緋山酔恭「山水石美術館」 日本の美がここにある!! 全国の水石・美石を紹介


日本の河川について




「川」の字は、地の間を縫って流れる川を表した象形文字です


「河」の字は「流れる水」の象形と

「かぎがたに曲がる」を表す象形から成って

川のうちの直角に曲がる流路を表わすとされます



中国で「河」と書いた場合

もともとは「黄河」を表す漢字だったそうですが

後に「大きな川」の意味で使われるようになったといいます



日本では「運河」や「銀河」など

特に大きな川を指す場合に「河」が使われることが多いのですが



規模が大きくても「信濃川」や「利根川」のように

「河」の字を使わないのは

黄河ほどの規模ではないということと

通常固有名詞には「川」を使うという理由があるようです



川全体の総称、大小を含めた川の総称を「河川」というようです






「河川」には、等級があり

「一級河川」と「二級河川」

さらに「準用河川」「普通河川」があります



水源から河口にいたるまでの

本川や支川のまとまりを「水系」といいます



一級河川と二級河川とは、水系が違うので

同じ水系内に、一級河川と二級河川が併存することはないです



このため、栃木、群馬、埼玉、長野、岐阜、滋賀、奈良の各県には

二級河川が存在しません


一方、二級水系の数でいうと北海道(230)と長崎(222)は200を超え

河川数でいうと北海道(467)と山口(437)と愛媛(410)が400を超え

新潟(395)にもほぼ400の二級河川があります






「一級河川」は

生活や産業に重要な関わりを持つ水系の河川で

国(国土交通大臣)が管理しています

(特定区間のみ都道府県知事)



