緋山酔恭の「山水石美術館」 硬玉、軟玉でもない第三の翡翠 日高翡翠


日高翡翠



日高翡翠は、昭和39年(1964)に

函館市在住の資産家、久保内貫一氏が

日高山脈には緑の石が多いから

「ここには必ず翡翠がある」と考え

日高町在住の村上晃氏に翡翠を見つけるよう

要請したことに始まるとされます



2年後の1966年、日高町の

千露呂川(ちろろがわ・沙流川の支流)の支流

ペンケユクトラシナイ沢に翡翠様の石が発見されました


折しも来日中のアメリカ地質調査所のコールマン博士と

北海道大学の八木健三博士とが問題の露頭を見て

「軟玉ひすい発見」という記事を北海道新聞に寄稿したといいます



翡翠には、ヒスイ輝石からなる硬玉(ジェダイト)と

角閃石からなる軟玉(ネフライト)がありますが

その後の研究で、日高翡翠は、クロム透輝石からなり

本来の翡翠ではないことが明らかになりました


日高翡翠は、クロムを1%程度含むクロム透輝石を主体に

種々の鉱物が緻密な構造を成す「クロム透輝石岩」だそうです




ただ、翡翠のように織物状の構造をしていて

強靭でいろいろな細工に耐えうること

透明感や緑の美しさが翡翠と遜色ないことから


1980年、日本宝石学会誌に

「北海道千栄産クロム透輝石ヒスイ」と公表され

国際的に第3の翡翠として公認されることとなったとそうです





「橄欖岩」(かんらんがん)から「蛇紋岩」に変質するときに

放出されたカルシウム成分を


周りの石か取り込むとで

「ロジン岩」(ロディン岩)が生まれます



蛇紋岩が、ロジン岩を形成し

ロジン岩が日高翡翠形成に

大きな役割を果たしていると考えられているそうです



なお、ロジン岩は、透輝石、単斜灰簾石

ぶどう石からなる岩石で

色が白く、きらきらの結晶がみられるので

翡翠と非常に紛らわしいといいます


比重も3以上あるため、比重測定では

翡翠とロジン岩の区別は困難とされます


〔ジェダイトの比重は3.2~3.5

誤差を考えると

3以上ならジェダイトの可能性大とされる〕


但し、ロジ岩は振動に弱く、たやすく割れるそうです



また、糸魚川の透輝石は薄緑色で透き通っていて

他の鉱物と共存しロジン岩と呼ばれる岩石の

構成鉱物になっているそうです




日高翡翠は、装飾品用に加工されるなどして

昭和40~50年代に広く販売されたといいます


但し、日高翡翠の原石自体は

発見から3年ほどで採掘し尽くされたようです


また高品位の日高翡翠は、取りつくされたとされていますが

今でも日高の町を流れる沙流川では

まれに拾える事があるようです





15年以上前に、日高の水石業者 貝澤さんよりいただいた画像

日高翡翠の最高の質で

先代が採取したものとのことでした




クリックすると拡大表示されます




ラベンダーっぽい色の入った日高翡翠もありました



クリックすると拡大表示されます









これは日高翡翠の細工物で

香炉と言っていたかと思います





クリックすると写真が拡大表示されます





横10×高さ6.5×奥8  856g




この石は、亡くなられた一選堂(旭川の水石業者)の相内さんに

下の石と一緒にいただきました


見るからに、透明感を感じさせるる石です











横26×高さ16×奥18.5  およそ10.5㎏










この石は、亡くなられた一選堂(旭川の水石業者)の相内さんに

日高翡翠を収集している人にあたってもらい入手した石なので

間違えない日高だと思います



川ズレのウブ石です


今となっては記憶が曖昧ですが

その収集家は、女性だと言っていたとように思います




近年(といっても10年くらい前から)、ヤフオクやメルカリに

わりとよく日高翡翠が出品されるようになっていますが


以前は、相内さんがたまに出品するくらいで

あとは、破片のような石しか見なかったのです





そこで、地元 日高の貝沢さんにも聞いてみたところ

前述した石の画像をいただきました







しかし
どっちも「日高翡翠だ」と言われても

全く違う石に見えて

日高翡翠の全容がつかめず訳わからなかったのです




また、当時から、日高翡翠博物館の画像は

ネットにあがっていました



この北海道博物館協会 学芸職員部会

https://www.hk-curators.jp/archives/1278

記事と写真がそうです





ただこの写真と、貝沢さんが送ってくださった

2石の画像との接点が分からず

やはり「日高翡翠ってなんなんだ」という状態でした






一方、この写真からは

「日高翡翠は、黒いツブが入るんだ」

と理解したりしました






相内さんからきたこの石は、黒いツブが見られ

容易に日高と判断できます






しかし、これも日高だと言われても

「ホントに日高かな?」という疑念を

ぬぐい切れないところがあったのです




また、糸魚川の翡翠は、白が基本です

白が翡翠で、そこに色味の成分が混じって

緑や青の色がでています


なので、この石の白い部分が翡翠で

深緑の部分は、蛇紋岩なのだろうか?

