緋山酔恭「山水石美術館」 全国の水石・美石を紹介 土岐石


土岐石




土岐石は、土岐川や庄内川を産地とします


庄内川は、岐阜県南東部

および愛知県北西部を流れ伊勢湾に注ぐ河川で

岐阜県内では「土岐川」と呼ばれています




土岐石という言葉には広義と狭義があって

ちょっとややこしい石です


狭義では、ウッディ―ジャスパー(木がジャスパー化されたもの)

樹木の碧玉(ジャスパー)のみを言います



広義では、ウッディ―ジャスパーの他

土岐川や庄内川で採れる

珪化木(ジャスパー化に至っていない木の化石)

チャート、紋石、さらには壺石(つぼいし)やアンモナイト なんかを含めます



なお、チャートも、ジャスパーほどの硬度をもちます

そもそも、チャートとは堆積岩の一種で

主成分は水晶、メノウ、ジャスパー同様の石英です

この成分を持つ放散虫・海綿動物などの動物の殻や

骨片(微化石)が海底に堆積してできた岩石と言われています


しかしチャートはジャスパーに比べると

色味に鮮やかさや深みがありません



また、ホンモノの土岐石(ウッディージャスパー)か、チャートなのか

よほどの熟練者でもなかなか見分けのつかない石がたくさんあるそうです


これは、生物の遺骸が層状に堆積したものが

あたかも木目に見えるかららしいのです







横15×高さ(台込)12.5×奥10.5  2352g





この石は、土岐石の紋石です

磨いてあります

岐阜の桜石に似ています

質はチャートと思われます







横11×高さ8×奥9.5  410g


この石は、壺石(つぼいし)です

壺石は石が集まってできた石で中が空洞となったもので

空洞を楽しむため1つ石をはずすそうです

土岐津町産のものは天然記念物に指定されているそうです



とはいえ面白いというだけの石で、土岐石の中でも、人気は低いです

高←碧玉・紋石・アンモナイト・壺石・珪化木→低

となっているようです






そもそも鉱物学的には

ウッディ―ジャスパー イコール 珪化木なのです

珪化木とは、珪酸成分が多くなった=ジャスパー化された木の化石です



しかし、土岐石の鑑賞においては

赤や青や黄色といったキレイな色のついたものだけを狭義の土岐石とし

ジャスパー化に至っていない白っぽいものを「珪化木」としています




つまり、狭義の土岐石とは

他の地域でいう「錦珪化木」(にしきけいかぼく)

そのものなのです


但し、川ずれた自然のままの石を飾る

石を磨かない

という独特の文化性をもちます



なお、チャートや紋石でも特別いいものは、狭義の土岐石に含めたりもします




また、佐渡では青玉は赤玉より安いです

ところが、土岐石では青(緑)がとびぬけて高いです


ただ、赤のほうが数が少ないといいます


なお黄色のジャスパーは、佐渡では「黄玉」と呼ばれ

それなりの価値をもちますが

土岐石の場合、黄色のもの(黄碧)や茶色のもの(ヤニ碧)は

紋様や赤でも入らない限り、ただのような値段です




土岐石は、静岡から愛知、岐阜あたりだと熱狂的に好まれているようですが

東京のほうだと収集する人は少ないかもしれませんね


私も以前は

「佐渡の石のほうが全然いい」なんて思っていましたが

実際、手にすると、ジャスパーなので

土岐は土岐で素晴らしいものです



また、面白いのは八海山石同様、今なお地元の愛石会が元気です

地元に愛好家が多いということです


それでも、最大の会員数をほこる多治見の会も

ずいぶん人数が減っているらしいです

20人ほどになったと聞きます



なお、現在 、土岐石は「全く拾えない」とはいうものの

専門の販売業者もいるし、ヤフオクにも出るし、水石展なんかでも売られるし

わりと入手はしやすい石ではあります






土岐石は土岐砂礫層から産出されたといいます

樹木が火山灰に埋まり、火山灰には珪酸が多く

この珪酸成分が樹木に染み込んでいったとされます

そして地熱の影響で炭化され、さらに碧玉化されていったようです





土岐石には、独特の観賞様式が存在し

「腐れ」「虫食い」「コブ」「皮目」「年輪」「ホケ」などといった言葉を用います



「コブ」「皮目」「年輪」「虫食い」は、言葉の通り、樹木のときのそうした痕跡です

皮目は、木の皮がジャスパー化した部分です



腐れは、ジャスパー化が不十分な部分をいい

石になる以前に、その部分が腐っていて軟らかくなっていたことが原因とされます






「腐れ」「虫食い」「コブ」「皮目」「年輪」といったものは

土岐石、すなわちウッディージャスパーの証拠として喜ばれているのです


また、永い年月、土岐石が地表近くにあり

表面の色が風化により淡く変質したものを

「ホケ」と呼ぶようです





なお、錦珪化木は

1つあるいは1種類の樹木によって形成されているとは限りません

様々な樹木が折り重なって埋没し、熱変性を起こし

谷川などに転がって小さくなったものもあるわけです



写真の石は、津軽錦石の錦珪化木ですが

木目の方向がぐじゃぐしゃです











天然石大好きさんより聞いた話です


土岐石は、川で拾えるものもあるにはあるそうですが

ほとんどは、山で拾う石だそうです


川で拾うものは、表面が白っぽくなっていて

色調がよくないということです







また、山といっても、人里離れた山とか

里山とかいうのではなく


街の近くにあって、業者が崩している山で

(石灰岩を採掘しているのか?)


