緋山酔恭「山水石美術館」 全国の水石・美石を紹介 千軒石


千軒石




千軒石(せんげんいし)は

日本300名山の大千軒岳(標高1072m)の

周辺の福島町、松前町、知内町の河川で採取される石だそうです



このうち

知内川(しりうちがわ)は、知内川水系の本流で

長さ 34.7 km

アイヌ語の「チリ・オチ」(鳥・いる所)が語源とされます


松前郡福島町、大千軒岳脇の 燈明岳南東斜面に源を発し

東へと流れ、住川、綱はい川、頃内川などの支流を合わせ

津軽海峡に流入します





大千軒岳の位置








日本300名山の大千軒岳  転写





知内川




大千軒岳の名の由来は、江戸時代の初期、松前藩主が金採掘奉行を置き

砂金を採収し始めたことにより、千軒の家屋ができ

町が繁盛したことによると伝えられているようです


この大千軒岳が爆発し、噴出した火成岩(玄武岩)が、川で砕け、堆積し

変質し、風化して縮れてできたのが、千軒石のようです




転写




当時は、大千軒石と呼ばれ、松前藩主をはじめ重役、家臣に庭石として喜ばれ

現存する松前藩菩提寺や松前公園で随所に見られるそうです

のちに、京都にも伝わり、公喞の間に評判になったといいます



このように庭石として人気のあった大千軒岳石が

水石として採収されるようになったわけですが

「大千軒岳石」の名では語呂が悪いということで

函館愛石会で石名を「千軒石」と統一し

会名も「函館千軒石愛好会」とする事となったそうです



本州に伝わり、新潟の八海山石や京都の加茂川石に化けて

売られていた時代もあったようですが

現在では、千軒の名が浸透し、千軒のほうがずっと格上なのかもしれません


とくに加茂川の真黒石(巣立ち真黒以外)は

本当に加茂川石なのかを結論づける根拠を持ちませんし・・・

誰かが「これは加茂川石です」と言えば、そうなってしまうような石でしょ(笑)



千軒石は「松前古潭」とも称しますが

その重厚さと

石塊を集めて、さらに焼いて溶かしたような石質は

古潭とも八海山とも別モノでとても魅力のある石の1つと言えます






クリックすると写真が拡大表示されます






横31×高さ(台込)18×奥19  およそ12.5㎏(台込)
































