緋山酔恭「山水石美術館」 全国の水石・美石を紹介 八海山石


八海山石




八海山石は、日本200名山 八海山〔越後三山(魚沼三山)の1つ〕

の山麓を流れる水無川(みずなしがわ・魚野川の支流)と

本流である 魚野川(うおのがわ)で採れます


魚野川は、新潟県と群馬県の県境の谷川岳西麓一帯に源を発し

新潟県の魚沼地方を南から北へ向かって流れ

長岡市で信濃川と合流するそうです


水無川は、名前のとおり、普段はそんなに水量のない川らしく

雪解けや豪雨のときに、荒れて水流が豊富になるようです











日本200名山 越後三山最高峰 中ノ岳より

三山主峰 100名山 越後(魚沼)駒ヶ岳







日本200名山 越後三山の1つ 八海山にて

100名山 越後駒ヶ岳(魚沼駒ヶ岳。越後三山主峰)

八海から見る駒は、一枚の屏風のようです







日本100名山 越後駒ヶ岳より見る200名山 八海山

奥にに民謡で知られる300名山の米山






日本200名山 越後三山最高峰 中ノ岳より見る

200名山 荒沢岳

私が最も美しいと感じた風景です






八海山石は、真黒や蒼黒の石に

キラキラしたラメ(黒雲母)が混じること

ま白い条線が入ること

そしてスプーンでえぐったようなジャグレをもつことが特徴です



怪しげな八海山石が、世に相当数出回っていますが

この特徴をもたないものは

他の産地の石の可能性が高いということであり

逆にこの3つの特徴をもつ石は間違えなく八海山石です



なお、表面のキラキラしたラメ(雲母)は

水無川から魚野川に入って擦れてくると

失わていきますが

他の2つの特徴で判断できます





地元に住んでいる水石家の方のお話では

地元では「水無川の谷」から産出したもののみを

八海山石と呼んでいるそうです



本流の魚野川には、色んな支流から石が流れてくるので

どこの川でもそうなように様々な質の石があるでしょう



しかし水無川の谷から出た質でない石は、八海山石でなく

魚野川石になるというのです


全国的には、水無川、魚野川の石は

どれもこれも八海山石にしてしまっていますが

これは間違えということですね



また、重要な情報として

真の八海山石は、川底か陸堀(おかぼり)の石が多く

川原や流れには無いのを地元の人は知っている

というのです


陸堀りとは、大昔に川が流れていた場所の土地を

持ち主と契約して何年か借り、石を採取するといったことのようです



なお石のブームの時の価格が桁外れであったため

地元の集落には、八海石御殿が数多くあるそうです




それと、産地では、KURE(呉工業) のCRC5-56をかけたりして

色を黒くみせて売っているそうです



愛知県の菊花石・水石専門業者

天勝庵の渡辺さんは、水石趣味もお持ちで

仲間と、八海山石の展示会および探石にいったのですが


そのさい現地で、なにかを吹きかけているのを目にし

水石会の会長に聞いたところ

「CRC5-56をかけている」

と言っていたとのことです



このことから

地元愛もあってでしょうが

渡辺さんは

「揖斐川石のほうが、ずっといい」

と言っておられました




もともと水石は黒でなくてはいけない

という概念がおかしいのです


一級品の佐治は、真っ黒でなくとも肌で勝負しています



一級品の八海も、佐治と一緒で肌で勝負できます


なぜならむき出しのキラキラした肌と

川ズレとの対比に、妙がある石だからです



本当にいい八海は、石質、石肌が素晴らしく

水に濡らさなくとも

佐治川石や揖斐川の石のように

そのままで味があるのです



なのでオイルなどで黒くせざるえないものは

一級品たる資格なし

とみなすべきでしょう







この写真のように

一級品の八海は、真っ黒ではないのです







さて、私に最初に石を教えてくれた人が

秩父の寄居の方で、荒川はすぐそばにあります

なので今ではほとんど手ばなしてしまいましたが

昔は、荒川の梅花石だけで部屋が埋まるほどもっていました



そんな荒川でもこれだけ硬質の真黒、ジャグレが採れます

(この石は特別でこのような石はめったにあがりませんが)






キンキンの質で16.67㎏あります

水に濡れていないところをみても

質のよさがお判りいただけるかと思います




では、八海山がなぜこれほどまでに全国的になりえたのか?


