神居古潭石とは (かむいこたんせき) 山には大きく分けて2種類あります ひとつは火山の山です これは、噴火によって溶岩が流れ その溶岩が積み重なってだんだん高くなってできたものです 富士山が代表で、3回の爆発によって噴出した 溶岩が積み重なってできた山だといいます もう1つは、富士山のような独立峰ではなく いくつもの山が連なった山脈とよばれているものです これらは、地面にしわがよってできた山なのです 地球表面は、年に2~20cmほど動いているとされます また、地球の表面は、まるでジグソーパズルのようになっていて それぞれのピースがいろいろな方向に動いているそうです このため、どこかでぶつかるところができるのです ぶつかってもふつうは、どちらかが下にしずみこんでしまうのですが ときどきそれができないような大きなものどうしがぶつかることがあり その力によってできたのが山脈の山なわけです ユーラシアプレートと北米プレートの境界は 現在は日本海に列島に沿ってあるとされていますが かつては今の北海道を縦断する位置にあったと考えられています 2つの巨大プレートが衝突する場所となっていて その結果日高山脈が形成されたといいます 東側の北米プレートが 西側のユーラシアプレートにめくれ上がるように乗り上げて 日高山脈ができたそうです 日高山脈は、北海道の中央から南の襟裳岬まで 南北およそ150 kmにわたる山脈ですが プレートの衝突の際、マントルの一部を地表に押し上げ 橄欖岩〔かんらんがん・火成岩(深成岩)の一種〕の山 ポイ岳をつくり上げたそうです 日高山脈(航空写真) 日高山脈は、変成岩や火成岩と堆積岩からできているそうです ● 変成岩~ 火成岩、堆積岩などが温度・圧力などによって別の岩石になったもの ● 火成岩~ マグマが冷えて固まった岩石。 マグマが急激に冷えて固まった火山岩と マグマがゆっくり冷えて固まった深成岩に分類される ● 堆積岩~ 岩石が風化してできた礫・砂・泥、または火山灰 または生物遺骸などの粒が、海底・湖底、または地表に堆積してできた岩石 岩石が高い温度や圧力を受け もとの岩石の鉱物が別の鉱物に変わる現象を「変成作用」といい 変成作用によってできた変成岩がつらなっているところを「変成帯」といいます 北海道の変成帯は、太平洋側に高温型の日高帯 日本海側に高圧型の神居古潭帯が位置し、他の地域とは逆の配置になっています これは、かつては別々の東北海道と西北海道だったものが プレートの動きに運ばれて衝突したという説があります この説では東北海道が、西北海道に乗り上げていて 日高山脈(日高変成帯)はこのためにまくれ上がった部分となるわけです さて、日高山脈(日高変成帯)の西側には、神居古潭変成帯が存在します 神居古潭変成帯は、変成岩に蛇紋岩が混合した岩石よりなり 日高地域の三石(アポイ岳の北西・現在は新ひだか町)より サハリンまで広がっているそうです 神居古潭変成帯の山には、天塩(てしお)山地や夕張山地があります 蛇紋岩は、もともとマントルを構成していた橄欖(かんらん)岩が 水を含むことで密度が小さくなり 軽い蛇紋岩となって、上昇してきたものといいます 海洋プレートが沈み込む地帯では、プレートが持ってきた水分と反応して 橄欖岩が蛇紋岩に変化します 橄欖岩とは地球の地下深くマントルの岩石を形成している岩石です 地下深くにあるので地上には存在しないはずですが 地殻変動などで地上にも出てきます 蛇紋岩は比重が軽いので浮きあがろうとするそうですが これも地殻変動に便乗して地上に現れるそうです とはいっても、地下から地上へ億年単位はかかるようですが・・・ 【 金生山の大理石と根尾の菊花石の生成について プレートテクトニクス を参照してください 