華山石 (げざんいし) 華山石の産地は 山口県下関市の華山(げざん)だそうです 華山は、標高713mの低山で 車道が山頂まで通じ、春にはツツジなどが咲き 観光地となっているといいます また低山ながら山容は優れ 山口県100名山に選定されています 転写 華山石は 世に出る数が少なく ネットで画像を検索しても出てこないくらいです それくらい秀石がないということですね ただ、2012年の「愛石」に、特集が組まれていて 地元では名の知れた石のようではあります クリックすると写真が拡大表示されます 横24.5×高さ(台込)10弱×奥14.5 2881g この石は、雄大さと優美さを兼ね備えていて 誰がみても名石と言える石でしょう 長崎県の水石業者 佳石庵の中路さんからいただきました 石質は、硬く叩くとカンカン響きます あまりの質の良さから 古谷石のような石灰岩系ではないのではないか? と中路さんはおっしゃられていましたが 明らかに、硬質石灰です 多少、泥質に砂岩質が混じっている感じを受けます 抹香石 和歌山の古谷石、静岡の静岳石に次ぐ 山石・土中石の代表であり 同様の硬質石灰系の石です 愛媛県宇和島市津島町一帯の山中より採掘されるといいます 但し、抹香石の場合、ほとんどが削ったり また、石灰なので酸が効くので 酸で溶かして形をつくってあるものがほとんどのようです また、長者抹香石ともいいますが、なぜこのような名前がついたのか 調べてもわかりませんでした 横32×高さ(台込)28×奥16.5 およそ11.5㎏ この石は、札幌愛石会の相談役の野村さんからいただいたものです もちろん底も含め自然です 形をつくったものがほとんど また、灰色と茶の中間色が多い 抹香石としては 最高クラスの石と言えます 横19×高さ8.5×奥9.5 870g 石をはじめた頃に手に入れたものです 形を整えたものですが、質が真黒石なみに硬く 肌の皺(しゅん)が面白いので、手放さずにとってあります サヌカイト (カンカン石) サヌカイトは、讃岐の石の意味で 香川県坂出市の国分台(旧石器時代の遺跡)と その周辺の蓮光寺山、金山、城山で採掘されるといいます また、大阪府と奈良県の境にある二上山周辺にもみられるそうです 叩くとカンカンという音がすることからカンカン石とも呼ばれ 石琴にする石として音楽家らが注目したことで広く知られるようになっています 石琴にするものは平たいものです 先史時代には、石さじやナイフ類、やじりや槍の先など 石器として利用されていたといいます 景の出来たものが少ないので水石としては、あまり利用されていませんが 質は一見、佐治川石(凝灰岩が変成したもの)や豊似石(硬質の砂岩)に似ています サヌカイトは安山岩(古銅輝石安山岩)です ちなみにマグマが冷えて固まった岩石を火成岩と言います 火成岩は、マグマが急激に冷えて固まった火山岩と マグマがゆっくり冷えて固まった深成岩に分類されます 我が国に産する火山岩は大きくわけて 玄武岩・安山岩・流紋岩の3種になります 我が国の多くの火山をつくっている溶岩は、おもに安山岩ですが 富士山や伊豆七島の火山の溶岩は、おもに玄武岩でできているそうです なお、火山の山は、噴火によって溶岩が流れ その溶岩が積み重なってだんだん高くなってできたものです 富士山がその代表で、3回の爆発によって 噴出した溶岩が積み重なってできた山だといいます 横21.5×高さ(台込)12×奥15.5 1796g この石は、札幌愛石会の相談役の野村さんからいただいたものです もちろん底も含め自然です 野村さんも言っておられましたが、これだけ景のある サヌカイトはまずありません なお、水石の世界では、その石の硬さを表現するのに よく『指ではじくとキンキン音がする』とか 『叩くと清音を発する』といった言葉が用いられますが この石の清音は、プロの音楽家が楽器にするくらいなので 全くレベルがちがいます これだけの石は本来、地元の宝として県外に出さないようにするべきですが 世の中、モノの価値をみれる人がいないのでこうして私のもとにあるわけです 筑前真黒石 筑前の真黒は、福岡県鞍手(くらて)郡の 旧宮田町(若宮町との合併により宮若市となっている)の丘陵地帯で採れるといいます 横28×高さ(台込)6×奥13 2190g 下は底直しですが自然風にうまくやっつけてあります このような少しの溜まりは「うす溜まり」と呼ばれます 長野の月水苑の月水さんからいただきました 月水さんは、山の中腹にある紋様を月の影にみたて 「月影」という銘がついていました 千仏石 九州の石として広く知れ渡っているのが 門司の梅花石、玄海真黒石、そしてこの千仏石であり 九州の山石・土中石の代表です 福岡県の北九州市の平尾台に千仏鍾乳洞というのがあり その付近の千仏谷で採取できるようです 高圧低温型の変成岩で、泥質岩を源岩とする黒色片岩だそうです なお片岩を調べると、≪雲母のような板状の鉱物や 角閃石のような柱状の鉱物が方向性をもって配列し 岩石は片理と呼ばれる、面状構造を持つ≫とありました 世に出回っている千仏には 「ホントに千仏なの?」