緋山酔恭「山水石美術館」 全国の水石・美石を紹介 長内川石・岩手県 久慈川石


長内川石



東北地方の石といえば

なんと言っても、伊南川(いながわ)・只見川でしょう

ちなみに、伊南川の石が只見川に入ります

ここは、西日本の瀬田川と並ぶ、名石の宝庫と言えます



つぎに、北上川あたりが知られますが

北上の石には特徴がなく、≪ホントに北上の石である≫

という確証の持てない石と言えます



正直、業者さんのいう産地なんてデタラメなのも多いですよ

ある業者さんから、2月おきぐらいに石の写真が送られてきます

なかに北上川石があったので、たずねると

「その石は売れてしまった」

「ただホントに北上かの確証が持てないところがある」

「関東で出た(入手した)ので、産地不詳では出せない(売れない)ので北上とした」

というのです

まぁ、こっちもそういうのも分かっていて

水石という趣味を楽しんでいるのでいいんですが(笑)






じつは、茨城県結城市の株木さんは

【長内川石こそ最高の石である】

という長内川石最高説をたてています



東北最高でなく、全国の石で最高ということです



株木さんというかたは、業者に卸す業者さんでもあり

水石の世界では、名の知られたかたです


もう80歳ちかいかたですが

業者の人みなが、口を揃えて

株木さんの人のよさを語るくらい親切なかたです



わたしも幾人かの業者さんとお付き合いがありますが

扱う石の量、質なんかをみても

また全国各地の業者のかたが石の買い付けにくるという事実からも

株木さんは、名実ともに日本一の業者さんで

おそらく他の追従をゆるさないかただと思います





「うちの川の石が最高」

「神居古潭にも負けない」

「昔は、瀬田川や加茂川に化けて売られていた」

なんていう

ろくに他の地域の石も勉強していない

そこいらの水石家がするお国自慢は

嫌というほど聞いてきましたが


株木さんが唱える

【長内川石最高説】は

そういった話とはレベルが違うわけです



そして株木さんがいうには

「長内の名石のほとんど全ては、うち(株木さん)を通して世に出た」

そうです


石のブームの時代には、地元の拾い屋さんと契約し

買い付けにいっていたというお話でした




また、関東、東北、新潟あたりの拾い屋さんから

株木さんのもとに石がもちこまれるわけですから

秋田の久慈川の石  福島の伊南川・只見川の石  新潟の八海山や仙見川石

茨城の久慈川や鬼怒川の石  群馬の渡良瀬川や桐生川の石

あたりは専門です





ちなみに、岩手には長内川が5つもあるようです

久慈川水系、鵜住居川水系、長内川水系、津軽石川水系、明戸川水系

の長内川で、すべてオサナイガワと読みます

このうち、ここでとりあげているのは

久慈川水系の長内川です





上から4番目に岩手久慈川があります

北上川は東北最大(全国4位)の特別大きな川です





クリックすると写真が拡大表示されます






横32×高さ(台なし)33×奥17  およそ29.5㎏
















この石は、幅が30cmそこそこにもかかわらず、重さが30㎏弱もあり

いかに硬質で重いかが伺い知れます


神居古潭の真黒、本日真黒に匹敵する黒さをもち

しかも古潭の真黒、本真黒ではありえない重量をもちます


〔亡くなられた一選堂(旭川の水石業者)の相内さんの話では

神居古潭石の真黒、本真黒にはこのような特大サイズはないとのこと〕



あまりの黒さ、艶のよさに

株木さんのお店で見たとき、「磨き石」ではないのかと思ったほどです



これほどのサイズにもかかわらず

ちゃんと景ができていて

高土坡の枯れ滝の景に観賞できますし

寝かせれば、段石として観賞できます



もちろん底切りなどの加工はありませんし

オイルや手あぶらのたぐいはつけていません



株木さんより、一度お客さんに渡った石で

その方がご高齢となり

「展示会場に運んでいけるもう少し小さい石と交換したい」と言ってきたとき

株木さんは「しめた!!」と思ったと言います


当初その方に売った値段が50万だそうです


しかし石のブームのときの値段であること

また一度、利益を出した石であることから

ずいぶん安く譲っていただけました












横34×高さ17.5×奥14  およそ9.5㎏




単なる岩のようにみえますが

硬質で、叩くとカンカン響きます



茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました











横40×高さ(台込)17×奥28  およそ17.5g










株木さんとの出会いは、この石をきっかけとしてはじまりました

当初は、八海山石の日本一クラスのがある 

ということで株木さんのお店にうかがったところ

その石より、この長内に目を奪われてしまったわけです



この石を見たとき

超硬質の石がみごとにジャグレていて

「なんだこの石は!!」

「ジャグレ方が佐治でも揖斐でもないし、いったいどこの石??」

と声をあげてしまうほどでした



前述した真黒と、この石をもってしてみれば

長内川石最高説も、あながち的を射ていない

とは言えないでしょ(笑)




この石も50万で前述の人に売って、戻ってきた石ということで

ずいぶん安く譲っていただけました



色は黒で、真黒と並べてみると微妙に青味がかかっていますが

単独でみる限り、完全な黒です

白っぽくみえる箇所は、時代ののったところです


島形としてみるのが妥当ですね











横34×11×奥16  およそ9㎏










背面








みごとな断崖景です


岩のようにみえますが

硬質で、叩くとカンカン響きます



上部の色は、養石による古色です


茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました



株木さん曰く

「うちは、拾い屋さんから、直接、買い取っているので

産地に間違えないです」


「長内川の石なんて、ほとんどうちから出ているけど

関西に渡ると、産地がみんな変わっちゃうんだからね・・・

多くは佐治川石になってました」


「樹石のオークションなんかにも、うちの石が

産地が変わって出てきたこともあります

私も商売やっていますから、黙ってましたけど・・・」




この石などは、佐治川石の芯に似ていると

言えなくもありませんね








久慈川石



長内川の本流にあたる岩手の久慈川は

岩手県久慈市南西部に位置する明神岳に源を発し

遠別岳に発する遠別川を合わせ北東に流れ、久慈湾(太平洋)に注ぎます






横33×高さ15×奥11.5  9.5㎏













この石もびっくりです


ヤフオクをみていてもあきらかなように

「土坡石」(どはいし・平地や平野をもつ石)というのは

やたらと出てきます


しかし、その多くは、山形と同居した遠山土坡(山形土坡)か

高い位置に平地が存在する高土坡であって

段石、段石土坡というのは非常に少ないです



この石はちょっとおもしろい形の段石であるというだけでなく

どこまでも硬質で重く、時代もついていて

このボリューム

ちょっとみたことないような良石です


もちろん、株木さんからいただきました





古潭の本真黒の内面から

にじみ出てくるような石質のよさ

古谷系の皺相や形の表現力

佐治、瀬田、揖斐、多摩の大栗などの石肌のよさ・・・・


石にはそれぞれ固有のよさ、学ぶべきところがありますが

株木さんの石は、総じてどれも大柄、豪快で

粗さを感じます


しかしその粗さに、重厚さと緻密さが同居し

風格をそなえていると言いますか・・・

独特です


新たな美意識の形成をもたらしてくれた石たちでした








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