緋山酔恭「山水石美術館」 水石・美石を紹介 佐渡 雷光石、青玉石


佐渡 雷光石




雷光石は、佐渡の碧玉(通称 青玉石)と同様

猿八という場所の山に産出する青玉系統の石です


現在ただ一人、佐渡で、原石から仕上げまでする

石磨き職人 高野さんのお話だと

先代(高野さんの父)の時代に発見され

みんなで名前をどうするかということになり

黄色の稲妻のような線が入ることから雷光石と命名されたとのことです



島津光夫著 佐渡の赤玉 (佐渡名石協会発行)によると


佐渡に産する赤玉は碧玉(ジャスパー)に微細な赤鉄鉱がはいっているもので

黄玉は褐鉄鉱を含むものである

青玉は淡緑色の粘土鉱物(セラドナイトまたはセリサイド)を含むものである

と書かれていて

雷光石は、青玉に赤玉が混じったもののようです



高野さんによると

青玉と呼ばれている佐渡の猿八産の碧玉は

赤玉に比べ、多少軟らかく

やはり佐渡と言ったら人気は「赤玉」

とのことでしたが

雷光も赤いや黄色い部分が硬く、青がやや軟らかいので

艶を出すのがやや手間のいる石とのことでした






クリックすると写真が拡大表示されます






横23×高さ(台込)21×奥9.5  およそ5㎏




赤は少ないですが、稲妻がはっきりしていて

これぞ「雷光」という石です


高野さんからいただきました



白い斑点は

小さな巣穴に石灰質?が埋まったような感じで

これが雷光の欠点でもあり

雷光石であることの証明ともなります












横8×高さ11.5×奥2.5  247g

原石


小品ですが五色












横27.5×高さ(台込)22×奥11.5  7㎏弱




黄色の稲妻は少ないですが

赤の混じりが多く、とても美しい雷光石です


高野さんからいただきました











現在、宝石磨きに出している雷光です

9.5㎏あります



宝石磨きを、最初に打診したのは

白山紋石庵の山下さんでしたが

ハイラップ(宝石磨き手前)までしかしていないそうなのです


かつては宝石磨き(セラミカ)もしていたそうなのですが・・・


宝石磨き手前までできているので

簡単なのかと思いきや

セラミカで磨くというのは大変な作業らしいのです

ちょっとでも傷がつくと、最初からやり直さなければならなかったりするらしいのです



そこで次に、天然石大好きさんにおたずねしたところ

最近、石から興味が離れていて

石展があると、しょうがないから磨きはじめる状態らしいのです


それと、宝石磨き手前から、ピカピカの状態にするのが

石を仕上げるのに一番大変な作業で

労力の10割うち、8割は、そこに費やされるというのです

ちょっとびっくりでした



なのでさらに、七里さんに頼んだところ

セラミカの磨きなら

満天菊の河合さん(七里さんが菊花石の磨きや作台を依頼している)

もするし

七里さん自身もしているとのことでした


期限なしなら大丈夫ということでした


なお、七里さんのお話では

ハイラップから、ラセミカのあいだに、まだ3工程の磨き

セラミカを入れて4工程もあるらしいのです




それからこの石は

茨城県結城市の水石業者 株木さんよりいただきました


株木さんによると

第一回の美石のブームのあと(東京オリンピックのあと)

群馬県の藤岡市に10軒ほど、石を磨く磨き屋さんができたそうです


株木さんは、骨董と石の市場をしているので

藤岡の磨き屋さんは、自ら原石を仕入れ、磨いたものを

市場にもちこんできたといいます


30㎏もあるような石を、20個、30個と積んで

もちこんできたといいます


それがみんな売れてしまうほど

すごい勢いだったそうです



2度目の美石ブームは、バブルのとき

昭和の終わりから、平成の初めにかけてだそうです



ところがバブル期のあと

市場にもちこんでも

値段がつかなくなり、原価を割り込むようになって

藤岡の磨き屋さんがみんなやめてしまったといいます


なので、株木さんの知る人で

磨きをしてくれる人がいなくなってしまった

ということでした



また、株木さんもご高齢で

新しい磨き屋さんを探す

というほどまでのことはできなくなってきた

というのもあるかと思います










磨き完成





横27.5×高さ(台込)24.5×奥16  10㎏弱




結局、キズをとるのに最初から磨き直したそうです


雷光は、黄色の稲妻ものが多く

赤の稲妻はなかなかないです

この石は両方の稲妻が入っています














それから「嵐渓石」で詳しく書きましたが

私が石をはじめたのが

20代の後半で

いまが50代後半なので

30年経ちますが


当初から、この写真の石にずっと憧れを抱いてきました




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昭和40年刊行の木耳社「水石」 村田慶司にみられる

佐渡五色石です





それからずっと気にしていましたが

このような石はみることがありませんでした


以前

現在ただ一人、佐渡で、原石から仕上げまでする

石磨き職人の高野さんに

この写真を送って聞いてみたところ


「佐渡五色」ではなく

「羽茂(はもち)五色」である

とのことです


「おそらく、底には、べったりと黄色が入っているはずだ」

とも言っておられました




しかし、本の石は、雷光です

今回、磨きが完成した石をみて

やっとわかりました

(写真だと、実物よりよく写してあるのでわかりにくい)






