緋山酔恭「山水石美術館」 日本の美がここにある!! 全国の水石・美石を紹介



株木商事


株木貞夫さんとの語らい




株木さんはもう80歳になられるがじつに元気です


結城の駅につくと車でいつも迎えてきてくださいます



店内は、展示場の様相で

水盤に置かれた石が並びます









私は、めぼしい石を手にし

水盤にすえ

株木さんと

「こっちの向きが正解じゃないですか?」とか

「いやこっちの向きのほうがいいな」などと

語らいながら、石をめでるのも

楽しみにお店を訪れるわけです






株木さんというかたは、業者に卸す業者さんでもあり

水石の世界では、名の知られたかたです


もう80歳ちかいかたですが

業者の人みなが、口を揃えて

株木さんの人のよさを語るくらい親切なかたです




わたしも幾人かの業者さんとお付き合いがありますが

扱う石の量、質なんかをみても

また全国各地の業者のかたが石の買い付けにくるという事実からも

株木さんは、名実ともに日本一の業者さんで

おそらく他の追従をゆるさないかただと思います






関東、東北、新潟あたりの拾い屋さんから

株木さんのもとに石がもちこまれるわけですから

秋田の久慈川の石  福島の伊南川・只見川の石  新潟の八海山や仙見川石

茨城の久慈川や鬼怒川の石  群馬の渡良瀬川や桐生川の石

あたりは専門です






株木さんは言います


拾い屋さん(小遣い稼ぎのために、趣味で石を拾って、業者に持ち込む人)は

小遣いが欲しくて、石拾いに行って、石をもってくる

なのに他の業者さんは「どうせただで拾ってくるんだろ」

くらいに思っていて値切る


これに対し、私(株木さん)は

日当を払ってあげることを続けてきた




例えば、持ち込んできた5石をみて

「俺がみたとこ全部で3万だな・・・」と言う


これに対し拾い屋さんが

「そこをなんとかもう少し」と言ってくると

足が出るなと思っても、そこは5万払ってあげる

日当分を払ってあげる

ということを続けてきたそうです




そしてこれをしておくと、次にいい石をもってくる

他にもっていかずに必ず株木さんのところにもってくる


これが商売のコツで

これによって10年、20年とお付き合いしている拾い屋さんが何人もいるそうです



しかしそうした拾い屋さんも高齢化したり亡くなられて

ルートを失いなかなか入ってこなくなった産地の石も増えてきたと言います







株木さんはこうも言います


他の業者さんは、台座をこしらえ、桐箱をつけて

なるべく高く売ろうとするが

私の場合、台座に入れなくてはみられない石以外は

極力、台座に入れずに販売する



深めの水盤を1つもってさえいればいい

石をとりかえて観賞できるし

またそのほうが、自分の好きなように自由に向きを変えられる


そして台座に入れない分

それだけお客に安く販売できる

私が業者に卸すことができるのはこうしたこともある





それから株木さんのお店には、底切り石が2つ3つしかありません


それについて

「いっとき、薄い水盤に、底切りの石を飾ることが流行ったときがあったけど

私は底切りはまずしなかった」

と語られていました






2千円均一の石

熱帯魚の水槽に入れる石を買いにくる人も多いようです






そして、他の業者さんが

「〇〇水石会 元会長〇〇氏の遺愛石」なんていう付加価値をつけて

人の手に渡った石を回しているのに対し

なるべく、ウブ荷(拾い屋さんが拾ってきて、まだ人の手に渡っていない石)を

中心に売るということを信条にしてきたそうです




株木さん曰く

「うちは、拾い屋さんから、直接、買い取っているので

産地に間違えないです」


「長内川の石なんて、ほとんどうちから出ているけど

関西に渡ると、産地がみんな変わっちゃうんだからね・・・

多くは佐治川石になってました」


「樹石のオークションなんかにも、うちの石が

産地が変わって出てきたこともあります

私も商売やっていますから、黙ってましたけど・・・」









さて、そんな株木さんが

水石界の荒廃に至った原因について

このように語っておられました



1つには

水石会の会長さんが

自分の好み、美意識を会員におしつけた結果

会員どんどんがやめてしまい


「先生、先生」と呼ばれてきて

あるとき「あれ声がしなくなったな」と思い

後ろを向いてみたら

会員が誰もいなくなっていた(笑)


なんてことが、全国あちこちの水石会でおきたこと




美石なら「こっちの方が、花のバランスがいい」とか

「こっちの石のほうが色が鮮やかだ」とか

一目瞭然なのですが

水石の場合、好みというのが

介在する世界であることを知るべきでしょう






大きな八海山石がゴロゴロあります





株木さんの語るもう1つの原因というのは

石を買わない会長さんが多いこと だといいます


「一生一石」

(満足できる石に出会えるのは一生に一石くらいなものだ)

という言葉があるように

自採だけではいい石なんてそうそう集められるものではありません


【 もちろん世の中には例外もあり、ものすごい熱心な人がいて

たくさんの素晴らしい自採石を所有している人もいますが 】




これに対し、会員のほうは、仕事が忙しくて

石拾いに行けなかったり

また、お金に余裕があったりすると

業者さんより石を購入します



人間というものは、手にしたモノに最初満足していても

もっといいモノが欲しいとなります

この欲求によって、どんどん目ができてくるし

レベルがあがっていくわけです




そうするとレベルの高い会員に

レベルの低い会長が指導するなんて

へんな事態が生じるわけです



レベルの低いひとというのは

往々にして教科書どおりで

教条的に

「この石は、逃げがあるからダメ」

といったように


会員の石をけなすわけですから

結局、次第に会員の人数を減らして

会自体の存続が立ち行かなくなっていく

というのです






ちなみに、逃げがないというのは、この石のように

左右が中心(手前)に向かって湾曲しているもので

仮に左の裾野が後ろに曲がっていると

逃げているということになります




しかし株木さん曰く


「石というものは丸いのですから

逃げがあるのがあたりまえです


逃げがあったっていいんです

それをおぎなうだけの景があれば」









この石は、秩父の古谷石ですが

左右に逃げています


でも、こっちもいいでしょ(笑)


この石は、鹿島槍(と後立山連峰の景に見立てることができます





日本100名山 北アルプス白馬(しろうま)岳より、左に鹿島槍、中央奥に槍・穂高






日本200名山 北アルプス蓮華岳より望む後立山連峰

右から爺・鹿島槍(中央)・五竜・唐松・白馬岳



鹿島槍ヶ岳は、双耳峰の山で

後立山最高峰で

つねに、好きな山ランキングでベスト5に入ってくるほど

人気の山です


その双耳峰の美しさには、定評があります




教科書どおりの理解しかできない人は

自然の山を知らないのではないでしょうか?

みていないのではないでしょうか?





所在地: 茨城県結城市

電話: 0296-33-2267








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