幸太郎石 神居古潭石、千軒石と並ぶ、北海道の名石ですが 良質の石は希少となってきています 北海道の日高山脈のふもと平取町を流れる沙流(さる)川支流 幸太郎沢から採れるそうです 沙流川は、沙流川水系の本流 長さ104km 日高山脈北部の熊見山(標高1,175m)に源を発し 南西に流れ、太平洋に注ぎます 2004年には国土交通省が行っている 全国一級河川の水質調査で1位に選ばれています ![]() 沙流川 ![]() ![]() 熊見山の位置 日高山脈最高峰の幌尻岳(2052m)は100名山 カムイエクウチカウシ山(第二位の高峰・1979m)は200名山 です ![]() 幌尻岳 転写 〔アイヌ語でPoro(大きい)・sir(山)の意味〕 ![]() カムイエクウチカウシ山 転写 〔アイヌ語で「熊(神)の転げ落ちる山」の意味〕 幸太郎沢の名称の由来は 戦後、山林の管理を任されていた幸太郎という ヒゲをたくわえたアイヌ人の大男が 沢で拾った良質の石をしょっては里に下り お酒を交換していたのにはじまると言います いつしか、この石を幸太郎石と呼ぶようになり この石の採れる沢を幸太郎沢と呼ぶようになったとされます このように幸太郎石は、比較的歴史の浅い石です 幸太郎の基本は、赤、青、黒 で とりわけ赤が人気があります なお、沙流川の石としては、青虎石もよく知られています クリックすると写真が拡大表示されます 赤幸太郎石 横36×高さ(台込)18×奥26 およそ15.5g この石は、札幌愛石会の相談役の野村さんよりいただきました 野村さんに「赤幸太郎のいい石はありますか?」とたずねると 北海道のいくつかの水石会が集まった合同の展示会に出品した 最高の石があると言います ただ聞くと溜まり石だというので 「できれば山形がいいのだけど」と言うと 野村さんは 「この石はそういう(形がどうこういう)レベルの石ではない」 「こんな幸太郎は他に見ないです」 「おそらく日本一の幸太郎でしょう」 「〇〇さんがしまい込んでずっと誰にもみせなかったのを10年ほど前に入手した」 と話されます 実際、この石が到着してびっくりでした なにしろ硬く、この厚さがあるのにもかかわらず キンキンの質で、弾くと清音を響かせます にもかかわらずこれだけジャグレていて また色調が素晴らしいです 横17.5×高さ14.5×奥8 2163g この石は、北海道の水石業者の今井さんよりいただきました 赤の幸太郎の磨き石ということでした ジャスパーっぽく、質は超硬質です 横20.5×高さ(台なし)13×奥8 1508g ひっくり返して 山形でも観れて これはこれでなかなか面白い景色です この石は、赤とも青とも黒とも言えませんが 系統的には、赤幸太郎です いずれも誰がみても幸太郎の質と色です 幸太郎の茅舎石(くずやいし・家の形を表す石)です 亡くなられた一選堂(旭川の水石業者)の相内さんからいただきました 私は山形一辺倒なので茅舎石にはとんと興味が湧いてきませんが 「1つや2つはもってないとな」と思っていたところ 幸太郎の茅舎石だったのでいただいたわけです 青幸太郎石 横25×高さ12×奥16 およそ4.5㎏ この石は、亡くなられた一選堂(旭川の水石業者)の 相内さんからいただきました 典型的な青の幸太郎で、島形石として観賞できます 横29×高さ8×奥205 およそ4.5㎏ フラッシュなし この石は、超硬質の青で、叩くとキンキン音がします 水をかけた色調もびっくりするほど鮮やかで ひとつ上の石とは、ランクの違いを感じさせます 石の芯なのでしょうか? 景は、左の奥になだらかな山があり 右には薄溜まり、手前には溜まりがあります 遠山石としても、全体を島とみなし島形石としても観賞できます 横29×高さ(台込)13×奥12.5 およそ4㎏ 青の幸太郎は、水に濡らすと、じつに綺麗です この石は、メルカリを通していただきました 出品者さんが他に出しているものを拝見したところ 幸太郎や青虎といった日高の石ばかりであるところから この方は、地元の収集家で 自採石を出品なされたものと思われます 1つ上の芯の石ほどではないにしろ 硬質で、叩くと金属音を発します 横21×高さ(台なし)7.5×奥13.5 2495g 青幸太郎の雪山景です 亡くなられた一選堂(旭川の水石業者)の 相内さんからいただきました オイル? サラダ油が塗ってありましたが この石はそのままのほうがずっとよいです 茄子紺の幸太郎 横14×高さ(台込)9×奥7.5 771g この石は、幸太郎の本場である日高の 水石業者 貝澤さんからいただきました 真黒の幸太郎 横31.5×高さ(台込)6.5×奥14.5 2229g ![]() この石は、島形とみるべきでしょうか・・・ 赤の混じるところがなんとも幸太郎らしいです 札幌愛石会の相談役の野村さんにいただきました 抜けをもつ幸太郎 横21×高さ(台込)10×奥12.5 1564g この石は日高の水石業者で、幸太郎は専門と語る 貝澤さんからいただきました 「怪しそう」(加工を疑える)な部分は感じられますが 長野の月水苑の月水先生のお話では 世に出ている天下の名石の99%以上が多かれ少なかれ手が入っている 自採の石以外、本当にウブなのか証明することは不可能 与十郎石(加工石)の名人 有澤氏などは、全く加工跡を残さなかった ということを思えば 自然石として観賞するのに許容範囲でしょう ロウ引きしてあったので、ロウを落とすと このように、真黒の質に石灰成分?が混じる 幸太郎の特徴があらわれました
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