ほたる石(南会津 蛍鉱山)・電気石(福島県石川町)・べスプ石(秩父鉱山)


鉱物系




観賞石を分類すると

庭石、水石、美石、鉱物、化石、作り石、パワーストーン、宝石

などと分類できます



このうち私が興味を持っているものは、水石と美石です



たいがい石を好きになる人は

外国産の「水晶」や「瑪瑙」といったモノから始まります




そこからいわゆる「黒モノ」

(玄人モノという意味で「玄モノ」と書くのかもしれません)

と呼ばれる「水石」に移る人は


「水石」という存在を知ったとき

「水晶」や「瑪瑙」のガラス質の透明さに

≪冷たさ≫を感じて移行するのです



それゆえ、鉱物系は、興味の中心ではありません


ただ、私の知り合いに、日本で有数の鉱物採集家がいて

鉱物のよいモノを入手できる機会にめぐまれております




この方は70歳を超え

本職は引退していて

毎日のように山に行き鉱物収集をしています


福島、秋田にまで何十回と収集に行っています

九州にも何度か行っています




そうして収集した鉱物を

関東各地のミルラルショーに出品していて


日本の鉱物を専門に扱う人が少ないこともあって

関西のミネラルショーからも引き合いがあるようです


また長瀞博物館(埼玉県立自然博物館)の依頼をうけて

水晶展をしたりもしています




もと大工さんで、公務店を経営なさっていたので

地上から2mも掘って

(周りの石が落ちると死んでしまうので、足場を組んで)

石を出したり


また、周りの大きな石を

ぶっかいたりするのも得意なので


ふつうは砕いて小さくしてもちかえるところを

大きなまま採集できたりもするそうです



このため若い鉱物趣味の人たちから

「一緒に行ってくれませんか?」

「それで採れなければ、我々もあきらめがつくので」

と誘われて

遠く、広島県の方まで、収集に行ったりと

70歳を超えても大忙し

超人的な人なのです(笑)




この方は、もともとは水石収集をしていて

私の石の最初の師匠にあたります



さつき(盆栽)がブームのときには

本場の鹿沼(栃木県)の全国大会で

2度も優勝したという経歴も持っておられです




また、奥秩父 荒川の沢をみんな登って

滝の本を自費出版もしています


ひとくちに「荒川の沢を全部」といっても

荒川水系の沢は1500くらいあり


単純に1週間に1つやっつけたとしても30年はかかります


〔なかには1日に3つも4つもやつつけられる沢もあれば

源流まで1泊する必要がある沢もあります

秩父の沢は、荒れ沢が多いことで知られています〕



甲武信岳や金峯山、両神山といった日本100名山をはじめとする

奥秩父の山岳は、清水武甲(しみずぶこう)という写真家によって

広く紹介されました


【 清水武甲 1913(大正2)-1995(平成7分)

