下仁田の水晶・カドレラル水晶(秋田県協和町)・黒水晶(岐阜県中津川)


水 晶




水石の世界には

「遠山石に始まり、遠山石に終わる」という言葉がありますが

鉱物収集の世界には

「水晶に始まり、水晶に終わる」という言葉があるそうです


水晶から入り、そこから色々と収集した結果、やはり水晶が一番と悟り

水晶収集に戻っていくということです


また、それだけ水晶というのは種類が豊富な石なわけです






鉱物を観賞するとは

突き詰めていうと、鉱物の結晶を観賞する

ということになるかと思われますが



水晶の生成については


熱い水に溶けた食塩が

水の温度が下がると、溶けきれなくなり

仲間同士くつついて=結晶となってでてきます


水晶や他の鉱物もこれと一緒です




地中深くに水晶の素である珪酸が溶け込んだ温泉の脈があって

温度や圧力が下がると珪酸分が結晶になって現れ

その結晶が長い時間を経て成長して

水晶になるそうです




水晶は二酸化珪素(シリカ)というものでできていて

シリカは食塩の2000倍以上水に溶けにくいそうですが

1リットルの水に0.12gほど

溶けることができるのだそうです




また、水晶のもととなる

ケイ素は地球の表面にある元素の中で一番多い物質で

大地を作る大切な元素なんだそうです


石や砂や岩にも、ふつうケイ素が含まれていて

ケイ素が含まれる化合物はたくさんあり

その中でも特に多いのが二酸化ケイ素(シリカ)だといいます




このため地球上で最も多い鉱物は「石英」で

砂埃(ほこりやチリ)の成分にも石英が含まれていて

ガラスや車の塗装などを傷つけます


硬度7より低い宝石の手入れは

擦(こす)るのではなく軽く埃を払う様にするのがよい

とされるのもこのためです




ちなみに、水晶と石英の違いには

はっきりとした定義はなく

研究者、鉱物収集家、業者、それぞれ勝手に呼んでいるそうです


慣例としては

石英のうち、わりと透明度の高いものを水晶と呼んでいるといいます




なお、奈良時代には

加工していない天然の「白石英」と

装飾品として加工された「水精」(水晶の古い書き方)と

区別していたともいいます





水晶ができるには

地下の奥深く、ものすごい高い温度と

ものすごく高い圧力が必要だといいます


圧力が高いと、普通ではあり得ない高い温度まで

水の温度をあげることができるのだそうで

これぱ圧力鍋と同じ原理だといいます



そしてマグマで熱せられた地下水が

岩を少しずつ溶かしていき

地下の温度が冷える→熱水の温度も下がる

すると溶けていた二酸化珪素が溶けていられなくなって

結晶として出てくる

これが水晶だといいます



早く冷えると小さな結晶

ゆっくり時間をかけて冷えると大きな結晶

となるそうです




水晶は1mm成長するのに100年かかると言われているので

小さな小さな水晶でも何百年とかかって

出来ていることになります




転写 (周りは瑪瑙)

このような小さな水晶でも何百年とかかって形成されたようです


なおこうした晶洞が大きくなったものが

水晶ドームなんだそうです




10cmの長さの結晶なら1万年かかって出きたことになるようです


このようなことからも

成長発展していく縁起物としての人気もあると言います






なお、石英鉱物は、目に見えるほど大きく結晶しているもの

つまり顕晶質(けんしょうしつ)のものを「水晶」と呼びます


一方、ミクロサイズの結晶が集まった潜晶質(せんしょうしつ)のものは

「カルセドニー」(玉髄)、「瑪瑙」(アゲート)、「ジャスパー」(碧玉)に分けられ


「カルセドニー」(玉髄)と「瑪瑙」(アゲート)は、半透明なモノ

「瑪瑙」(アゲート)は、カルセドニーのなかで模様の美しいモノをいいます


これに対し、ジャスパーは

酸化鉄や粘土鉱物などの不純物が多く不透明なモノを指します






メノウの模様は、どのようにしてできるのか?


マグマというのは岩石がドロドロに溶けた状態のものです

マグマが固まり、岩石になると、マグマの中にあった気泡が空洞になります


岩石に、年月と共にひび割れが生じ

ひび割れと空洞がつながります


その割れを伝って地下の熱水が空洞に入ります


空洞内部の壁に、珪酸のミクロの結晶が沈殿していきます

〔風呂の湯垢と同じ原理。湯垢は、水道水に含まれるマグネシウムが

石鹸の成分と化合することで発生する〕




この沈殿は、何十年、何百年、何千年とつづき

結晶はゆっくりと成長していきます


その間に、熱水の成分が変わったりすることもあるわけで

これにより結晶に含まれる不純物に違いが生じます


この変化と成長の繰り返しが

縞メノウの色の違う層をつくり出すそうです





転写





転写




どんどんと沈殿し、空洞を埋め尽くしたものもあります


もともとの空洞が、いびつな形をしていると

縞模様も複雑になるそうです



また、歳月とともに

周りの岩石が風化し、石や砂となります


完全に岩石が風化し、砂となった場所からは

砂から、硬いメノウだけ発見されるわけです



ちなみに多くの鉱物は

このように温泉(地下の熱水)から生まれるそうです






クリックすると写真が拡大表示されます







下仁田の水晶

(群馬県下仁田町)