といった千仏の特徴 千仏らしさのみられないものも多いですが 紹介する石は、誰がみても千仏と言えるものです 横25.5×高さ24×奥20 およそ12㎏ この石は、九州の佳石庵の中路さんよりいただきました もともとは高土坡(天場をもつ景)で観るように台座がありましたが ふだん岩山風として観賞していて 専用の台座がみつかりません 千仏石のなかでは最高の硬度をもつ石質です 養石も十分されています 【 養 石 】 石を雨ざらしにして、さらに水をかけては、太陽の光で乾かす これを何十年と繰り返すことにより、黒く古びた感じにすることを言います 養石することを≪時代をつける≫と言います なお、これは、石の表面が、化学反応によって変化したことを意味します また「家の中で、水盤に載せて、週1回くらい水をかけるだけでも 十分に時代がついてくる」 「むしろそれくらいのほうが、石が持つ、 本来の肌質を損なわずに、時代がのせることができる」 と語る水石業者さんもいますし 新聞紙でくるんで置くだけでも時代がのってくるという人がいます また、瀬田川の虎なんかは、基本、柔らかい石で、加工しやすく 水石になっているもののほとんどに手が入っています こうした瀬田の虎は、さらになにかを塗って黒くしたものが多いですが それを「もちこみが古い」などと言っている場合もよくあるので注意が必要です 横35×高さ(台込)9×奥9.5 1779g この石は、北海道の水石業者の今井さんからいただきました 長野の月水苑の月水先生のお話では 昭和30代後半から40年代前半にかけて 北海道の千軒石と、九州の千仏石の手の入ったものがだいぶ出回ったそうです 理由は加工跡がバレにくいことかららしいです 底の一部は、切ったようです 上はどうなのでしょう? ただ、月水先生のいうように 世に出ている天下の名石の99%以上が多かれ少なかれ手が入っている 自採の石以外、本当にウブなのか証明することは不可能 与十郎石(加工石)の名人 有澤氏などは、全く加工跡を残さなかった ということを思えば 「怪しい」で、加工跡がはっきりしない。わからない のなら それはそれで自然石と思って楽しめばいいと思います もう1つこの石の欠点を言えばシンメトリー(左右対称)ですね とはいえ、質は、キンキンで硬く 悪い石ではありません 横32×高さ23×奥14 12㎏弱 この石は、亡くなられた一選堂(旭川の水石業者)の相内さんからいただきました 色がやや白っぽいのが難ですが 千仏特有の「褶曲模様」をもち 山形で観賞でき、しかもこのボリュームなのは希少ではないでしょうか 一雨会会長 片山氏の遺愛石 横21×高さ(台込)17×奥16 およそ5㎏弱 背面も観賞できます この石は、千軒石のコレクターとして著名な センゲンさんのご厚意で譲っていただいた 褶曲模様の千仏の傑作と言えるものです センゲンさんは 札幌愛石会の相談役である野村さんから入手なされたそうですが その前の所有者は、水石界の名門 一雨会の片山貞一氏といいます センゲンさんは、自身のブログで以下のように紹介なされていました 【 九州は福岡の本千仏石で、硬くて重たい石です 見たとうり、褶曲模様のすごい迫力に目を奪われます 山の崖の地層にスケールの大きい褶曲模様を見たことはありますが このような幅21cmの小さな石に 地球の変動の激しさが凝縮されているのは驚きです この石は20数年前は東京の一雨会会長の片山貞一氏の所有だったとの事です 私の前の人(野村さん)が、片山氏にこの石を譲って欲しいと交渉したところ お金では譲ってくれず千軒石の2石と交換で手に入れたと言っておりました その千軒石の一つは、左方に7~8cmほどのヌケのある石で もう一つは前面に深い溜まりのある山形石だったとか 】 これだけ見事な褶曲模様の千仏は 他には、長崎県の水石業者 佳石庵の中路さん のサイトにある石しかみたことはありません 横23高さ25奥行き23センチ(台座含む) 20万円です センゲンさんよりいただいた石より やや大き目ですが 褶曲模様は今回いただいた石の方が圧倒的によいです
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