秩父の清水写真館をつぐ

秩父の風土、民俗、生活の記録写真をとりつづけた 】



しかし、奥秩父の谷、沢は、源流部が

いまだ未踏の場所が多かったのです


それを全部登って、滝の写真を撮り

写真集にまとめて紹介したのが

私の最初の石の師匠でもあったわけです





ちなみに、鉱物、パワーストーンの人気が

どれくらいすごいかと言いますと

池袋のミネラルショーには300近い業者が出店し

〔日本鉱物を専門に扱うのは15人ほど〕

5日間で3万5千人が集まると言います


これほど大規模でなくとも、毎月、全国のあちこちで

ミネラルショーが開催されているそうです




ミルラルショーというのは

いまや人気が高く

出店の許可を得るのに、仲間の推薦が必要だったり

なかなか出店の許可が得られないといいます


また、出店できたとしても、場所賃がかかり

外国産だと競合する店も多いので

利益を出すのは、なかなか大変と聞きます


それから外国産を国産と偽って販売したりして

それがバレるなどすると

二度と出店できなくなったりもするそうです



師匠が、ミルラルショーに出店を始めた当初

周囲はみな「どうせ小遣い銭ぐらいにしかならないだろう」

と考えていたらしいです


ところが今や

あちこちのミルラルショーから引き合いがあるばかりか

そこで知り合った業者が買い付けにくるようになって

そうした業者さんが6軒にもなり


≪毎日≫

と言ってもおおげさでないほど

山に入っているわけです




なにしろ、師匠は、水石をしていた時分には

秩父の山というか谷、沢をおしまわして

石を収集していて

赤古谷、大滝の孔雀、紫孔雀といった石が採れる谷を

発見したりもしていました


わたしはそうした師匠を

近くでずっとみてきたので


師匠が

「知り合いに鉱物収集を趣味にしている人がいて、誘われている」

「秩父の石がほとんど集まってしまったので

今度は鉱物もちょっとやってみようと思っている」

と語ったとき


「10年もすると、国内でも有数な鉱物コレクターになるんだろうな・・・」

とは感じました



ちょうどその頃から、わたしは、仕事に集中する必要に迫られ

10年くらい石から離れていました


久しぶりに

師匠のところに顔をだしてみると

わたしの想像をはるかに上回ることになっていたわけです






鉱物趣味の場合

ガマが開かないと採集できないので

山で「脈」(水晶の場合、石英の層がこれにあたる)を探し

ガマみつける(花崗岩の中にできた空洞)わけです


九州なんかは火山灰が1mも積もっていて

脈が表に出ていないので

まずはこの火山灰の泥を除き

さらに2m掘る

という作業を20日間続け


ようやくガマを見つけて

水晶を出したといいます



ガマが開くと、リック3つ分とか持ち帰ることができるそうですが

ガマ開けというのは、かくも大変な作業のため


ほとんどの収集家は、一生に一回も

大きなガマを開けることなどできないといいます



坑道を掘り、金などを採掘したあとに

ほっておかれた残留物(ズリ)より拾う

水晶が、傷や欠けが多いのに対し


ガマから出した水晶は

傷や欠けが少ないそうです


傷の多少で、値段は倍違うといいます




それから、外国では

企業が山を買って

機械で鉱物を採っているのに対し


国産鉱物は、数も少なく

また、個人的に

人力で収集しているため

一般に10倍ほど、値段が違うわけです






なお、師匠の場合、収集することよりも

山でお宝を見つけて採ってくること

に興味があるという人です


また、仕上げたり、仕立てていくことが

好きだという人です



例えば、古谷石の場合、山の石なので

拾ったときは表面に硬質化した泥がたかっています

この泥を鉄ブラシで落として仕上げてゆくのですが

いくらこすっても落ちない泥もあり

少し落としては外にほっぽっといて雨にあて

半年くらいしたらまた落としてゆくことを繰り返し

何年もかけて仕上げるもあります



仕上げる、仕立てるとは

本業であった大工の仕事や

全国チャンピオンとなったサツキの盆栽にも共通します


そして、仕上げてしまうと

それほど執着がないので

みあった金額を提示すると

わりと譲ってくれるの人なのです









なお「石」は

「岩石」「鉱物」「鉱石」に大別されますが

鉱物学、地質学などにおいては以下のように区別されています




1、「岩石」


岩盤や岩、石の総称

マグマが冷えて固まってできる「火成岩」

砂や火山灰、生物の遺骸などが海や湖の底に積り固まってできる「堆積岩」

火成岩や堆積岩が、地下の高温・高圧で変質してできる「変成岩」

に大別される




2、「鉱物」


天然に産出する一定の化学組成と

結晶構造を有する無機質の物質の総称


岩石は、鉱物と

有機物〔炭素を主な成分とする物質〕

が集まって形成されていて


岩や石を細部まで見ると

透明な「石英」や、白い「長石」

黒い「黒雲母」の粒などが見える


これら「石英」「長石」「黒雲母」などは

造岩鉱物と呼ばれる代表的な鉱物である



ダイヤモンドやルビー、サファイヤ

エメラルドといった宝石は、鉱物のなかで

色が美しかったり、透明度があること

耐久性があること

希少性をもつこと  

の3つの条件をもつものをいう



なお、ダイヤモンドは、炭素がらできているが

