十勝石 十勝石とは、十勝産の黒曜石(オプシデアン)と一般的にはされています 具体的には、音更(おとふけ)川、士幌(しほろ)川、居辺(おりべ)川 で産出する黒曜石です しかし「花十勝」「紅十勝」と呼ばれる赤の筋が混じったものは 十勝にはありません 十勝産の「花十勝」「紅十勝」は、ニセの「花十勝」「紅十勝」で 色は赤でなく茶色です 本当の「花十勝」「紅十勝」は 日本では、白滝(しらたき)にしか出ません これは、黒曜石を北海道からの依頼で研究していて 自身、黒曜石のマニアであり 全国の黒曜石を収集しておられる大学の教授のかた また、黒曜石を実際に収集し 販売しておられる柴刈さんから裏をとった話です つまり、十勝石とは、お土産屋さんで「自由にお持ち帰りください」 と置かれているものも含めて、十勝産の黒曜石をさす場合と 十勝産の「玲瓏」(れいろうあるいはレンイボー と読む) 白滝産の「花十勝」「紅十勝」 置戸(おけと)産の「置戸銀」 といった照宝石として価値をもつ北海道産の黒曜石を 総称していう場合があるのです なお、玲瓏とは、そもそも 玉など「美しく照り輝くさま」をいい
レインボーの当て字ではないようです 十 勝 白 滝 置戸(おけと) そもそも黒曜石は、火成岩の溶岩が急に冷え 結晶化せずに凝固した非結晶のガラス質の鉱物です 世界中の火山国に産出し、日本でも15カ所程度の産地があるそうです 旧石器時代にはヤジリや包丁などの刃物として使われ 近年は焼いて粉末にし、断熱材に利用されているといいます なお、宝石の硬度は7以上です 7は硬質の翡翠や石英(水晶・メノウ・ジャスパー)がそうであり 黒曜石の硬度は5~5.5です 十勝石は、今から150万年前、大雪山の激しい火山活動によって誕生したとされます 十勝の「玲瓏」は、メキシコ産のそれとともにとりわけ評価の高い黒曜石です 私の所有する石は、柴刈さんからゆずっていただいたものです 柴刈さんの足寄工房のホームページのリンクを貼っておきます http://www.geocities.jp/blood_obsidian/sibakari/sibakari.html 玲瓏黒曜石の産地では、ヒグマのような大型の野生動物とのニアミスも 決して珍しいことではありません ですから採集の時には、必ずこの4匹の雌犬たちを連れて行きます この子達との深い絆があってこそ、無事に原石を採集することができます とあるように、大変な思いをして収集なされたものなわけです なお「花十勝」「紅十勝」あるいは「置戸銀」はそのままで観賞できますが 「玲瓏」は、光をあてないとその美しさがあまり現れません 石によって、部屋の蛍光灯でも美しい模様がわりと確認できるものと 黒くてほとんどわからないものがあります なので「玲瓏」はペンライトをあてて撮影しています フラッシュは使っていませんが かなり青味がつよく映ってしまい、画像の修正もうまくいきません 基本、青は、薄紫です なので、写真は参考程度とお考えください だいたいこういう石だと理解してもらえばよいと思います クリックすると写真が拡大表示されます 玲瓏 横9.5×高さ6×奥5 290g この石は、私の所有する玲瓏で別格の美しさをもちます 写真ではほしんど出ていませんが 上と下に緑のラインがくっきりと表れています 蛍光灯の光でもわりと模様が浮かびます 横9×高さ8×奥3.5 426g 他の石は、青でなく薄紫ですが この石は、青と言ってもいいほどの青紫です 蛍光灯の光でもその美しさは確認できます 最初の石に次いでお気に入りです 茶金 横8×高さ7.5×奥4.5 432g 上の写真はライトを当てて撮影していますが 蛍光灯でもその美しさは確認できます 大変、美しい石です 置戸銀 横14×高さ11.5×奥.5 1075g 光を当てないで撮影 写真上を底にして立てることが可能ですが 鏡のような石に 周囲、撮影者(自分)が映り込んでしまうので撮影を断念しました 置戸銀の原石 横6.5×高さ6.5×奥4.5 224g 紅十勝・花十勝 (白滝産) 横13.5×高さ11×奥6 978g カブトビール、バンビキャラメル、リスカレーなどのホウロー看板が 映り込んでいますが、私は骨董商ではありません こちらも趣味で集めたものです 白滝の球果流紋岩 (天然記念物) 横13×高さ(台込)8×奥8 572g 球果の色は実際にはもう少し黄色いです この石は指定以前に採集されたものを 北海道の水石業者 一選堂の相内さんからいただきました を通じて入手したものです なんと7万もしました なんでも天然記念物は数あれど この石こそ本当に門外不出とのことでした 北海道の天然記念物の資料によると 湧別川上流の左股沢沿い約100メートルにわたって 露出している流紋岩球顆は 流紋岩質黒曜岩中に晶出した球顆が、その岩体の下層に集積して 大型の球顆のみで厚層を形成したもので その最上部の黒曜岩は 標高1147メートルのほぼ平坦な尾根を形成しています この部分の球顆は最大径15センチメートル 平均5センチメートルの球状で その断面は同心円構造を示しています おそらく黒曜岩熔融体の下層ほど岩体の冷却は遅く 多数の大型の球顆を晶出し また上層に発育した球顆は次第に沈降し その途中も成長を続け大型になって下部に集積したものと考えられます 流紋岩体中の球顆構造は わが国の他の地域にもしばしば見られますが この岩のように大型の球顆だけが 集合したすばらしい例は少ないものです とあります 白滝の黒曜石 転写
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