その残土から

拾ってくるものなのだといいます


平日は、業者が採掘しているので

土日に、現場に入って拾ってくるのだそうです


とはいえ、今では全く拾えなくなっている

といいます



「現在では全く拾えなくなっているということですが

まだ、山を崩しているのに、突如、拾えなくなることってあるのですか?」

と聞くと


「鉱脈があって、それがなくなると

また新たな鉱脈が見つからない限り、拾えないんじゃないかな」

ということでした






茨城県結城市の水石業者 株木さんは

「美石の産地というのはくどいんだよ」

(産地を特定するのが難しい)といいます


株木さんは、骨董と石の市をしていて

骨董商が、ときおり美石を持ち込んでくるそうですが

その石の産地を特定するのに、難儀するというのです




水石というのは、ある川の石なら

そのある川でずっと拾えるので、産地の特定がしやすいのに対して


美石というのは、あるとき出回って

鉱脈がなくなると、それっきりなくなってしまうからだそうです


かつて、栃木県の茂木市に、ジャスパーが出て

「茂木ジャスパー」の名で、業者のあいだに

流通したことがあったそうです


ところが、鉱脈がなくなり

突如、ぱったりでなくなってしまったそうです


「今じゃ、茂木ジャスパーの名すら知る人がいないんじゃないかな」

と言っておられました






即売を目当てに、展示会にくる人も多いようです


土岐石の会に入っておられる

天然石大好きさんから

「朝早くにきて、石を買っていく人も多いのよ

「(展示した)石なんかろくに見やしない(笑)」

なんていう興味深いお話も聞けました


なかには、ネットで転売することを目的に

即売にくる人もいるそうです






クリックすると写真が拡大表示されます






横16.5×高さ(台込)8×奥9.5  1362g


滝石





台座は、薄いモノと厚いものをあつらえてあります

白山紋石庵の山下さんよりいただきました






後ろ側





裏側(底)











横15.5×高さ(台なし)10.5×奥5  996g












柿赤の鮮やかな土岐です














横12×高さ(台なし)13×奥6.5  1183g










横14×高さ(台なし)10×奥4.5  935g








水色の土岐で

中央部分が、まだ完全にジャスパー化されておらず


「腐れ」がいい感じに入っています











横10×高さ(台込)7×奥6  388g











横15.5×高さ(台込)14×奥8.5  2435g




紫色の土岐です











横13.5×高さ(台込)12×奥6  1391g








えび赤の土岐です

















横14×高さ6.5×奥11  1157g


















横16×高さ(台なし)13.5×奥9  2105g




紅葉の山を想わせます











横15.5×高さ(台なし)9×奥5.5  880g


銘  うずしお

















横11×高さ(台込)12.5×奥5  919g













横9×高さ(台込)12.5×奥5.5  717g











横10×高さ(台込)14×奥6.5  1484g












横10.5×高さ(台込)12×奥.5  848g

















横8.5×高さ(台込)8×奥5.5  370g















小品ですがなかなかの名品

両面どちらもいいです



白山紋石庵の山下さんの自採の石をいただきました











横11×高さ9×奥7  1003g




この石は、チャートかと思われますが

一部、メノウと見まごう透明度の高い部分を含みます


いずれにせよ

ピンク色の石として、マンガンよりもずっと硬さはあります












横13.5×高さ(台なし)8.5×奥6.5  1038g







五色の土岐石です






この石は、川採りで、表面が白っぽいので

オイルを塗りました














横14.5×高さ(台なし)13.5×奥6  1720g




白山紋石庵の山下さんの自採の石をいただきました











横9×高さ(台込)17×奥6.5  1619g




虫食いの土岐石の決定版と言える素晴らしい石です

石質、石肌がよく

「なんとも表現しがたいこの質感」

「鮮やかさと渋みが同居し気品が漂う」

という土岐石のよさを教えてくれるような石です



日本人でないと理解できないであろう

独特の気品

この感覚を理解する日本人がいる限り

日本は日本としてまだまだ存続しうることができると感じました


白山紋石庵の山下さんよりいただきました









裏側











横17×高さ(台なし)26×奥13  およそ9.5㎏







土岐石としては珍しい大型のもので、磨いてあります

実物は写真よりやや茶赤ですが木目が美しいです



「ニュウ(乳)が多い」という菊花石をはじめとする根尾谷石の特徴を

もつことから、岐阜の根尾谷の錦珪化木かもしれませんが

いずれにせよいい石だと思います








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