緋山酔恭「山水石美術館」 天竜川石・信濃川石・奈良井川 紅流し石・仙見川石


天竜川石




天竜川は、長野県から愛知県、静岡県を経て

太平洋へ注ぐ天竜川水系の本流で

長さは213km(9位)、流域面積は5090km(12位)の大河です


諏訪湖の唯一の出口である長野県岡谷市の釜口水門を源流とし

伊那谷を形成し、一部愛知県をかすめ、静岡県へ抜け

浜松市と磐田市との境を成しつつ遠州灘に注ぎます



流域は急峻な地形のため古くから「暴れ川」「暴れ天竜」として知られ

多数のダムが存在するそうです













奈良時代の頃には「麁玉(あらたま)川」

〔麁はまだ磨かれていない無限の光を秘めたものの意味〕

平安時代には「広瀬川」と呼ばれるようになり

鎌倉時代には「天の中川」と呼ばれ

その後「天流(アメノナガレ)川」

さらに「天竜川」と呼ばれる ようになったそうです





天竜川では

桃色梅花、ピンク梅花  と呼ばれる梅花石が採取できます





クリックすると写真が拡大表示されます






横32×高さ(台込)28×奥9.5  およそ17.5㎏




















上手に台座がつくってあります






後ろです




この石は、菊花石・水石専門業者 天勝庵の渡辺さんよりいただきました

渡辺さんの自採なされた石です


この石を拾ったとき、思わず小躍りしたと言います

大変な喜びようであったそうです




渡辺さんは、水石収集も長年なさっていたので

ヤフオクに出品をはじめた当初は、かなりいいモノを出していました

長年、収集してきたコレクションを出していたわけですから




渡辺さんは、この石をヤフオクに出品したのですが

出品を始めたばかりのこととて

画像(写真)の悪さと

3枚の写真では

石の全容すら判らず

裏側を「これが正面の写真だろうな」と思っていたくらいです


なので入札がありませんでした



そんなことで渡辺さんから

「あなたの好きな天場(土坡)をもつ名品だからどうか?」

「あなたなら一万円でいいよ」

と話がきたとき

「天場ってどこにあるのか写真ではわからないけど・・・

まぁ渡辺さんがそういうならいただきましょう」

くらいで購入したのでした



到着してびっくりです

名品どころか天下の名石でした


「一生一石」(満足できる石に出会えるのは一生に一石くらいなものだ)