でも、この石の白い部分って、そんなに硬くなさそうだけど?

と思ったりしていたわけです


なにしろ日高の全容を知らないので

訳わからない状態のままでした




本石が日高翡翠と確信が持てたのは

最近、入手したこの石によります





のちに入手した100%日高翡翠の石と

白い部分の質が全く一緒なので

本石も日高翡翠であることは確信したわけです


要するに白い部分は、翡翠ではなく皮目だったのです




さらに、金沢市の鉱物標本店 石の華さんの

ようこそ石の華へ 鉱物の部屋へのいざない

https://blog.goo.ne.jp/ishihana427/e/f70657
f82a941990a5bf0fb797452324?fm=entry_awp


というブログにこうあります


【 私はどちらかと言うと翡翠は苦手な石です

それは肉眼的にわかり易い結晶が無く、鉱物と言うよりも岩石だからです

翡翠には硬玉(ジェダイト)と軟玉(ネフライト)がありますが

日高翡翠は翡翠輝石ではなくクロム透輝石からなる岩石で

第三の翡翠と認定されています

(翡翠はややこしい石です。例えば、インド翡翠はアベンチュリンですし

長崎翡翠はニッケル菱苦土石です

それから、似たような石が多く、肉眼鑑定が難しい石です)

ただ、今回の日高翡翠には興味深い模様が付いており、面白いと思いました 】






10年来、「この石、ホントに日高翡翠かな?」という

疑問を持ち続けていましたが

本石も、白い脈線が複雑に幾重にも折り重なる

模様を有しています




石の華さんのおかげで

間違えなく日高翡翠というのが分かりました




さらに、埼玉県の児玉郡神川町で

庭石とかを販売なされている

61STONEさんがヤフオクに出している

この石によって、日高翡翠の全容をようやく

知ることができました





この石はすごいです!!