】 蛇紋岩は、含まれる水が少なければ比較的しっかりとした岩石になるそうです 地下深部で蛇紋岩となった岩石が上昇する時 周囲にあった変成岩を取り込んで上がってくることがよくあり これが神居古潭帯をつくっている岩石の生い立ちらしいのです 神居古潭帯の南部で明瞭な山脈をなさなかったのは 水をたくさん含む蛇紋岩となっているためで 天塩山地は、水が少なく比較的しっかりした蛇紋岩でできているそうです また、夕張山地は、柔らかい蛇紋岩からできてはいるのですが 固い変成岩を多く含むため山を形成できたそうです 夕張山地と天塩山地のつなぎ目が、神居古潭渓谷にあたります 深川と旭川の間にある3キロにわたる急峻な地形の渓谷です 石狩川の中流域にある景勝地です 石狩川は、大雪山系石狩岳の西斜面に源を発し 上川盆地、石狩平野を経て日本海に注ぎます 日本200名山 石狩岳(1967m) 転写 石狩川は、北海道中西部を流れ日本海へ注ぐ石狩川水系本流 長さ268kmは、信濃川、利根川に次いで3位です 流域面積は、利根川に次いで全国2位です カムイコタンとは、アイヌの言葉で「神々の住まう集落」を意味し 現地からは縄文時代の竪穴式住居 ストーンサークルなどの遺跡が発見されているそうです 神居古潭渓谷には、神居古潭石と呼ぶ、水石の世界において 並ぶことのない名石が出ます 川石の王というだけでなく、水石の王者というにふさわしい質と色を備えているわけです この神居古潭石とは、神居古潭変成帯の岩石が転石となり 急流で洗われ水石となるとされ 基本、蛇紋岩を含む変成岩です 但し、水石の世界では この渓谷で採取できるジャスパーの赤を「赤古潭」と呼んだり ジャスパーの黄色を「黄金古潭」と呼んでいて 総称して「神居古潭七石」という言葉もあるくらいです 私の所有するものでも 真黒(まぐろ)、本真黒(斑入り)、蒼黒(そうこく)、墨黒(すみぐろ)、銀流し 輝緑(きりょく)、緑泥(りょくでい)、茄子紺(なすこん) 赤、黄金、翡翠系、虎 と呼ばれるものがあります このうち真黒、本真黒、輝緑、茄子紺はとくに人気で 翡翠系、虎なんかは珍品といえます なお、最近では、パワーストーンとして意味づけし 翡翠のように勾玉として加工して売る商売が登場していますが 本来、水石なので形をなさないものは 石ころ同然なのわけです(笑) ちなみに、蛇紋岩は、変成岩 あるいは、直接マグマが冷えて固まってできた岩石=火成岩ではありませんが 便宜上、火成岩の仲間分類されるそうです 我が国に産する火山岩は大きくわけて玄武岩・安山岩・流紋岩の3種になります 我が国の多くの火山をつくっている溶岩は、おもに安山岩ですが 富士山や伊豆七島の火山の溶岩は、おもに玄武岩でできているそうです 玄武岩には、橄欖石をかなり含んでいるものもあり 橄欖石玄武岩と呼ばれていますが 富士山や伊豆七島の火山の溶岩は、おもに、この橄欖石玄武岩でできています 流紋岩は 石英と、ナトリウム・カリウムを多くふくんだ長石がおもな成分で このほか、少量の角閃石・黒雲母などをふくむ火山岩で 石英蛇紋岩とも言うそうです 流紋岩質のマグマが、鉱物の粒ができるまえに 急に冷え固まってしまうと、黒色の天然ガラスになります これが黒曜石です また、流紋岩質のマグマが冷え固まるときに、その中にふくまれていた水蒸気が 急にふきだすと、穴の多い岩石になります これが、浮石(軽石)です 大理石は、石灰岩からできた変成岩です 石灰岩は、水中動物の骨などが水底に積もって出来た堆積石です 鳥取県の名石、佐治川石は、凝灰岩の変成岩です 凝灰岩は、堆積岩の一種です 火山灰・火山砂などの火山噴出物が凝結して出来た岩石で 建築・土木の石材にされます 花崗岩(御影石)は、深成岩です 襟裳岬 転写
|