緋山酔恭「山水石美術館」 神居古潭石 (赤・黄金・碧玉・虎・五色・銀流し)


神居古潭石

〔その他〕




神居古潭石とは、神居古潭石とは で詳しく書いたように

神居古潭変成帯の岩石が転石となり

急流で洗われ水石となるとされ

基本、蛇紋岩を含む変成岩です



石狩川の中流域にある景勝地 神居古潭渓谷で採れます


しかし、一口に神居古潭石と言っても

水石の世界では

この渓谷で採取できるジャスパーの赤を「赤古潭」と呼んだり

ジャスパーの黄色を「黄金古潭」と呼んでいて

総称して「神居古潭七石」という言葉もあるくらいです





私の所有するものでも

真黒(まぐろ)、本真黒(斑入り)、蒼黒(そうこく)、墨黒(すみぐろ)、銀流し

輝緑(きりょく)、緑泥(りょくでい)、茄子紺(なすこん)

赤、黄金、翡翠系、虎、碧玉の古潭

と呼ばれるものがあります



このうち真黒、本真黒、輝緑、茄子紺はとくに人気で

翡翠系、碧玉、虎なんかは珍品といえます




つまり、基本、蛇紋岩を含む変成岩ですが

わりといいかげんに、神居古潭石という言葉が使用されているわけです






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神居古潭石 赤

(ジャスパー)





横14.5×高さ13×奥13.5  2406g











橋がかかっています









この石は、亡くなられた一選堂(旭川の水石業者)の

相内さんからいただきました


いままで相内さんが扱った赤古潭のなかで2番目にいいものだということでした




ただ、私から言わせると、これだけ変化がある分

ジャスパーとしては、硬さがいまひとつです










神居古潭石 赤

(古潭質)





横19.5×高さ6×奥9.5  1808g













この石は、亡くなられた一選堂(旭川の水石業者)の

相内さんからいただきました



そのさい「ジャスパーでなく古潭の質でかえって珍しい」と言っていました

チャートの色のいいものかもしれません












横26×高さ14×奥19  およそ8㎏




これも古潭質(チャート系)の赤だと思います

2つ上のジャスパーの赤古潭よりも硬質です



なお、チャートも、ジャスパーほどの硬度をもちます

そもそも、チャートとは堆積岩の一種で

主成分は水晶、メノウ、ジャスパー同様の石英です

この成分を持つ放散虫・海綿動物などの動物の殻や

骨片(微化石)が海底に堆積してできた岩石と言われています










神居古潭石 黄金





横14.5×高さ(台込)6×奥9  654g




黄金古潭は、珍しい石ではありません

この石は小ぶりながら川ずれとじゃぐれのバランスがいいです










神居古潭石 黄金

(メノウ質)