この石も、千軒石の著名な収集家であられる

センゲンさんよりいただきました


センゲンさんが、 「雲龍」という銘がつけ

寝室に置いて大切にしていた石です



私の所有する千軒石の中で

別格中の別格レベルです


届いた石をみて

センゲンさんに

「よくこの石を手放しましたね!!」

と言ったほど

超名石です


肌に、ジャグレばかりでなく

鉄を溶かしたような肌の質感をもち

重厚さも感じさせ

千軒石の魅力を全て兼ね備えた石です











横30.5×高さ(台込)13.5×奥16  およそ5.5㎏




















札幌愛石会の相談役の野村さんよりいただきました

そのさい「この石は天下の名石クラスの石なので大事にしてください」

とのお言葉をいただいています


正面は、ジャグレはすくないモノの

石を溶かしたような質感と色調が

あますところなく千軒のよさを伝えています


またむしろジャグレが少ない分、武骨でどっしりした山容のなかに

優美さが同居しいます


色は黒に多少緑を混ぜたような感じで

裏も観賞できます












横29.5×高さ(台込)13×奥19.5  およそ5㎏




この石は奥に山があり、ジャグレを雲海にみて

雲上の山の景にみれます


やや山が奥へ倒れる感じなので

写真では平坦にみえてしまいますが、ちゃんと山になっています












実物は、青黒く

揖斐川の石に似た千軒です



ジャグレの部分は非常に硬く、指で弾くとキンキンと音がして

石の芯を感じさせます


また、ジャグレの部分には雲母が混じり、キラキラしてます


養石もじつによい仕上がりです


愛知県の菊花石・水石専門業者 天勝庵の渡辺さんからいただきました











横18×高さ(台込)6×奥10  928g














千軒の小品の名品です

この石も菊花石専門業者 天勝庵の渡辺さんよりいただきました


渡辺さんは、水石収集も長年なさっていたので

ヤフオクに出品をはじめた当初は、かなりいいモノを出していました

長年、収集してきたコレクションを出していたわけです


千軒石の大型で、底切りですが景の素晴らしいモノも水石ブームのときに

だいぶ買ったようで出品していました


しかし、景がよくても、底切りでしかも大きいものは今は流行らないので

結局、投げ売りみたいになってしまったたようです


私もすすめられましたが

基本、底切り石は買わないので、そう伝えると

この石をすすめてきたのでした


ただ、サイズが小さいのと

写真が悪すぎて

奥に牙のようなツノのようなのが2本出ているのも気になるし

と思案していると


金額でいうと

本来 は「ゼロが1つ違う」くらいいい石だからというので

「渡辺さんがそこまでおっしゃるのなら」

ということでいただきました


到着してびっくりです

「千軒にこれだけ質のいい真黒があるんだ」と感激でした

川ズレは抜群にいいし

全体が穏やかな山形で、谷があって橋がかかっていて

景も素晴らしい石でした












横27×高さ(台込)9×奥17  4㎏強










この石は、札幌愛石会の相談役の野村さんよりいただきました

野村さんは、左になだらかな山をもつ山形石に観ていましたが

島形にも観れます


いずれにせよ

これだけの千軒となるとヤフオクにもなかなか出てこない石です










赤千軒石




横15×高さ(台込)11.5×奥11.5  1740g







この石は、最初、神居水石庵の陶山さん(旭川水石会副会長)が

ヤフオクに3千円たがで出品していて

「落札しよう!!」と思っていたところ

仕事していてすっかり忘れていて入手できませんでした



陶山さんは、神居水石庵という

神居古潭をはじめとした北海道の石の展示場を営まれていて


また、高齢になった地元水石会の会員の石を

ヤフオクに出品してあげることなどをしている方です


陶山さん自身も76歳になられています



ところがその2週間くらいあとにヤフオクに

別の業者が4千500円だかで出していたので

そのままの値段で手にいれることがでました



以前、亡くなられた一選堂(旭川の水石業者)の相内さんが

お客から「入ったら知らせてくれ」と頼まれる石として

古潭の輝緑、本真黒、幸太郎の赤とともに

この赤千軒をあげていたので

ずっと気にかけていました


ときおりヤフオクに出てはくるものの落札したい

と思うものがありませんでした



この石は小ぶりながら

「双耳峰」と「吊り尾根」の抜群に美しい景をもっていて

川ズレもいいですね



双耳峰の山というのは、神居古潭石の輝緑で述べたように

日本100名山の著者 深田久弥も好み

その代表格である 後(うしろ)立山連峰 最高峰の鹿島槍ヶ岳は

岳人の人気投票でつねに五指に入ってくる名山です


しかし、たいがいの水石収集家は

本当の山を知らないので、当然、双耳峰のよさも分りません


なのでこの赤の千軒をみて

「これはいいな もしかしたら安値で買える」と感じ

そのとおり非常に安く入手できたわけです












横22.5×高さ(台込)10.5×奥17  およそ4㎏










この石は、札幌愛石会の相談役の野村さんよりいただきました


千軒の荒々しさがなく、好き嫌い分かれるかもしれませんが

それだけに加茂川石と称しても

誰もが納得してしまいそうな石です


野村さんは、手前のジャグレを岩壁とみなし

島形石とみていました



もちろん島形にもみれますが

私はこの石をみたときに、北海道の石でもあったことから

暑寒別岳(しょかんべつだけ・増毛町)を思い浮かべました


暑寒別はまだ訪れたことのない山ですが

穏やかな山容をもち、直下に高層湿原が広がり

日本200名山に名をつらねています






暑寒別岳  転写





暑寒別岳と雨竜沼湿原  転写





暑寒別岳と雨竜沼湿原  転写











横47×高さ37×奥24  およそ41㎏




実際の色は、黒に若干、青味がかった感じです

写真は、青が強く出ています


