「山水石美術館」 北上川石・雄勝石・新井田川石・好間川石・論田脂石



北上川石




北上川(きたかみがわ)は

岩手県および宮城県を流れる北上川水系の本流です

全長249km、流域面積10150kmは、東北最大であり

流域面積は全国でも4番目(長さは5位)に入る大河です


〔流域面積とは、ある河川に雨や雪が流れ込む範囲が流域で

流域面積はその面積をいう〕



これだけの大きな川なので

質のよい様々な石が採れるようですが

固有の特徴がないので

別の川石が北上の石となったものも多いと思われます






クリックすると写真が拡大表示されます






横14.5×高さ(台込)5.5×奥9.5  638g





















昭和44年に自採された石のようです

質も肌もよく、小ぶりながらとても景にめぐまれています


また、奥行きがあるのでサイズほど、小ささは感じません


底はもちろん自然です











横30×高さ9×奥18  5㎏弱




上の写真は緑と青がやや強く出ています

斜めから見たほうが、景色がよい





この石は、茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました


株木さんによると、北上の特徴がよく出ているとのことです

北上の特徴とは、硬質で緑がかっているということです


叩くと、カンカン音がします


以前は、北上川の石を専門に拾っていて、株木さんのお店に売りにくる人がいて

いくらでも入ってきたそうですが

その方が高齢となり採石をやめてしまったそうです


それでもときどきは入ってくるようです












横24×高さ7.5×奥14  2894g




擦れがとてもよく、色の美しい北上です


茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました











横31×高さ(台込)16.5×奥15  およそ7㎏
















この石は、長崎県の水石業者 佳石庵の中路さんからいただきました


北上の質としては最高峰というばかりでなく

水石全般からしても

質、景、大きさ、全て備えた名品です










馬淵川石

(まべちがわいし)





横20×高さ(台込)16×奥12  3㎏強














この石は、茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました


岩上(がんじょう)茅舎石(くずや)の

お手本のようなみごとの景ですが

底を直してあります


たくさんの石を扱ってきた

株木さんすら

「いままで見たことのない底の直し方だね」

と語るほど

珍しい底の仕上げ方で


「自然に割れたかもしれない」

とのも言っておられましたが

自然にしては不自然です


上がみごとなのと

馬淵川というあまり出ない産地の石ということで

いただいてきました










雄勝石

(おがついし)




雄勝石は、宮城県石巻市の北東雄勝町を中心に産出する石です

石巻市と言えば、三陸のリアス式海岸で知られますが

石の産出地は海から車で、5~15分くらい離れていて

そこの景色は内陸の山間部の沢と変わらないそうです


その沢は川と呼べるほどの大きさになる前に海になってしまいます


つまり、雄勝石は沢の石です


ただ石の一部が川ズレしているような感じの石も出るそうです

また土中石の雰囲気もあわせもつ一種独特な石です



〔ちなみに硯となる石として有名な硬質粘板岩の雄勝石と、水石の雄勝石は別モノ〕






横42×高さ19×奥19  14㎏弱










荒波に削られた断崖でしょうか

なかなか迫力のある素晴らしい石で


茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました









新田川石

(にいだがわいし)





横42×高さ(台込)18×奥28.5  およそ13.5㎏





















ウィキペディアによると


新田川は

福島県相馬郡飯舘村西部の阿武隈高地に源を発し東へ流れ

南相馬市から太平洋に注ぐ







鮎釣り、鮭の栽培漁業が盛んである

とありました






株木さんによると

もともと「新田川には、良い石がでない」

とされていたそうです


ところが

震災のときの地震や津波で

東北の石の産地が、壊滅したのに対し


これまで良石がでないとされていた

新田川で、突如、良石が拾えるようになったのだそうです



また、株木さんは、拾い屋さんに

「新田川の石は、全部、うちにもってくるように」

と言ってあるらしく


世に出て(株木さんによって売られはじめて)

まだ半年(2021年5月現在)くらいの石だと言っていました



そうした新田川の石で、最高なものが

今回、いただいてきた石です



これだけ大きな石であるにも関わらす

叩くと金属音を発するくらい硬いです


キンキンの質です





長野の月水苑の月水先生から

おうーこれは、凄いッ!揖斐というより

天下の「佐治川石」に引けを取らない

絞り肌の逸品ではないですか?