横23×高さ(台込)13.5×奥9.5  2765g











石英質の黄金で、ジャクレたヵ所がキラキラしいます










神居古潭石 翡翠系





横29.5×高さ(台込)9.5×奥7  2273g




底切りなしの自然石






この石は、硬質の緑泥(りょくでい)の神居古潭石に

翡翠らしき石が混入しています

緑泥は、ふつう比較的、軟らかいのですが

この石は、指ではじくとキンキンと音がするくらい硬いです



亡くなられた一選堂(旭川の水石業者)の相内さんよりいただきました









神居古潭石 碧玉





横21.5×高さ(台込)11×奥10  およそ3㎏







この石は、水石販売業者であり

地元愛石会の副会長だかをなさっている

神居水石庵の陶山さんからいただきました


陶山さんは、神居水石庵という

神居古潭をはじめとした北海道の石の展示場を営まれていて


また、高齢になった地元水石会の会員の石を

ヤフオクに出品してあげることなどをしている方です



碧玉の古潭と呼ばれるものだそうです

なお「碧玉」とは、本来はジャスパーの和訳ですが

この石は硬質はありますが

もちろんジャスパーではありません










神居古潭石 虎





横18.5×高さ(台込)14.5×奥11  およそ4.5㎏













この石は、亡くなられた一選堂(旭川の水石業者)の

相内さんからいただきました

神居古潭石の大家 故吉田凡石さんの筆書きの札がついてます


凡石さんは、自分の石でなくとも

いい石には頼まれると「銘」をつけてあげていたそうで

この石には「曙色」〔しょしょく? あけぼのいろ?〕の銘があります



相内さんによるとこのような虎のよいものは

いままで2つしかみたことなく

その1つは凡石さんの石だったそうです




転写



虎石というと滋賀県の瀬田川の虎が名高いですが

瀬田の虎は基本、石が軟らかく、それゆえ加工しやすく

ほとんどが手の入ったものと言われています

これに対し、この古潭の質の虎は硬質で、石質で魅了されます



また、瀬田川でもこうした虎縞模様の石は

「乱れ虎」としてとりわけ珍重されますが

この石は、乱れ虎の名品でもありも

景色は裏と表、どちらも遜色ありません

どちらも楽しめます










神居古潭石 虎





17×高さ(台込)17.5×奥6.5  2434g




この石は、水石販売業者であり

地元愛石会の副会長だかをなさっている

神居水石庵の陶山さんからいただきました



こちらのトラは、基本的には、緑泥系です






なお、このように飾るように台座がありましたが

上のように観ると天場もでき

石が活きます


(上は仮の台座です)









神居古潭石 虎





横28×高さ9.5×奥17.5  およそ7㎏







この石は、北海道の業者の今井さんからいただきました

なかなか希少なものです


黒の色が深く、美しい虎ですが

残念なことに、正面の黒の部分に

ラッカーようなものが塗ってあるのが明らかでした


おそらくペンチングオイルだと思います




北海道では

「潤石」という習慣があり

神居古潭石や幸太郎石に

機械油を塗ったり、ロウ引きしたりすることが

ふつうに行われているようです



白山紋石のご主人 山下さんのご友人が

3度、凡石さんのところに遊びに行かれ

石を買ってきたことがあったそうです


そのさい、凡石さんは

石にツヤを出すため

油絵で使うペンチングオイルを塗っている

と言っていたそうです


ぜんぶの石がそうではないでしょうが

石質の劣るものの大半はそうしていたようです




赤ちゃんの肌に塗るベビーオイル

(ベビーオイルは水分が多いので

石に塗ってもサラダ油のようにベタつかない)や


古谷用のワックス

〔私の場合、床用の固型ワックス(ホワイト)を使用〕

なんかだと


洗剤で洗って

しばらく雨にさらせば

すっかり落ちてしまいますが

ペンチングオイルなんか塗ったら落ちませんよ(笑)




正直、私の所有する古潭や幸太郎、トマムや千軒のなかにも

もしかしたらペンチングオイルのような

落とせないワックスが塗られていることを

怪しまざるを得ないものはいくつかあります


「もしかしたら」と表現したのは

かなり薄めて塗られているようなので、なんとも微妙なんです




我々が絵を描くとき

絵具を水で溶かしますが、油絵の具の場合、水ではなく

ペンチングオイルなどを用います


ペンチングオイルは

「乾性油」(空気にふれると酸化され、固まる性質をもつ油)

「揮発性油」(溶剤・水彩絵の具の水にあたる)

「合成樹脂」(光沢をだし、固着をよくする)

が、バランスよく調合されているので

初心者は、これを使うと便利であるとされています


ちなみに、絵具というのは

「顔料」と呼ばれる鉱物などを砕いた色のもとを

「展色剤」と呼ばれる乾性油で練られているもので


「展色剤」は、顔料とキャンバスを

つないで固める接着剤の役目をするのだそうです





この石の場合、もともと質がいいので

もったいないことをしているわけです


しかも手前の黒い部分だけに、塗ってあるから

不自然さが一目で判ってしまいます


鉄ブラシなんかでこそぎ落そうとすると

落ちた部分と落ちない部分とが、マダラになって

かえって汚くなってしまうでしょう


仕方ないので、ラッカーはそのままにして

全体に、柳屋ポマードを塗ってみました






ベビーオイルだと、すぐ乾いてしまう

古谷のワックスでは味気ない

という場合に

両者の中間的存在として

「柳屋ポマード」がいいですね



これは、茨城県結城市の水石業者 株木さんより教えていただき

株木さんが、色々ためした結果、たどりついたものだそうです


ポマードなら、人間の頭髪につけるものですから

簡単に落とせます


とはいえ、柳屋ポマードでもしばらくすると

もとの状態にもどってしまう石もあります










神居古潭石 古色





横24.5×高さ(台込)8×奥10.5  2079g




この古潭は、地元愛石会の副会長だかをなさっている

神居水石庵の陶山さんからいただきました


風化した泥が、古色となって味を出していますが

陶山さんによると

古潭の場合、このような硬質化した泥をまとったものは大変めずらしく

最近ではみかけることは稀とのことでした

また、旭川水石会会長の所有石であったそうです









神居古潭石 五色





横19×高さ(台込)6×奥13  1771g










この石は、神居水石庵の陶山さん(旭川水石会副会長)

