げかけてくれたからです


また、それを通じて

水石と共通する部分についても

解りやすく書くことができました



つまり、読者にとっても

美石、水石の真髄を理解する上で

とても有益になったと思われます





かつての水石・美石の本をみても

ブランド崇拝が顕著であり


とくに

色彩石の王たる錦紅石は

日本人の琴線に触れるその色調

さらには

≪錦紅石≫というネーミングからくる印象からか

特別視されていて

畏敬の念、タブー意識さえあったと言えます



そうしたタブー意識は

この業者も示していて

「多彩で絵の具を溶かしたような石は、世界的に錦紅石だけ」

と語る一方、のちに

「他県の石や海外の石を引き合いに出して説明するのは無意味」

と語るといったように


タブー意識から

≪自語相違≫に陥ってしまっているわけです




錦紅に対する畏敬の念、タブー意識の最大の要因は

錦紅石の特級品、一級品を入手できる人が限られていて

ちゃんと検証することさえできなかったから

だと考えられます




それゆえ私のように

全国レベルという視点から

欠点をも含めて

≪錦紅石とはなにか?≫を

ちゃんと語った人など、これまでいなかったわけです



さらに、そこからこうして

水石、美石観賞の真髄を示した

などという人もいなかったはずであり


その意味において

この業者とのやりとりはとても実りあるものであった

ということです




もちろん、私の思考が全てではないので

そこは、知識や見識を深めていく上での

1つの参考としてもらえれば嬉しいかぎりです






私が

≪泥質が混入することで、錦紅石独特の色彩が生まれている≫

と主張しはじめると


ずるい人は

300年も前からそれを知っているみたいな口ぶりで

「錦紅石のよさはそこにあります」などと

逆に私に言ってきたりしますので(笑)



もう一度、明確にしておきますが

≪泥が混入することで、錦紅石独特の色彩が生まれている≫

これを、本や雑誌、あるいはネットでちゃんと指摘したのは

私が初です



これに対し、佐渡の石を扱う業者、および水石界の大家は

あたかも

≪錦紅石は、ジャスパーではなく、メノウであって

最高に質がいい石である≫というような印象を

ずっと一般の者に与えつづけてきたわけです






それと

私は、真偽についての判断

およびそれにもとづいた客観的な価値

についての話は書きますが


他人の個人的な価値感や美意識を否定することは

このサイトを通して一切していません


個人の好みや必要性をどうこう言うほど

人として偉くないですから(笑)




また、よく、水石について

「一塊の石から大宇宙を感得する」

などと語る大先生がいますが

≪大宇宙≫ってなに? という話です


こういった言葉や表現は

人間を、言葉のバーチャルな世界に引きずり込む

宗教家の用いるものであって

わたしは、サイトを通して

こうした表現も一切用いていません




例えば

もとオウム真理教の大幹部で

現在はオウムの後継団体の1つ「ひかりの輪」の代表

上祐史浩氏(じょうゆうふみひろ)が

オウムに出家する際、母親にこう↓語ったそうです


「第三次世界大戦で核戦争がおきて、人々が焼かれるのを防ぐためにも

母さんのためにも 出家しなければいけない

僕たちが一生懸命修行したら、特別な変化がおこって

世の中が真理にもとづく平和になるんだ」



≪第三次世界大戦≫  ≪特別な変化≫

≪真理≫  ≪真理にもとづく平和≫  ≪救済≫  ≪使命≫ ≪人類愛≫

≪解脱≫  ≪宇宙の根本原理≫  ≪宇宙根源の法則≫


このように、宗教とは、言葉で組み立てたバーチャルな世界に

人間を引き摺り込むわけです






ついでに

「真理」とはなにか?

を明らかにしておきましょう


キリスト教なら 唯一絶対神が6日間で宇宙の全てを創造したとか

マリアが処女のままイエスを産んだとか

悪魔はもともと天上界にいた天使で

イエスの試練に耐えきれず地上に落とされた堕天使である

などといった真理がありますね


神が6日で世界を創造したという話は旧約聖書にあります

「マリアの処女懐胎」や「悪魔は堕天使」は

1962~65年に行われたカトリックの公会議で

正統教義として承認されています



しかしこのような真理は、その宗教宗派にしか通らない話です

特定の宗教宗派にしか通用しない真理など、私に言わせると

真理ではなくてドグマ(独善)です


個人や特定の集団・社会における必要性であり

真理ではなく、価値の範疇(はんちゅう)です




では、真理とは何か?