川ズレとジャグレは7対3が理想と言いますが

個人的には、川ズレとジャグレのバランスはこれくらいが好みです



何十年と庭に置いてあった石なので

養石もできています





この石は、著名な石の収集家 静岡県在住の一刻爺さんこと

田旗さん(故人)よりいただきました



田旗さんのお庭に3石ほど大きな千軒がありましたが

そのうち一番景色がよかったのがこの石です

3石は、友人が自採してきたとのことでした


千軒といえば、水石界に名高い石なので

大きいものも1つは欲しいと思っていたので

よい機会ととらえいただきました


そのさい

「この石、何キロくらいありますか?」

と田旗先生に訪ねると


「20キロくらいだろ」と言うので

私もちょっと持ち上げてみて

「そうですね。たぶん25キロくらいだと思います。30キロはないですね」

なんて答えてました



ところが

「45キロあって、宅急便では送れないので

地元の運輸会社に送ってもらうよう手配した」

というのです


「まじか!!」でした

実際には41キロでしたが・・・



そんな思い出の石でしたが

ちゃんと庭がある方に愛でてもらう方が

石にとって幸せであると感じ

手放しています












横24×高さ7×奥16.5  2657g










この石も田旗さんよりいただきました


先に紹介した 天勝庵さんよりいただいた小品の名品以上に

びっくりの質の千軒でした


景に若干、難はあるものの

この石質と色調

これなら「松前古潭」の名も分かります

もちろんオイルなど塗らずに、この艶ですよ


また、写真では判りずらいですが

ジャグレの部分がやや青味があり

黒との調和がじつに味わい深くなっています




千軒石 奥深し・・・

と実感させられます












横15.5×高さ(台込)7×奥10.5  902g











この石、千軒石の著名な収集家であられる

センゲンさんのご厚意で、譲っていただいた石です


小ぶりながら、ジャグレがよく

景色はなかなかのものです



質もよくキンキンの硬さです








芳山という銘があります

埼玉県川越市の佐藤吾郎氏の作とのことです






台座がとても素晴らしいので

写真を載せておきました












横20.5×高さ(台込)11×奥14  3㎏強


















この石は、お亡くなりになられた

旭川の一選堂(水石業者)の相内さんが

ヤフオクに出品なされていた石です


そのとき落札できなかった思い出の石なのですが

このたび、千軒石の著名な収集家であられる

センゲンさんのご厚意で、譲っていただき、私のもとにきました


色は、やや緑っぽい黒です











横24×高さ(台込)9×奥17  およそ4.5㎏
























この石も、千軒石の著名な収集家であられる

センゲンさんよりいただきました


「うねり」という素敵な銘がついていました

センゲンさんのブログに

真ん中が盛り上がっていて、まるで大地がうねり

大自然のエネルギーを感じます


とあります



センゲンさんは

千葉県の人のオークションで購入したそうです


ブログには

届いた石を手で撫でながら

「北海道から離れ、また北海道に戻ってきたんだなあ。よく帰って来たなあ」

と石に語りかけました


千軒石の故郷は北海道ですから

長い旅から石が戻って来た嬉しさがこみ上げました

とありました




波濤(大きな波)のうねりともみてとれる

躍動感のある素晴らしい石なので


センゲンさんのブログの写真を繰り返しみている

魅入ってしまったと伝えると


手放してもいいと言ってくださり

再び、関東へと渡ることになったわけです



実際の色は、黒ですが、微妙に緑がかった感じです











横16.5×高さ(台込)10×奥7.5  1099g

















この石も、千軒石の著名な収集家であられる

センゲンさんよりいただきました



台座は2種類あります


小ぶりながら

猿橋のかかる景は、ことに素晴らしいです












横29×高さ(台込)15.5×奥13.5  およそ6㎏

















この石も、千軒石の著名な収集家であられる

センゲンさんよりいただきました



ジャグレで名を馳せる千軒石ですが

意外にも、こうした

八海山石のような「穿ち」(うがち)のジャグレ

スプーンでえぐりとったようなジャグレ

のタイプは、珍しいそうです



名石です











横28×高さ(台込)15×奥14.5  およそ5.5㎏






















この石も、千軒石の著名な収集家であられる

センゲンさんよりいただきました



肌が荒く、ジャグレとちりめん肌を融合させたような

質感が魅力です


また、裏表観賞できます




私の場合、景においては

当初、岩峰の連山や

ジャグレをもつ変化のある山を手にすることに憧れ

のちに、穏やかな山こそ得難いことを知りました


肌においては

ジャグレの真黒、また、古潭や四万十のような質感のみの石

を離れ

揖斐→ 瀬田→ 佐治の芯→ 多摩の大栗

といったいわゆる肌のよい石たどりました


そしてここが、水石の終着点だと信じていたわけです



最近では「ジャグレ石なんて」と

ジャグレをなめていたところもあります





ところが、今回、センゲンさんと知り合い

千軒の秀石を、いくつか手にする幸運に恵まれ


千軒石の肌質の豊富さに驚くとともに

その特有の質感から

ジャグレの魅力を再認識するに至るわけです



とくに、この石のちりめん肌のジャグレは秀逸でした



水石の世界には

「遠山に始まり、遠山に終わる」

という遠山景の石の

奥深さを語る言葉がありますが


「ジャグレに始まり、ジャグレに終わる」

という世界もあるのかもしれません








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