から入手しました



陶山さんは、神居水石庵という

神居古潭をはじめとした北海道の石の展示場を営まれていて


また、高齢になった地元水石会の会員の石を

ヤフオクに出品してあげることなどをしている方です


陶山さん自身も76歳になられています




そんな陶山さんが1000石所有する神居古潭石のなかで

五色はこの1石しかないということでした



五色の古潭があるということは

文献に散見できますが

実際、写真でも観たことがありませんでした


陶山さん曰く

『古潭の五色というのは、そんなに綺麗なものではないよ』

『人によっては「なんだこんな石」と言うような石だけど』

ということでしたが


希少性と、話題性はあるので

いただきました










神居古潭石 銀流し



銀流しとは、真黒や蒼黒に

黄色や茶色の線が、流れるように入ったものを言うようです






横21.5×高さ(台込)11.5×奥9.5  2266g







山を知らない人は、三角山が一般的な山で平凡な山だと信じていますが

じつは、三角の山で2000mを超える山は

東北最大の名峰にして、日本屈指の名峰 鳥海山と

日本100名山の四阿山(あずまやさん・長野県と群馬県の県境

くらいしかありません


鳥海山に関しては、日本100名山の著者 深田久弥は

「名山と呼ばれるにはいろいろの見地があるが

山容秀麗という資格では、鳥海山は他に落ちない」

と述べています







日本100名山 朝日連峰 大朝日岳にて100名山 月山(がっさん)

月山の左奥に100名山 鳥海山






鳥海山 転写





四阿山  転写




水石も同様でこの石のような山容秀麗なものはなかなか得難く

また金色に輝くような色調ときめの細かい石肌が

優美なさまを感じさせてくれます










神居古潭石

正真の銀流し





横17.5×高さ(台込)17×奥5.5  1461g


















裏側



この石は、神居水石庵の陶山さん(旭川水石会副会長)

から入手しました



銀流しというと

真黒や、蒼黒に

黄色ないし茶色の線が流れているものと認識していました


亡くなられた旭川の水石業者 一選堂の相内さんも

そうした石を「銀流し」として

ヤフオクに出されていました



今回、陶山さんに

「緑に白がぐしゃぐしゃに混じった古潭ってありますか?

そんな古潭が欲しいのだけど・・・」

という質問をしたところ


「1つあるよ」ということで

この石の写真が送られてきました


緑泥系なのか尋ねたところが

これが、ホンモノというか

現地で呼ばれている

≪銀流し≫だというのです



これまで、銀流しと思ってきたものは

確かに、茶色の線なら

銀流しじゃなくて

金流しじゃないのか? という疑問をもっていましたが

これで納得です



石の色については

青というか紺色にかなり近い緑というところでしょうか


脈線だけの感じからいうと

緑泥系より、翡翠系に近いようにも思えます










神居古潭石 若草色



この若草色の古潭は

忠和(ちゅうわ)水石会の会長であられた

富沢氏(故人)が50年ほど前に

上流の沢で、10石ほど拾っただけという

超希少石です


その後、陶山さんは、この石を求めて

探石にいかれたそうですが

カケラしかなかったといいます




ちなみに忠和水石会の「忠和」は、現在の旭川市神居町忠和・

昭和30年に旭川市に編入される以前の

神居村忠和地区からきているそうです



忠和水石会は、会員の減少により

旭川水石会に合併する形で消滅し

現在に至るとのことです




富沢氏が生きておられたら、今は100歳ぐらいだそうですが

富沢会長が、お亡くなりになられる前に

10石のうち7石を、陶山さんがお買いになられたそうです




その7石のうち4石は人手に渡り

とくに優れた2石を含め

3石が手元にあるということで

写真をいただきました




とくによいという2石のうち

陶山さんが1番と推す石よりも

私は、脈線と川ズレのよい2番目の石のほうが気に入り、いただきました






陶山さんが一番高値をつけた若草の古潭

横28×高さ9×奥22



私の購入した石のおよそ倍の値段でした



ちなみに、私以前に、陶山さんから人手に渡った4石のうち

1石は、本州に渡っているそうです


愛石雑誌の事務局長だかから

「ぜひ欲しい」と懇願され、手放したとのことでした


但し、それは小さな石で

大きさのある石は、今回、私のもとにきた石が最初だそうです







横28.5×高さ(台込)12×奥24  およそ8.5㎏


















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