ここに水の入っているコップがあったとします

このコップの中身を「水である」と言えば真理だし

「火である」といえば虚偽です

ただそれだけのことなのです


1+1=2 (真理)

1+1=3(虚偽)

それだけのことなのです





とはいえ、真偽の判断とは

根本的な判断であり

あらゆる価値判断のもとになります




今回でいうと、真偽の判断とは


錦紅石が


ほぼ全てがメノウ質が≪虚偽≫で

泥質を含むが≪真理≫


なのか


泥質を含むが≪虚偽≫で

ほぼ全てがメノウ質が≪真理≫

なのか

ということです



これをなおざりにして

価値判断についての主張などしても

そもそも無意味

ということです






他のページでも書いていますが


≪審美眼≫とは

本質に対する正しい真偽判断のうえに

価値判断しうる能力、見識といえます





それと重要なことは

≪審美眼≫とは、なにも

客観的な価値(市場価格)にみあった

評価ができるかどうか

というだけのことではないのです


それも1つの大事な要素とは言えますが


客観的な価値というのは

往々にして

パラダイム〔その時代の支配的な考え方やものの見方・

しがらみやしきたり、あるいは常識や人気といったもの〕

にひきずられていることが多いのです



これに対し

パラダイムという色眼鏡をはずし


自己の確固たる見識=審美眼をもって

誰もが認めていないものに

価値を与える場合だってあるわけです



この場合、他者に認められていない以上

ただの個人的な価値観や美意識

とされてしまいがちですが


単なる個人の必要性や好みと違って

≪真偽判断について客観的に正しい=客観性≫

というゆるぎのない根拠をもつのです



つまり主観ではあるが

その基盤に客観が存在する主観ということです





今回の錦紅石の泥質もその例ですが


他にも、このサイトで

北海道のオコッペ(興部)のジャスパーについて

以下のように書いています




【 青(緑)のジャスパーとしては

佐渡の青玉、出雲メノウ(花仙山のジャスパー)、土岐石の碧玉

がよく知られています



このうち土岐石は、ウッディージャスパーであり

磨かずにそのまま観賞するので別物とすると


佐渡の青玉は、硬さ、色味ともに落ちます



出雲メノウ(花仙山のジャスパー)のいいものは

硬度、色 それなりにはいいですが

巣穴が多いという欠点を持ちます


また、かつてはたぶん良いモノも採掘されたと思われますが

ほとんどが勾玉に加工されてしまい

(そのほうが儲かるのでしょう)

美石として観賞できるものがほとんど存在していません



なお、佐渡の青玉と同様、猿八で採れる 雷光石は

色具合は綺麗ですが、

ジャスパーとしては軟らかく、巣穴がある石です



なので、観賞石(美石)としての

日本一の青系のジャスパーとなると

興部のジャスパーでしょう



興部特有の美しさは

緑に、白っぽい緑が混じることで生まれていることが言えます




オコッペが良い石であるというのは

世間的な評価が低い以上、私の主観ということになりますが

そこにはちゃんと客観的根拠が存在している

ということなのです





オコッペの碧玉  およそ10㎏




経済学には

「記号価値」という概念があります

これは、商品に内在する価値のうち

「その商品を持っていることが誇らしい」

「その商品を選んだ自分が誇らしい」といった価値です



ブランド(高い価値を持つことを示す商標)とか

ステータス(社会的な地位や身分の象徴・優越の象徴)