という言葉がありますが

この石はまさに、渡辺の一生一石の石だったわけです










天竜古潭石




かつて天竜川では「天竜古潭」と呼ばれる

神居古潭石に匹敵する質の石が採れたそうですが

いまや幻的な存在です






横23×高さ(台込)14×奥13  5㎏弱










硬質で、緑がかった黒です

天勝庵の渡辺さんよりいただきました











横15×高さ16×奥10.5  2842g







天竜川の滝石です

茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました


滝石の場合、母岩より滝が後ろに引っ込んでいること

滝口(上)が狭く、下にいくほど広くなっていること

滝が灰色でなく、白いこと

という条件を満たす石は、めったにありません


また、底切り石ばかりで

このような石は稀有です










信濃川石




信濃川は、新潟県および長野県を流れる信濃川水系の本流です

新潟市で日本海に注ぎます

このうち信濃川と呼ばれているのは新潟県域のみで

長野県にさかのぼると千曲川と呼称が変わります


全長367kmは日本1位。流域面積11900km2は日本3位です

なお信濃川と呼ばれている部分が153kmなのに対し

千曲川と呼ばれている部分は214kmと千曲川の方が長いですが

河川法上では千曲川を含めた信濃川水系の本流を信濃川と規定しています





千曲川は埼玉県・山梨県・長野県の県境に位置する

甲武信ヶ岳の長野県側斜面を源流とし

八ヶ岳、関東山地などを源流とする諸河川と合流しつつ

佐久盆地(佐久平)、上田盆地(上田平)を北流します

長野盆地(善光寺平)で、飛騨山脈(北アルプス)を源流とし

松本盆地(松本平)から北流してきた

犀川(さいがわ)と合流します


その後北東に流れ、新潟県に入って信濃川と名前を変え

十日町盆地を通って越後平野(新潟平野)に出て

群馬・新潟県境の谷川岳から流れてきた魚野川と合流

新潟市で日本海に注ぎます



なお千曲川の源流の甲武信ヶ岳は

荒川の源流でもあります






転写







日本100名山 奥秩父連峰

甲武信岳〔こぶしだけ・甲斐(山梨)、武蔵(埼玉)、信濃(長野)の県境の山〕にて

右は黒金(くろがね)山


なお、奥秩父とは、武甲山(200名山・秩父の名峰)周辺とは全く別で

両神村、大滝村から山梨、長野の県境の山々を言います












横17×高さ(台込)15.5×奥8  2318g
















この石は、地元の愛石家がヤフオクに出品していたものを落札しました


もちろん底切りしたものではなく

姿が抜群によく、抽象的な雰囲気も素敵です

川ズレもいいです


「このような質のいい真黒が信濃川にもでるんだ」

と感嘆して入札しましたが

他に入札した人がいたかいないか記憶にないくらい安値で落ちました










奈良井川石




奈良井川は、信濃川水系の河川で、長さ56.3km


中央アルプスの主峰 木曽駒ヶ岳(2956m)の北にある

茶臼山(2658m)北壁に源を発し

南下する東の天竜川、西の木曽川に挟まれた中を北上

沿線の観光名所の中山道の奈良井宿、贄川(にえかわ)宿を流れ

塩尻市、松本市を貫き

松本市大字島内で梓川に合流する

梓川は、ここから犀川(さいがわ)に名を変える とあります






木曽山脈と書かれている場所が

木曽駒です










転写





中央アルプス 宝剣岳(2931m)

右肩に100名山の空木(うつぎ)岳の頭が見えます


さらに雲におおわれているのが、200名山 南駒ケ岳です






日本100名山 中央アルプス最高峰 木曽駒ヶ岳にて、南アルプスと富士




私が奈良井宿を訪れたのは

30年以上も前、20歳そこそこのときです

その頃の奈良井宿は

同じ木曽の宿場町であった

妻籠(つまご)、馬籠(まごめ)が

観光地化されていたのに対し

観光する人などほぼゼロに近く

よほどの旅好きしかいかないような場所でした



妻籠や馬籠が

電柱を排除したり、いかにも江戸時代風に飾るなどして

半分、資料館かつ土産店のようになってしまったのに対して


奈良井は、歴史的な雰囲気を残す家並みに

人間が、ふつうに、また実際に 生活しているとことからくる

匂いというか雰囲気を

写真に撮影したかったからです




30年以上たった今、ネットで画像してみると

奈良井宿も、完全に観光地化されていていました





転写





余談になりますが

高校3年の夏休みには、国鉄の周遊券で

北海道を一周しました

およそ20日間、全部、野宿でした


その際、小樽運河が埋められてなくなるのではないか?

という話があり、水の流れていない

小樽運河にも立ち寄りました


ここもいまや観光地として整備され

道南観光の目玉の1つとなっています





転写





また高校3年の春休みには

やはり野宿で、西日本のあちこちを観光し

白川郷にも立ち寄っています


その当時の白川郷は

奈良井ほどではないにしろ

やはり訪れる人が少なく

人間がふつうに生活している場所

として存在していました




転写



20歳頃には、富山県側の五箇山合掌集落も

一緒に行きましたが

当時は、≪秘境≫とさえと言われていました





転写








横15×高さ22.5×奥6.5  およそ3.16㎏















この石は、長野の月水苑の月水さんからいただきました


奈良井川でも、このような瀬田の梨地と同様な石が

揚がるとは

知りませんでした










奈良井川 紅流し石






横19×高さ(台込)9.5×奥9  1005g














奈良井川の石といえば

加茂川、犬上川(滋賀県・淀川水系)

とともに紅流し石が、よく知られています


加茂川石 加茂紅流し石 参照




この石は、やや小ぶりながら紅の入りがよく

なかなかの秀石です









仙見川石




仙見川は、新潟県五泉市(ごせんし)を流れる清流で

仙見川石は、八海山石に並ぶ新潟県の名石として名高いです


仙見川は

早出川(はいでがわ・はやいでがわ・はやでがわ)の支流です


早出川は

新潟県の主に五泉市を流れる阿賀野川水系の河川です

新潟県北東部、越後山地の矢筈岳(やはずだけ・1257m)に源を発し

杉川、仙見川をあわせて五泉市の北東部を経て

阿賀野川に合流する川で、長さ45キロメートル とあります








矢筈岳  転写






仙見川石の

荒々しく川ズレしたその石肌は

八海、揖斐、佐治とも違い

目を見張るものがあります







横32×高さ28×奥21  およそ19㎏










茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました







転 写





この写真の石(加茂川石)は、日本水石協会の看板石ですが

底切り石だと思いますし

「手が入っているんじゃない?」

という感じです



それに比べてこの仙見の石は、形は完全でないものの

作為が全くなく


加茂川のほうは、写真がもう1つよくないので

確かなことは言えませんが

この写真をみる限りでは

石質、石肌で圧倒しています











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