このようなものがいきなり突然顕れる

というのは、地震というか? 地殻変動?

造山活動? の恐ろしさを感じます

いろんな逸品がゾクゾク集まっていますね 笑

というメッセージをいただきました













高野川石

(こうやがわいし)




高野川は、福島県のいわき市を流れる夏井川の支流です

夏井川は、福島県南東部の阿武隈高地を流れ下り、太平洋に注ぐ夏井川水系の本流です


なお福島県には

南会津郡南会津町高野を流れる阿賀野川水系桧沢川支流の高野川(こうやがわ)

福島県南会津郡南会津町宮里を流れる阿賀野川水系西根川支流の高野川(こうやがわ)

が存在しますが

この石はいわき市の高野川の沢で採取されたものです


自採された方がヤフオクに出品していたものを落札しました







横19×高さ8.5×奥8  1002g




石英の部分を雲に見立てられます









好間川石

(よしまがわいし)



好間川(よしまがわ)については

ウキペディアなどに

福島県いわき市の三和から好間の夏井川の合流地点まで流れる、夏井川の支流

とあるだけで

詳しい源流地や長さについて書いた記事がないので

それほど大きな河川ではないはずです



なお、夏井川(なついがわ)は

福島県南東部の阿武隈高地の最高峰 大滝根山(おおたきねやま・1192m)に源を発し

太平洋に注ぐ夏井川水系の本流で、長さ67.1kmです




日本300名山 大滝根山  転写





ただ、好間川渓谷は

V字谷の景勝地として広く知られています

いわき市の観光情報サイトにも紹介されています



また、同サイトに

好間川の石は、安山岩質で「好間石」と呼ばれていて

愛好家に珍重されている

と書かれています


好間川石(好間石)は、それくらい水石になる石として

知られているわけです







横23.5×高さ17×奥14  およそ6.5㎏







茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました


磨いてあるように見えますが

自然とのこと


このような質なので有名な石になったと

株木さんは言っておられました












横21.5×高さ(台込)5×奥8.5  1005g










小ぶりですが

なかなかの景をもつ石です


茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました










好間茂露肌石

(よしまもろはだいし)





横16×高さ(台込)16.5×奥12.5  2437g











好間川の原石地という

水石山(みずいしやま)で採取される山石で

好間茂露肌石と呼ばれているものです



雨生山石〔うぶざんいし・静岡県浜松市の雨生山で採れる土中石系の蛇紋岩〕

に似ています


水石山は、標高735m

一面芝生の山頂は水石山公園となっていて

展望台からはいわき全域をはじめ、太平洋まで見渡せるそうです



茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました
















論田脂石

(ろんでんあぶらいし)





横17.5×高さ(台込)7×奥14.5  1317g
























論田石は、福島県石川郡古殿町論田(ろんでん)の

小さな川というか沢で採取されるようです


ちなみに福島県石川郡石川町は

鉱物の電気石の産地としてしられています



この沢は、地元の人に聞いたところ鮫川水系ではないかとのことでした


鮫川は、福島県東白川郡鮫川村松曾根山を水源とし

いわき市錦町で太平洋に注ぐ鮫川水系の本流で

長さは65km、およそ30本の支流をもちます






(写真は、論田ではないようです)







論田石、とくにその脂石(あぶらいし)は

採取できなくなって久しく

幻の石 と言われているようです











この石は、長野の月水苑の南口さんから

いただきました



キンキンの質で、ホントによい石です



ありがとうございます♪

この論田はよすぎます(笑)