「無機物」として認識されている

有機物の定義には「炭素を含むこと」とだったり

「生物(有機体)によって産生されること」だったり

じつは色々とあり、はっきりと線引きできていない

というのが実情だという




鉱物は、それ以上小さい単位に分解することのできない

単一の相を形成するものだという


地球上の多くの鉱物、はケイ酸塩の化合物で

鉄や銅などのイオンがくっついていろいろな鉱物になっている


金属のほとんどはこうした化合物つまり鉱物の中から取り出される


また、金や水銀などは自然の状態=単体としても産出し

採掘された時にはやはり鉱物の一種として扱われる




3、鉱石


人間の経済活動に有用な資源となる成分を含有した

「鉱物」や「岩石」のこと


金、銀、白金などの貴金属を含んだ岩石


リチウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケルなどの

レアメタル〔希少金属。

基本的な金属=ベースメタル

(鉄、アルミニウム、銅、鉛、亜鉛など)でない金属〕

と呼ばれる鉱物を含んだ岩石


さらには

硫黄〔金属元素と硫黄の化合物から成る鉱物群の総称〕

石灰岩〔炭酸カルシウムを主成分とする堆積岩〕

石膏〔硫酸カルシウムを主成分とする鉱物〕

石炭〔(数億年前の植物が完全に腐敗分解する前に地中に埋もれ

地熱や地圧を受けて変質したもの。主成分は炭素〕

石油〔炭化水素が主成分〕

アスファルト〔原油に含まれる炭化水素類の中で最も重質なもの〕など


これらが、鉱業法で「鉱石」として定められている






「金属」につて


特有の金属光沢をもち

展性〔圧力や打撃によって破壊されることなく

板や箔に広げられる性質。一般に柔らかい金属がこの性質に富む〕

延性〔弾性=戻ろうとする性質を超えても破壊されず

引き伸ばされる性質。金・銀・銅などがもつ〕

熱や電気の伝導率が高い〔銅・銀・アルミニウム・鉄など〕

などといった性質をもつ物質だそうです


化学的には自由電子に由来する金属結合を持つ物質をいう

とあります



また、金属結合によって、金属をつくる元素を金属元素といい

金属元素とは、地球上に存在する約100種の元素のうち

金・銀・銅・鉄・カリウム・ナトリウムなど約70種があるそうです




なお「貴金属」は一般には高価な金属をいうが

化学的には「卑金属」に対する語で

空気中で熱しても酸化されにくい金属のことをいい

金・銀・白金・イリジウムなどをさすとありました







クリックすると写真が拡大表示されます








ほたる石

(福島県南会津 蛍鉱山)





27×23×12  およそ11㎏





















これだけ大きく全体に

蛍石(フローライト)が入った国産の石を入手するのは

一般的には不可能のようです


キラキラと輝くのはミ全体にニサイズの水晶がちりばめられているからです



蛍石の硬度は4と低いものの

紫外線は発するミネラルライトの光を当てると紫色に輝くため

国産品は非常に人気があります




なあ、発光はフローライトに含まれている不純物(希土類元素)によるもので

フローライトの主成分であるフッ化カルシウムは発光する特性を持っていないそうです










ほたる石

(福島県南会津 蛍鉱山)





横22.5×高さ15×奥15.5  4.5㎏




ほたる石が茶色に見えますが

実物は、茶色に若干、緑がかっています

上の写真のタイプより、こちらのほうが珍しいそうです


ミニサイズの水晶が全体にちりばめられています




















鉄電気石

(福島県石川町)





横22×高さ(台込)27.5×奥17  およそ9.5㎏






上から





黒の棒状のものが、電気石で

金属的に輝くのが雲母の塊

透明なのが石英です


電気石にはプラスマイナスがあり、熱したり、圧力を加えたり

摩擦を加えたりすると静電気が発生することから名付けられました



鉄電気石も日本各地で採取出きるようですが

福島県石川町の電気石の結晶は、特に大きく

ブランド的存在です


現在ではほとんど採れず、鉱物収集家の憧れ的となっています







なお、トルマリン(電気石)には、無色、白色、黒色、緑色

青色、水色 赤色、橙色、ピンク色、紫色、黄色、黄金色があるようで

このうち、多量の鉄分を含有しているショール(別名 ブラックトルマリン)が

鉄電気石です


トルマリングループの中では、最も産出量が多いそうです


トルマリンの硬度は、7~7.5とされます




なお、ブラックトルマリンは、多くのトルマリンの中でも

最も強くマイナスイオンを発し

免疫力や活力を高めてくれるとらしいです




ただ、ウィキペディアによると

トルマリンがマイナスイオンを発生し精神的

肉体的にリラックス、リフレッシュさせる

その他にもトルマリンは遠赤外線を放出する

有害な電磁波を吸い取るなどとされ

ブレスレット、枕、風呂に入れるパワーストーンなどが販売されているが

科学的には何の根拠もなく、疑似科学の域である


そうです







なお、鉄電気石は

阿武隈山地(福島県石川町および川俣町の水晶山周辺)

のペグマタイトより多く産出したようです





ペグマタイトとは

粒の大きな結晶

(主に、白の長石、黒の雲母、茶色い煙水晶)