「二級河川」も

生活や産業に重要な関わりを持つ水系の河川で

質的には、一級河川と一緒ですが

比較的流域面積が小さい水系の河川です

都道府県が管理しています


〔流域面積とは、ある河川に雨や雪が流れ込む範囲が流域で

流域面積はその面積をいう〕




一級河川と二級河川では、質的の違いはありませんが

一般的に一級河川の方が規模が大きので

洪水等による災害が発生した場合、被害が大きくなるといえます

つまり、被害に量的な違いがでるわけです




「準用河川」は、一級にも二級にも指定されなかった河川のうち

市町村長が公共性の見地から重要と考え指定したもので

河川法の規定によって、二級河川の規定を準用するとされています



「普通河川」は、河川法の適用・準用を受けていない河川で

市町村が必要と考えれば、条例を定めて管理しているといいます




一級水系は109が、指定されていて、一級河川は約1万4千

二級水系は2715が、指定(平成28年)されていて、二級河川は約7千100


準用河川は、約1万4千が指定されています


水系には、一級水系、二級水系の他

準用河川や普通河川が本流の単独水系があります







日本の河川は

急流で流量が多いことから

清らかに澄みます



こうした特質が

「山紫水明」の景色をつくりました



「山紫水明」という言葉は

山は日に映えて紫色、川の水は澄んで清らかである

山川の景色が美しい

という意味で


江戸時代の儒学者、頼山陽が、京都の鴨川沿いに

「山紫水明処」という塾を営み門弟を教育

文人墨客と交わったこと以来、広まったとされます




また、日本の河川は

全長が短いことから

水に溶解する

ミネラル成分濃度も低い(軟水)のです



京美人の秘訣と言えば

軟水である「加茂川(鴨川)の水」


加茂川の水の産湯につかり

生まれたときから、この水で肌を磨いてきたというわけです




水量が豊富で、清らかに澄んでいる

そんな日本の河川ですが


その一方、日本の災害対策根幹は、治水にある

と言われるほど

日本は、河川の氾濫による水害が多い国でもあるのです






日本の川は、全長が短く

上流から下流への勾配が急であるため

上流に降った雨は、一気に海まで流れます


大雨が降ると、増水し、氾濫しやすいのはこのためです



瞬時に、洪水となり

瞬時に、流量が減少する特徴があるので


洪水になるおそれが強い一方

雨が降らないと渇水になるおそれもあるわけです




また、年間降雨量は、世界平均の約2倍

しかも、梅雨期と台風期に集中して降り


利根川を例にあげると

洪水のときは、なんと平常時の100倍の流量にもなるとされます





勾配に関しては

例えば、メコン河〔東南アジア最長の川で

中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア

ベトナムを流れる。全長約4350k〕は

河口から1,000kmの流路で100mの標高差にすぎそうですが



日本で一番長い信濃川

(長野県では千曲川、新潟県では信濃川と呼ぶ)は


長野県川上村の標高2200m地点

(日本100名山甲武信岳の登山道にあたる)

を源流とし、367km流れて日本海に注ぎます



富山県を流れる常願寺川は

源流から河口まで標高差が

約3000m(立山連峰を水源とする)もあるのに対し

川の長さはわずか56kmという世界有数の急流で


明治時代、常願寺川の工事にあたった

オランダ人技師 デ・レーケは

「これは川ではない。滝である」と言ったそうです

(滝のように急流だという意味で言ったのが大げさに伝わったという説も)





こうした日本の河川は

山地を流れるさい山を削り、土砂を下流に運びます



その土砂が、平地に堆積した部分は扇の形となり、扇状地と呼ばれます




転写




扇状地の扇央(中腹あたり)は

水はけが良いので、果樹栽培が盛んです



転写



根腐れしにくかったり

また、水が少ないほど甘みが濃縮され

甘くなるような品種もあるからだといいます



山梨県のぶどうは

甲府盆地に多く存在する扇状地で作られているといいます


甲府盆地や長野盆地では、ぶどうや桃が

山形盆地では、サクランボが

愛媛県の道後平野では、ミカンが作られています





なお、扇状地は、河川が山地から平野に移るところに見られます

一方、三角州は、河川によって運ばれた土砂が

河口付近に堆積することによって形成されます





転写



三角州は、水田に使われることが多いそうですが

海に近いので工場や港などを造るのに都合がよく

都市化することも多いといいます


日本三大都市の東京(江戸川)、大阪(淀川)、名古屋(庄内川)も

三角州の上に発展した都市なんだそうです




転写





扇状地がどのようにしてできるのか?

といいますと


川が、山から平野に出てくると、川の幅は急に広くなります

川幅が広がると、川の流れる速さが遅くなります


すると、川の水の中に混じっていた土や砂が

川底にたまるようになります


川底に土砂がどんどんたまっていくと

川底がどんどん高くなっていきます


あまりに高くなると

川の流れは、低いところを見つけて流れを変えます


新しい流路のでも同じことが繰り返されます


こうした川底への土砂の堆積と流路変更の繰り返しで

扇子状の地形が作られていくのだそうです






それから、日本の河川には「天井川」が多いといいます

天井川とは、周囲の平地より高い所を流れる河川です


日本の川は急流なため 山を削り、どんどん土砂を下流に運びます


これによって、川底が高くなり

段々と川が高い所を流れるようになります



川底が高くなるので、川の深さは浅くなり

氾濫を起こしやすくなるわけです


このため、どんどん堤防を高くしていく必要があります



また、河床が高くなりすぎると

河川を横切る道をつくるのも難しくなり

下にトンネルを掘って、道路や鉄道を通すことも行われているそうです




天井川は、近畿地方の平野に多く、とくに滋賀県に多いとされます

滋賀県の草津川は

草津市街地を南北に分断するように流れていて

河床は市街地の地面よりも、5~6mも高くなっているそうです


日本の都市の大部分も

洪水時の河川水位より低いところにあるとされています




周囲の土地のほうが低くくて

河川のほうが高いので

堤防の決壊が起こり、周囲を水没させると


洪水が収まっても

あふれた水は河川に戻ることはなく

いつまでも水が残ってしまいます




護岸整備ばかりに力を入れ

水底をさらって土砂などを取り除く

「浚渫」(しゅんせつ)に

それほど熱心に取り組まない行政に

疑問を感じる識者も多いようです







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