日高の全部の特徴を示しています


また、全体としての景色も抜群によいです

しかも、160キロ超えで、32万円 めちゃくちゃ安い

ただ、大きすぎて置くことができません












以下の石も

61STONEさんがヤフオクに出している

すごい日高(磨き)です

88㎏あるようです









61STONEさんのこうした石によって

日高翡翠には宝石質の部分と

脈線が複雑に幾重にも折り重なる部分とがあって

大きな岩石を成立させていることが

はっきりと知るに至りました












21×18.5×10.5  5.1㎏











この石は、ヤフオクで落札しました


商品説明に

日高ヒスイの透過部分が映える美しい個体になります

50年以上前に僅か数年で枯渇した貴重な鉱物です

宝石質の原石としての一般的な流通はほぼないです

透過の多い部分をを3000番まで磨いておりますので

鑑賞石と標本としてそのままお楽しみいただけます

とありました




緋山が、相内さんより日高翡翠を入手してから

何年も経ってから

突然、地元の愛石家の方が、ヤフオクに

日高を放出しはじめました


当時は、日高の大きさのあるものが

ほとんど出てくることはなかったので

こぞって入札した感じがありました












この写真の上は磨いていない


23.5×11×9  2948g




この写真の左は磨いてある





この写真の上は磨いていない



1つ前の石と同じ出品者より

ヤフオクを通していただきました










商品説明に

日高ヒスイの鮮やかな緑色と模様が美しい個体になります


透過性はあまり高くありませんが

日高翡翠独特の模様と鮮緑が際立つ

鑑賞石としては一級品だと思います

とありました




この石によって

全容は分からないものの

日高翡翠には、宝石質の部分と

脈線部分があるのだな

という理解を得たわけです












横26×高さ16.5×奥16  9.8㎏
















ヤフオクを通して地元の方より入手

お気に入りの日高翡翠です

水で濡らすととても綺麗です



乾いた状態




乾いた状態



5年くらい石の趣味から離れていましたが

戻ってきて、ヤフオクで検索してみたらよさげな日高を見つけました






アカウントから、前の2つの石とは

別の地元の愛石家が放出したと思われます


近年では、日高が出回りすぎたのか

10㎏級のめちゃくちゃ綺麗な石で、この値段で落札できました




なお、石友さんも、同日ほぼ同時刻に

同じ出品者のこの石を落札しています




この石友さんと、これらの石について話をしたとき

「61STONEさんが日高の出品をはじめたけど

新たな鉱脈が発見されたのでしょうか?」

という情報を伝えてくれたので


前述の石にたどりつき




ようやく日高の全容を理解するに至ったわけです




お、日高山系十勝地方一帯は2024年夏頃

国立公園に指定されるので今後は、採取は難しくなるようです


というか

重機をつかって、大きな石を採取するなんてことは

昭和の時代ならともかく、できなくなっているはずなので

こうした石は、地元の方か

あるいは別の石屋さんがもっていたものを

入手なされたのではないかと思われます











立てて飾るのが一番よく見えますが

自立しません



壁に立てかける必要があります




台座を付けて、立てて飾るには

下を結構、カットする必要があるので

このまま立てかけて飾るしかないのかな?





41.5×26×11  13㎏







これだと自立します

ただ、写真では分かりにくいですが

かなり前かがみになっています


なので高い場所に置く必要があります




これは自立していません

ただ小石程度をかませれば、この状態になります





唯一、これが自立します





やはり、この石は立てて飾りたいですね

ちょっと母岩を見せる感じで




61STONEさんがヤフオクに出品した

その日に、即決で落としました






商品説明に

表だけダイヤモンド磨きでピカピカです

令和6年12月4日に仕上がりました

とありました



磨き上げたばかりの石をいただいたわけです


この52㎏で50万の石も同日に仕上げており

兄弟の石であることがわかります



クリックすると拡大表示されます



購入した石は

わりとアップルグリーンに近い部分が入っているばかりでなく

鮮やかな緑、濃い緑、青緑といった

様々な緑が混じりあって、素敵な景色となっています


この大きさで、これだけの表現を示している

日高は、なかなかないな という判断で落札しました



鑑賞石の場合

勾玉とかに加工するのとは違って

どれだけ加工できる宝石質の部分が多いかではなく

全体として景色ができているか

また、景色に味わいがあるかが問題となります





2024年の12/26日、61STONEの秋山さんに挨拶に行ってきました

(年明けに切ってもらいたい石があったので)

ご主人さん、お若い方です

展示してある石も観てきました



緋山が買ったのは52㎏の写真の裏になるそうです



裏 側



クリックすると拡大表示されます



なお、50㎏のこの石は、緋山の買ったものより数段上です


まず、緋山は色が面白く混じった石が一番好きなのですが

日高では50㎏という大きさがなくては、表現しきれない混じりの面白さがある

のを知りました


それと



表側のこの部分がめっちゃ質がいいです


要は、とくに表は全体として質がよい部分の割合が多いのです


余談ですが、他の石がもっとぜんぜんでかいので

この50㎏の石が小さく見えました (((・・;)



それから、石友のKさんからは

「最近、61STONEさんが日高翡翠をヤフオクに出しているけど

新たな鉱脈が見つかったのでしょうか?」

という話もあり聞いてみましたが

北海道の業者さんから引き取られたとのことでした

最後の(市場に出回るという意味で最後ということだと思います)

日高翡翠とのことです







三協さんによる台座が完成




横265×高さ(台込)42×奥11  13㎏





















別格 脈線の日高翡翠







33.5×20×10.5  11.5㎏

















札幌市の収集家の方から

メルカリを通して購入しました






沙流川(さるがわ)の支流 千露呂川(ちろろがわ)、その支流

ペンケユクトラシナイ沢の石ではなく


40年ほど前に、沙流川の支流 仁世宇川(におうがわ)で

転石(川ずれというか谷ずれだと思います)