それは前述したとおり、肌惚れできる石だからだと思います


これについては、最後の石で

詳しく解説してあります






クリックすると写真が拡大表示されます






横39×高さ21.5×奥23.5  およそ25㎏
















この石は、茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました


株木さんが「日本一の八海山石とうたってもさしさわりない」と言った石で

どの方向からもみれますが

写真にした2つがとくに景がいいです


山形一辺倒の私としては、最初の

山頂直下に湖沼をいただいた山形景が好きです


質は誰がみても八海とわかります

川ズレでラメはほとんど消えてはいますが

よくみると石の一部にはっきりと確認できます



なお、写真ではそれほど硬そうにみえませんが

キンキンです


色は黒で、若干、青味を帯びた感じです




ちなみに株木さんというかたは、業者に卸す業者さんでもあり

水石の世界では、名の知られたかたです


もう80歳ちかいかたですが

業者の人みなが、口を揃えて

株木さんの人のよさを語るくらい親切なかたです



関東、東北、新潟あたりの拾い屋さんから

株木さんのもとに石がもちこまれるわけですから

岩手の久慈川の石  福島の伊南川・只見川の石  新潟の八海山や仙見川石

茨城の久慈川や鬼怒川の石  群馬の渡良瀬川や桐生川の石

あたりは専門です












横20×高さ10×奥11.5  およそ2259g







この石も茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました


ヤフオクを見ていても明らかなように

水石の場合、20cmを超えると値段がぐんとあがってきます


この石はちょうど20cmで手頃なんですが

株木さんの石は総じて大柄なので

小品をついでにもらってきたみたいな感じでいただいてきました


ラメが石全体に入りキラキラの石でしたが

小柄なせいか、どこかぱっとしないので


CRC5-56を買ってきて、ふりかけてみたところ

キラキラは消えましたが、なかなかいい真黒に化けました












横25×高さ22×奥18  10㎏弱







茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました


2つの見方ができます

1つは、渓谷にがかかる猿橋の景

もう1つは、茅舎(くずや)風の雨宿り石です



八海の条件である

条線、特徴のあるジャグレをもち

誰がみても八海とわかります


また川ズレでラメはほとんど消えていますが

よくみると石の一部にはっきりと確認できます












横22.5×高さ(台込)20×奥13  およそ7㎏







茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました


この石はラメが完全に失われていますが

条線とジャグレで誰がみても八海とわかります



八海の石は、持ち込むと黒くなると言われていますが

実際にこの石は購入したときより黒くなってきたようです












横23×高さ13.5×奥16.5  およそ6㎏




この石は、変わり種の八海山石(真の八海ではないのかも知れませんが)で

石が青いです

質はかなり硬質で、アスファルトの地面に置くと

金属音を発します


茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました












横34.5×高さ16×奥145  およそ6.5㎏











この石も茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました


株木さんは、最後の写真のように飾っていましたが

なかなかいい山ですし

魚野川の特徴であるラメが石全体にちりばめられています











横30×高さ21.5×奥21  およそ13㎏














この石も、もちろん茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました


株木さんが

「日本一の八海山石とうたってもさしさわりない」と語った石を

私が手にしてからおよそ1年後

株木さんのもとに、地元の拾い屋さんがこの石をもちこんできたのでした


色は、蒼黒で、両面観れます



じつは、私は、株木さんが

「日本一の八海山石とうたってもさしさわりない」と語った石より

こちらのほうが衝撃をうけたのです



それはなぜか?


それまで私は、形(独特のジャグレ方によってできた形)こそが

八海の八海たるゆえんだな と思いこんでいました



質でいうと、ラメが入っているという特徴をもち

良質で、全国レベルにはあるが

そこから抜きに出た石ではない

と見ていました




八海は、≪形こそ命の石である≫ と信じ切っていたわけです




しかし、この石によって私の八海へのこれまでの常識が

根底よりくつがえされたのです

みてください(写真では表現しきれませんが)


これだけ川ズレの効いた硬質の石肌の全面にラメがちりばめられているのです

ジャグレの部分だけでなく、川ズレの肌にもラメがちりばめられているのです

もちろん、水などかけていません



これをみたとき、八海山石の真髄は

形ではなく、佐治や揖斐と同様に

石肌にあることをはっきりと認識したわけです










八海山子持ち石





横33.5×高さ(台込)19.5×奥13  およそ8㎏




八海山石(魚野川石)の珍品「子持ち石」ということで

茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました



「子持ち石」を調べてみると

石の中に小粒の石の入っているものとありました


さざれ石と似ていますが

さざれ石よりは、粒(小石)が、大きいものをいうようです












横28×高さ13.5×奥9.5  およそ3.5㎏




この石は、菊花石・水石専門業者 天勝庵の渡辺さんよりいただきました


渡辺さんが水石趣味の仲間と

八海山石の探石と展示会の見学に行って

購入してきた石です




通常の八海とは違い花崗岩だと思います

鞍馬地方の黒鞍馬とみまがうような質です



ジャグレと抜けと猿橋が見られます







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