なんかの概念に関係する価値ですね



ブランド信仰とは

そのモノがもつ本質よりも

そのものをもつことで

ステータスが、得られるところが大きいと言えます









銘「雪灯り」





横16.5×高さ(台込)15×奥10.5  2067g























後ろを観ると

上部には、メノウ化した部分が大きく入っているものの

下半分は、色彩に深みがなく

色彩の厚みも薄いです


とくに下部の色彩にいたっては、貼りつけただけのようで

かえって汚くみえます


さらに灰色の母岩のジャスパー化も

いまひとつという感じです



ですが正面から観ると

大方の部分(とくに右2/3)は、色彩が魅惑的です


また小ぶりなから、ノロ(石灰質)の混入も少なく

正面右2/3に関しては

石に照りもあって、質の良さを感じさせます


そしてなんといっても

日本人の美意識を刺激する色調と色彩を呈し

惹きつけられます




評価的にも、黒が多い錦紅石というのは少ないそうで

(高野さんのお話)

黒が多く景色に恵まれた石となると、なかなか入手困難とのことです




この石は、私に最初に石を教えてくださった方から

譲っていただいたもので



台座は、関東一とうたわれた桐生の小黒さんの作です









昭和41年、石井銘石店刊行の 石井喜右衛門著

「石のこころ」にみられる黒混じりの錦紅石です



なお、白い部分は、鮮明な写真でないので断言はできませんが

完全にメノウ化・ジャスパー化されてない

石灰質だと思います

























複雑な混じり方の錦紅石





横17×高さ(台込)20×奥7  およそ3.2㎏
















台座は、こちらを正面として観賞するように

作られています

(台座に据えると裏側は、手前にやや倒れる感じになります)


私は、本来、裏側とされている景色のほうが好きで

裏を正面としました






この錦紅石は、色の混じりが、複雑で面白いのと

半分近く、茶系で

渋さがあって、これはこれで味のある石です



照りもよく、泥質も少なく

錦紅石としては、質は上等です




山梨県の名取貴石さんからいただきました


高野さん(佐渡唯一の石磨き職人)や

市川さん(佐渡名石協会の副会長)から

このクラスの石をもらうとしたら


20万とか、25万と言われるでしょうが


なんと6万3千円(送料込み)という安さでした



「雪灯り」は、30年来、懇意にしている人から

いただいたので、ここに書けないくらい

特別安く、入手しましたが

それでもこの石の倍以上は、払っていますよ(笑)




名取貴石さんは、主に、世界の鉱物を扱っていて

佐渡の石は専門ではないので

錦紅石の価値を知らなかったと言えますが


逆にいうと

世界のレベルを知っている方なので


そういったレベルの目から

錦紅石の値段を出すと

このくらいなのかも知れません



私も、ブランドとしての価値を除き

純粋に、希少性を含めた石だけで判断すると


6万、7万は、安すぎますが

10万、高くても15万くらいが


このくらいの大きさ

これくらいのレベルの錦紅石の値段として

妥当なところではないかとは思います










総造りの錦紅石





横41×高さ(台込)22.5×奥17  およそ10㎏

































素晴らしい佐渡の赤石の総作りです


昭和41年、石井銘石店刊行の

石井喜右衛門著「石のこころ」に掲載されている石です



この石は、千軒石の著名な収集家であられる

センゲンさんから

譲っていただきました


センゲンは、オークションで

18万で入手したそうです


センゲンの前の所有者は

45万で入手したようです



正面から観ると、赤玉のようにみえますが

紅の流れがあり、赤玉とは違うようにもみえます


さらに背面や、底をみると、赤玉ではあり得ません


むしろ錦紅石の特徴がみられ

錦紅石と判断するのが、妥当かと思われます



いずれにせよ

赤系色彩石の最高峰の石と言えるでしょう


なお、磨きは、宝石磨きの一歩手前にとどめ

ツヤを抑えています










色彩石の見方



極端に言えば、色彩石の評価は

色が鮮やかであるか?

に限られ


あとは

母岩(岩石部)や、硬質化した泥質が

少ないほどよい

ということだけになります




以下、高野さんのお話になりますが

佐渡の石の場合(色彩石すべてに共通します)

重要なのは、色彩

つぎに大きさ

そして最後に形の順です



また、基本は、油腐の2倍が赤玉

赤玉の2倍が錦紅石

但し、油腐でも特別いいモノは値が高い


ということです







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