として採取されたものだそうです





おまけの石をいただいきました






裏 側

おまけなので、116gのマメ石です


この石は、最初に発見された鉱脈である

沙流川(さるがわ)の支流 千露呂川(ちろろがわ)、その支流

ペンケユクトラシナイ沢の石

とのことでした




七里さんに台座を作ってもらいました


材は、ブラックウォールナットだそうです

調べると、ブラックウォールナットは、北米を代表するクルミ科の落葉広葉樹で

世界三大銘木の一つに数えられる高級木材とあります
























43×23×15  18.6kg





ヤフオクで、黒沢ストーンさん(埼玉県の石専門の業者さんのようです)から

3万5千円スタート、5万円の即決で出品されていて、即決で落としました









商品説明にこうありました

【 産地:北海道日高町(日高地区)やその周りの地域

1966年に北海道日高町で翡翠が見つかったと話題になりました

正確には翡翠ではなく、クロム透輝石の一種であり

クロムを1%ほど含有することにより淡い緑色を発色しています

日本で翡翠として主に扱われるジェダイト(硬玉)でも、ネフライト(軟玉)でもなく

しかしヒスイの特徴である織物状の構造をしていることや

色目や透明感などが翡翠に遜色ないことが認められ

番場猛夫博士(当時地質調査所)が、宝石学会誌に論文を公表したことにより

硬玉、軟玉に次ぐ「第三の翡翠」として世界で認められました

しかし、すぐに資源は枯渇した上に流通量は少なく、非常に貴重な鉱物と言えます

今後さらに希少価値が増すと思われ、さらには「幻の翡翠」として

鉱物マニアの注目を浴びることは必至です

他の成分としては、黒い斑点がスピネル、灰クロム拓榴石や

ペクトライトなどの角閃石類を確認することが出来る個体もあります 】



じつ3万5千円って、めちゃくちゃ安いです

5万円でも超良心的な価格です

さすがに、誰かに即決で落とされそうに思えたので

その前に落としたわけです



現在、七里さんのもとに送って、磨き、台座を御願いしています






18㎏を超える大物なので

左1/3を切り落としてもらって、立てて飾ろうと考えていたところ

実物は、左部分も汚れているだけで、質がすごくよいのです


なのでどのように仕立ててもらうか

年明け七里さんと相談しつつすすめていきます





七里さんによる磨きと台座が完成





縦に台座をつける選択肢もありましたが

これだけ反っているので

その場合、だいぶカットする必要があるそうです




また、景色も横で飾った方がよかったので

以下のようになりました






横48×高さ(台込)23×奥13  およそ18㎏




材は、ブラックウォールナット

















磨きだけで5万かかりました (台座は含まない)

硬質なのでダイヤモンドカッターの刃が使い切ってしまうそうです





七里さんの音声 衝撃の真実
日高翡翠は糸魚川の翡翠
よりもずっと硬かった












横24×高さ(台込)27.5×奥16  およそ16㎏


















磨かれた正面が下、左は底



磨かれた正面が上、左は底








この日高は、前回、極上 脈線の翡翠をいただいた

札幌市の翡翠愛好家の増子さんより



メルカリを通していただきました


【 約40年前日高ヒスイ鉱床の採堀業者からの購入品です

産地は北海道日高町千呂露川支流

ペンケユクトラシナイ川上流です。チロロの巨石がある地域


石質は大規模鉱床の破砕石のため

石面は風化は少なく新鮮な状態で保存されています 】

とありました



.メルカリ写真













本来、磨いてある方が表ですが

裏の色彩が抜群によいことから購入しました



きっかけとなったのは、軟玉と考えられてきた日高ですが

実際に磨た七里さんが

「糸魚川よりも日高の方が全然硬い」

「日高翡翠は、鬼のように硬い」と言っていたことです


硬いということはそれだけ≪質がいい≫ということです

ダイヤも硬さがあるから、磨くとあれだけ輝くわけです



仮に、これだけのレベルを糸魚川の翡翠を購入するとなると

何百万の話でしょう


ところが、日高の質の良さに気づいている人が

ほとんどいないので、今なら

日高は、この値段で買えるわけです




それと糸魚川の翡翠は

磨いてしまうと、ミャンマーかもしれない

という疑いがどうしても残ります


これは、翡翠(ジェダイト)が、日本固有の石ではないからですが

日高は、間違えなく≪日高≫と言える石です












10×17×4  1684g












上の石のおまけでもらいました

めっちゃ緑が濃くて、素敵です



おまけの石は、この石から切り取られたそうです



23キロ  沙流川の支流 仁世宇川(におうがわ)産




他にも、日高の写真をたくさん送ってくださいました




3.7キロ  水石風  バレル研磨




3キロ  水石風 (舟形石)  バレル研磨




13.5キロ




7キロ




20キロ




4キロ




10キロ




7キロ



















この石が

一番、緑が濃く、質が良いということなので

いただきました











30×18.5×奥14  およそ11㎏












七里さんに、台座を依頼中







 自己紹介
運営者情報



 時間論



 
 









トップページへ