からなる火成岩のことで

ほとんどのペグマタイトが、花崗岩からできるため

「巨晶花崗岩」(きょしょうかこうがん)

「鬼御影」(おにみかげ)とも呼ばれているそうです



つまり、花崗岩の中に

長石や雲母や水晶などの

粒の大きな結晶ができたものが

ペグマタイトのようです




転写



花崗岩については、鞍馬石 で書いています





太古の火山活動によって、マグマが地表近くに上がり

冷え固まって「火成岩」になりますが


火成岩には

マグマが急激に冷えて固まった「火山岩」と

マグマがゆっくり冷えて固まった「深成岩」に別れます



「深成岩」ができるときは、

「等粒状組織」となって固まります

その一種が「花崗岩」です


花崗岩をみると、ゴマ塩のようなつぷつぶが固まっていますが

これが「等粒状組織」です





さて、マグマが地下で冷え固まってゆくとき

つまり深成岩ができるとき

水分や炭酸ガス(気体)を多く含んだ部分がなかなか固まらず

取り残されてしまうのだそうです



固まりにくい部分も

マグマが地殻の裂け目にそって移動している間に

ゆっくりと固まっていくのですが


水や気体によって花崗岩中に

空洞(晶洞・ガマ)ができ


結晶は、ゆっくり固まるほど大きくなるので

空洞の中に

数センチ~数メートルに及ぶ巨大な結晶をつくるそうです


こうして「ペグマタイト」ができるといいます



さらにペグマタイトは、普通では含有量が少なすぎて結晶ができない

希元素鉱物が、結晶化できるので

希に、ペグマタイトの中に、トパーズやアクアマリン

蛍石なんかの結晶も入ることがあるといいます





転写



ペグマタイトの結晶は、

結晶化する環境や、晶洞の大きさによって様々で

巨大なモノから、小さなモノまであり


福島県川俣町の水晶山一帯は、素晴らしいペグマタイト鉱物が

採集できることで知られていて

「日本三大ペグマタイト鉱床」と呼ばれる地帯です










鉄電気石

(福島県石川町)





横34×高さ23×奥21  15㎏弱







黒の棒状のものが、電気石で

その上の楕円形の銀色の鉱物が白雲母


白い母岩は、長石です



白雲母は、銀白色にキラキラ光り、昔は、きららと呼ばれていたそうです

紙を何枚も重ねたようにできていて

薄くはがれ、はがれた薄片は透明で

下におかれた文字が透けて見えるほどだそうです


福島県石川町の花崗岩ペグマタイト中には

このように大きな結晶で産出します

なおこちらは熱と電気を伝えにくいそうです




長石は、岩石を構成する最もふつうの鉱物で

火成岩の主要成分で、陶磁器の原料となります














ザクロ石

(長野県佐久市川上村 甲武信鉱山)





横16.5×高さ13×奥9  2692g



英名はガーネット

硬度は6.5~7.5

翡翠やジャスパーと同等かそれを上回ります






横7.5×高さ(台込)15×奥4  875g




これは愛媛県の東部を流れる関川のザクロ石です


ザクロ部分は、透明感はありませんが

面白いのは、ザクロの花だけでなく

白の鉱物が紋様となって現われていることが多い点で

川ズレもよく、梅花石として観賞できることです



また母岩には白雲母がふんだんに混じっているので

プラチナ色にキラキラと輝いています









ベスブ石

(埼玉県秩父市中津 秩父鉱山)





横25×高さ20×奥20  およそ11.5㎏







ベスブ石の名前は

最初に発見されたイタリアのベスビオ火山(1281m)に由来するそうで

硬度は6.5とありました




この石は、ベスブ石がたくさんついた塊で

白いところは石灰だそうです


ベスブ石は正方晶系の鉱物で

ザクロ石の親戚のような存在らしいす


私の知り合いの鉱物収集家が、長瀞の博物館の館長と懇意で

何度も、鉱物の展示に、石を貸し出したそうです


今回、ベスブ石を寄付して欲しいとの話があり

この石を寄付する予定であったところ

私がもらってきてしまったのです


長瀞の博物館には別の石が行って

もらうことになりました










ベスブ石

(埼玉県秩父市中津 秩父鉱山)





横17.5×高さ12×奥15  およそ4㎏





上の石とは別のタイプ


秩父鉱山では140種以上の鉱物が採取できるそうですが

ペスブはそのなかでも秩父鉱山を代表する鉱物です








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