彩度をあげれば、こんな写真になります



それと、色彩もさることながら

もう一つの根拠として

本の石をよく見ると、雷光の特徴である

細かい巣穴が、みてとれます










すごい雷光石



埼玉県の収集家 渡渡邊聡さんが

見事な雷光石の写真を送ってくださいました


渡邊さんは緋山より3つ年齢が先輩で

お父様が大変な美石、水石の収集家だったそうです


お父様は、埼玉県草加市のワタナベと伝えると

石関係の店主で知らない人はいないほど

名を馳せておられたそうです


佐渡の錦紅石なんかも100キロ相当のものを含め

相当数所有していたそうです




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この雷光は、渡邊さんのもとから

とあるお金持ち方のもとへいったらしいです


写真ではなんとも言えないところもあります

( 実際よりずっと鮮やかに撮られていたり

また、白っぱい部分は、光ってそう見えるのか、実際に白っぱいのかとか

また、かなり変化をつけて磨いたように見えるけど、ジャスパーや翡翠は硬い石なので

そこまで変化をつけて磨くことはないと思えるし、光の影でそう見えているのかとか

ちなみに翡翠やジャスパーもダイヤモンドの刃で磨くわけですから

変化はつけられますが、硬い分だけキズをとるのが大変な作業となると聞きます )


なので日本一かといえば、なんとも言えないところもありますが

最高峰の雷光には間違えないかと思います



なお、写真では、左の中腹あたりの緑がメノウ化しているように見えます



それから、渡邊さんによると

このお金持ちの方には、雷光の他、前述の100キロ相当の錦紅石

岐阜孔雀石・菊花石・水石など・・・かなりの数が行ったということで

雷光の他に、携帯に残っていた石の画像もいただきましたので

紹介させていただきます



以下、クリックすると拡大表示されます


サバ菊  抜けサバと立ちサバ(牙)の両方の部分が見られます




サバ菊  母岩に赤が混じっているのがいいです



根尾の孔雀石  景色がいいです アタマの赤がにくい

収集なされたお父様のセンスのよさを感じます




そして、お父様が亡くなられたのを機に、社長さんのもとへ

旅立たれた100キロ相当のという錦紅石がこれです






こちらもすごい石です




それから、お父様は、外国産の美石も収集なされていた

ということで、形見の石の画像をいただきました



なかなか見ることのない石なので、紹介させていただきます

クリックすると拡大表示されます


コロンビア原産 孔雀レースメノウ 横38センチ、9.6キロ


少しグロテスクなので、好みが分かれる石ですが

すごいことはすごい!!




コロンビア原産 孔雀レースメノウ 縦41センチ、8.8キロ

こちらもみごと、完璧な石です




あと、渡邊さんから日本一クラスの只見錦紅石の画像もいただきました

https://ishitetu.sakura.ne.jp/
aizukinkou.html










佐渡 猿八の碧玉

(通称 青玉石)




島津光夫著 佐渡の赤玉 (佐渡名石協会発行)によると

猿八の碧玉および雷光石は、マグマが急激に冷えて固まった

流紋岩そのもののようです

雷光石の流れ模様は、流紋岩のそれだと書いてあります



なお、流紋岩は

石英と、ナトリウム・カリウムを多くふくんだ長石がおもな成分で

このほか、少量の角閃石・黒雲母などをふくむ

火山岩(マグマが急激に冷えて固まった岩石)です




弥生時代にすでに玉造りがなされたようですが

本格的な採取は山奥での重機の使用が可能となった

昭和30年代末だといいます




それと、赤玉、黄玉、青玉という名称は、水石の専門家によってつけられたもので

むろん学術的な用語ではありません


高野さんによると、佐渡の石の加工業者の間で言われてきた

「青玉」とはジャスパー(碧玉)ではなく

球形にした赤玉石をすえるための

石の台に用いられるずっと軟らかい石をさしてきたそうです





なお、青(緑)のジャスパーとしては

佐渡の青玉、出雲メノウ(花仙山のジャスパー)、土岐石の碧玉

がよく知られています


このうち土岐石は、ウッディージャスパーであり

磨かずにそのまま観賞するので別物とすると


佐渡の青玉は、硬さ、色味ともに落ちます


出雲メノウ(花仙山のジャスパー)のいいものは

硬度、色 それなりにはいいですが

巣穴が多いという欠点を持ちます


また、佐渡の青玉と同様、猿八で採れる 雷光石も

ジャスパーとしては軟らかく

おまけに巣穴だらけの石です


なので日本一の青系のジャスパーとなると

北海道の興部(おこっぺ)のジャスパーでしょう







佐渡のジャスパーの産地







横26.5×高さ(台込)14.5×奥8  3.5㎏弱


























虎縞模様のあるたいへん珍しい青玉


高野さんからいただきました













青玉は緑の濃いほうが評価がつきます











横27×高さ(台込)15×奥10.5  3.5㎏弱




佐渡の大澤商会さんからいただきました











横13.5×高さ17.5×奥11  2546g

原石











横28×高さ26×奥10  およそ8㎏












自然風 仕上げ


観賞石の仕上げには

まる磨き、樽磨き(バレル研磨)

吹き付け(サンドブラスト加工)、酸焼き があります


この石は、赤玉よりも

細かい石(砂)まで樽をかけたのだと思います












横47×高さ(台込)15×奥11  6.76㎏(台込)



























月水苑 (信濃美術石博物館)さんより購入しました







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