と、メールしたところ


父からです

そうでしょ,私のお気に入りコレクションでしたから~

質が最高です

という返信をいただきました






茨城県結城市の水石業者 株木さんよると

論田は、川や沢ではなく

田んぼの畦(あぜ・畔とも書く)のようなところの土中から出るといいます


ちなみに、畦とは、水田と水田の境に泥土を盛って

となりの田に、水が漏れないようにしたもので

水田の区画を成すものです


水田を回る際の道としての役割も持っているものを

畦道(あぜみち)や、畷(なわて、縄手とも)というそうです


ただ「それが川ズレているのよ」とのことで

おそらく、水田地帯は

かつて川であったのではないかと思われます










阿賀野川石




阿賀野川は、栃木県藤原町と

福島県岩館村の境にある荒海山にその源を発し

猪苗代湖から流下する日橋川(にっぱしがわ)や

阿賀野川水系最大の支川である只見川を合わせて、新潟県に入り

新潟市北方で日本海に注ぎます


全長210kmで日本10位、流域面積7710 km2 では日本8位の大河です


阿賀野川本流は、福島県の荒海川を源流とし

会津地方で阿賀川(または大川)

新潟県に入ると阿賀野川と、幾度も名を変えます




阿賀野川自体それほどの石はないようですが

伊南(いな)川・只見川のいい石が

一部流れてきます




なお、仙見川は、阿賀野川の支流の支流で

仙見川石は、八海山石に次ぐ

新潟県および上越を代表する水石として知られます

(仙見川石については、信越・上越に記載)








日本300名山 荒海山(あらかいさん・栃木と福島の県境。別名 太郎岳)

から見る300名山 七ヶ岳(奥)






赤が、荒海山






横25×高さ15×奥15  6㎏弱









川ズレとジャグレとのバランスがよい山形石です





茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました











横28×高さ17×奥16 7.5強







この石も、川ズレとジャグレとのバランスが面白い山形石です


茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました











横22×高さ11.5×奥14  3㎏強







もとは、伊南川(いながわ)の石で

只見、阿賀野へと流れてきたものだと思われますが

硬質で色と肌が素晴らしいです



茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました









大滝根川石

(おおたきねがわいし)



大滝根川は、阿武隈山地の最高峰であり

日本300名山の大滝根山(1192m)を源とし

福島県中部を流れる阿武隈川水系の河川です

桧山川、牧野川、谷田川を合わせて、阿武隈川に合流します

長さは、134.6km






大滝根山  転写





大滝根山  転写





ちなみに、阿武隈川は、福島県および宮城県を流れる阿武隈川水系の本流で

長さ239km、東北で北上川に次ぐ長さの川です


那須岳(100名山)の1つ三本槍岳(1916m)のすぐ北に位置する

福島県西白河郡西郷村の甲子旭岳(かしあさひだけ・1835m)に源を発し

阿武隈高地の渓谷、仙台平野を流れて、太平洋に注ぎます






三本槍岳近くの展望所より

甲子旭岳と鏡ヶ池(かがみがぬま)  転写





甲子山より見る 甲子朝日岳  転写






横32×高さ(台込)10.5×奥12  4㎏弱



























この石は、栃木県の宇賀谷ガーデンさん(盆栽屋さん)が

お客より委託販売されたものを購入しました


滝根川石ということでしたが

滝根川という河川がないので、大滝根川のことでしょう



にしても、大滝根川の石は、初耳ですし

ネットにもみられないので

前所有者(委託販売をしたお客さん)に

宇賀谷さんから、石の由来を聞いてもらいました



それによると

福島県に水石会がいくつかあり

そうした水石会に所属されていて

全国展などにも出品なさっていた著名な収集家が

40年ほど前に、自採したもので

それを譲ってもらったとのことでした



なにしろ、瀬田川の名品と称しても

十分に通りそうな魅力的な肌で

質も、叩くとカンカン響く硬度を持ちます



茨城県結城市の水石業者 株木さんから

阿武隈川にはいい石が出ないと聞いていたので

ちょっとびっくりの石でした


日本は広いですね・・・








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