横31×高さ25×奥28  およそ16㎏




この石の柱状の水晶の実物の色は、乳白色と透明の中間といったところです


国産の大型水晶となるとなかなかなく

私の知り合いの日本で有数な鉱物採集家でも

10㎏を超えるものを採ったのは

秋田のキャンドル水晶(めちゃくちゃキレイです)と

下仁田産水晶しかないそうです



なお、この方が所有する秋田のキャンドル水晶の大きなものは

目測で10㎏程のが1つと、20㎏のが3つがあり

博物館級で

各地の展示会にひっぱりだこ状態で

それが終わってからでないと手放しそうにないというところです










カドレラル水晶

(秋田県協和町)



前述の秋田のキャンドル水晶とは違いますが

こちらもなかなかキレイなものです

前述のものと同じ協和町産ですが

水晶というのは1つ山が違うと全く違ったものが出る場合があるようです



とくにこの石は、花が咲いた部分をもつところが素晴らしいです





横26×高さ16.5×奥15.5  およそ4㎏










前述の秋田のキャンドル水晶は

40万、50万レベルの石ではないし

なかなか手放しそうにないので

この石をもらってきたわけです




なお、カテドラルとは、キリスト教の大聖堂を意味し

写真のような大きな水晶に小さな水晶のくっついたものを

「カテドラル水晶」と呼びます

水晶の結晶が成長した後に

その表面に小さな水晶の結晶が成長したのだそうです



       

写真は転写



キャンドル水晶は、カドレラル水晶の1種で

乳白色をしたものを言います

キャンドルとはろうそくのことです





転写


ろうそくが溶けると回りに、ロウがたれてきます

大きな結晶の周りに小さな結晶が張り付いた形を

ろうそくが溶けて、ロウがたれている様子に見立てて

キャンドルクォーツ

(クォーツは水晶また石英をさす)

と呼ばれるようになったそうです



キャンドルクォーツが白いのは、

小さな空気の泡が入ってるからで

光が乱反射して白く見えるのだそうです


水滴の集まりの雲が白く見えるのと同じです





転写


全部が乳白色でなくても、キャンドル水晶と呼んでいるので

私の石も、キャンドル水晶と言っても間違えではないです

むしろ上が透明なのを火が燃えているさまに譬えるようです










薄緑の水晶

(秋田県協和町荒川鉱山)





横19×高さ.7.5×奥13.5  1818g







緑が入り、上品に輝く石です









三色水晶

(秋田県協和町荒川鉱山)




横6×高さ(台なし)5.5×奥5  166g




緑、紫、白の三色の入る水晶で

三色の水晶は、世界でもいまだ発見されていないのでは?

とのことで

今回、埼玉県長瀞博物館の水晶展にて、初公開されました







発見者は、私の知人というか、最初に水石を教えてくだきった方で

この方は、鉱物に趣味を移し

前述のとおり、鉱物の世界では、名の知られている人です


この水晶展も、長瀞博物館(埼玉県立自然博物館)の依頼をうけ

何人かの友人を誘い開催したというわけです


私の知人が92個(およそ1/3)

他の人たちは15個くらいずつの出展だったそうなので

実質、個展なようなものです



サイズが、小さく思えますが

この三色の水晶としては

まぁまぁ大きいほうのようです



なお、緑と白のものは、グリーンストロベリー水晶(形がいちご形)と

名付けたとのことです










ザラメ水晶

(群馬県下仁田町)





横21×高さ(台なし)13×奥12  1990g




私の知人しか、拾っていない水晶で

日本200名山 荒船山がすぐとなりにみえる断崖絶壁より

ザイル(登山用ロープ)をつかって採取してくるとのことです


この石の特質は、写真では全く表現できていませんが

ラメがちりばめられたごとく

キラキラと輝くところにあります










黒水晶

〔煙(けむり)水晶〕

(岐阜県中津川市蛭川村)





横7.5×高さ30.5×奥8  1573g










岐阜県中津川市蛭川村の黒水晶といえば

鉱物趣味の世界では、知らない人はいない

国産鉱物のブランドです


この石は、黒に近い煙水晶で

黒よりさらに人気があること


さらに、頭に欠けが全くありません


これくらいの大きさをもつ完品なら

30万くらい平気で出す人もザラというシロモノです



加えてこの石は

なにしろ景色がよく

水石の感覚で観賞できるので

いただいてきました




私の例の知人が

地元(岐阜)の石仲間の方と採集にいって

石仲間が採ったものだそうですが


「わざわざ来てくれたので」

ということで、いただいたものと言います



前述の長瀞博物館の水晶展にも出展され


「今後も、展示会で必要なときがでたら

貸してくれる という条件なら譲ってあげるよ」

ということで

売ってもらいました





別のページに書きましたが

鉱物趣味の場合

ガマが開かないと採集できないので

山で「脈」(水晶の場合、石英の層がこれにあたる)を探し

ガマみつける(花崗岩の中にできた空洞)わけです


九州なんかは火山灰が1mも積もっていて

脈が表に出ていないので

まずはこの火山灰の泥を除き

さらに2m掘る

という作業を20日間続け


ようやくガマを見つけて

水晶を出したといいます



ガマが開くと、リック3つ分とか持ち帰ることができるそうですが

ガマ開けというのは、かくも大変な作業のため


ほとんどの収集家は、一生に一回も

大きなガマを開けることなどできないといいます



坑道を掘り、金を採掘したあとに

ほっておかれた残留物(ズリ)より拾う

水晶が、傷や欠けが多いのに対し


ガマから出した水晶は

傷や欠けが少ないそうです


傷の多少で、値段は倍違うといいます





それから、外国では

企業が山を買って

機械で鉱物を採っているのに対し


国産鉱物は、数も少なく

また、個人的に

人力で収集しているため

一般に10倍ほど、値段が違うわけです








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