緋山酔恭「山水石美術館」 日本の美がここにある!! 全国の水石・美石を紹介


日本水石協会は

終わっています







この菊花石は、ニセモノではないにしろ

こんな錆びとクラックが目立ちますね






大きさは9.5㎏
















表面、錆びが気になるし

さらにクラックに注射(接着剤を注入)しただけでなく

完全に割れたのをくっつけあわせたようにも見えます



どんなに肩書をくっつけても

いって15万だな・・・

と思っていましたので気にもとめていませんでした




ところがしばらくして

ヤフオクで菊花石をみてみると

とんでもない値段のものがあるではないか!

とみてみると

この石だったわけです



よくよく画像をみると、左が梨地母岩であるところは面白く

花もよいので

佳石ではありますすが


かといって赤とかピンクでもなく

石を明るく撮影しているので

花が実際どれだけ白いのかも疑問です




肩書の1つ「重要水石」についていうと

お金を払えば登録できるもので

いわば日本水石協会の小遣い稼ぎからくるものです



札幌愛石会の相談役の野村さんなんかは

登録をすすめられても

「お金がかかる」という理由から断っているそうです


断ったという石が1つ、私のもとにきていますが・・・




お金を払えば登録できるということで

普遍妥当性などないことは明々白々ですね



つまり、今回の菊花石について言えば

もっといい菊花石がいくらでもあるのに

なにをもって、この菊花石を

≪重要水石≫とするのか?

という根拠がない ということです



≪重要水石≫などという妥当性のない称号を用いて

会員を集めたり

(会員にならないと重要水石の登録ができない)

小遣い稼ぎをしている時点で

日本水石協会って終わってますよ(笑)





水石家というのは

往々にして

色彩石(佐渡の石など)や紋石(菊花石など)に関する

知識や審美眼は薄いです


なので、骨董商の「水石の大家〇〇氏の遺愛石」

なんていった釣り文句や

「桐箱入り」なんてことに

ひきずられて価値を判断してしいます



もっと石自体の価値に目を向けるべきでしょう


「重要水石」とか「高松宮妃殿下・常陸宮両殿下見間に陳列」とか

石自体の価値に全く関係ないですから・・・






ちなみに翌日、懇意にしている

菊花石専門業者の杉山さんに電話をして聞いてみると


「錆びがあり、継ぎもあり、そんなにいい石ではないけれど

売る方の立場で言うと

肩書の好きな人もいる(とくに宮様の)ので

売値としては、30万+小森宗閑さんの箱3万として

33万が相場でないでしょうか?」


「質問箱の50万というのは、値をつりあげるためのやらせだと

僕は思っているんだけど(笑)」

というお話でした








結局、最終日は1000円しか上がらず、4820000円で終了


クリックすると写真が拡大表示されます



杉山さんのにらんだとおり

50万で買うと言っていたs*u*x***という人は

一度も入札していませんね(笑)





それと、ついでにもう1つ書いてておくと

日本愛石館館長 小森宗閑 の書き込みのある桐箱は

根尾の菊花石業者のあいだで売り買いされているので

宗閑氏の遺愛石とは、無縁である

という可能性もあるのです



それから宗閑さんや

古潭の大家として知られる吉田凡石さんは

石でご飯を食べていたわけで

純粋な趣味人ではありません



凡石さんは、拾った石を

神居水石庵の陶山さんのところに

売りに行っていたそうです


つまり、拾い屋さんです



また彼らは、書が達筆で

自分の石でなくとも依頼されれば、銘をつけ

箱書きや札書きしてあげていたようです


俗な言い方をすればそれで飯を食っていたわけです



なので、宗閑さんの箱書き付きの石

というのはやたらとあります









酸サバ



酸サバとは

叩き花を、酸で焼き

サバ菊(牙菊)にみせたニセの牙菊です



これについて

菊花石研究の第一人者であられ

多くの著者や

菊花石の「聖典」ともいうべきサイト

菊花石物語 http://www.kikkaseki.com/index.html

を発信なされている

石原宜夫氏が


写真集「根尾の菊花石」(2018年初版)で

このように↓述べられています




≪ サバ菊の牙菊などは殆どないのです

あっても、一見さんには分けてくれません

私が始めた頃、酸サバがサバ菊として横行していました

酸で火傷した花と母岩は気持ちが悪くなります

なんでそんな下品な物を造るかと、たずねると、選ぶのは客という返事

地方の百貨店で視力の衰えた高齢者やサバ菊を知らない初心者に売りつけて

欺瞞な菊を散逸させてしまいました


そして、京都の展示会に行くと、酸サバが堂々とサバ菊として展示され

賞までもらっています


毅然たるものが水石の世界にはありません ≫



水石界を牽引してきた各協会

また愛石雑誌

これらのお偉いさんの方々は

猛省すべき点が多いですよ



石原さんもだいぶご高齢とききますが

ご健在でおられて

このような貴重な見解というか事実を書いてくださったことに

心から感謝です





転写


クリックすると写真が拡大表示されます




盆栽と水石を

≪ユネスコの世界文化遺産≫

に登録しようという活動があります


これ自体は

とても素晴らしいことですが

【水石の世界に、毅然たるものがない】

のではお話になりませんよ


その前に、水石界のお偉いさんの方々が

もっと【審美眼】を養うべきはずです




ついでに

「審美眼」について書いておきます


審美眼とは、美を識別したり

見極めたりする能力を言いますが

美に関する判断は、価値判断の1つです



間違えてもらいたくないのは

私は、他人の価値感や美意識

つまり、個人の好みや必要性を

どうのこうの言うほど、人として偉くではないですから・・・



しかし、酸サバを、牙菊(立ちサバ)思い込む

ニセの菊花石を、自然の菊花石と認識する

のは、それ以前の問題です


真偽の判断です




≪審美眼≫とは

本質に対する正しい真偽判断のうえに

価値判断しうる能力、見識といえます




それと重要なことは

≪審美眼≫とは、なにも

客観的な価値(市場価格)にみあった

評価ができるかどうか

というだけのことではないのです


それも1つの大事な要素とは言えますが


客観的な価値というのは

往々にして

パラダイム〔その時代の支配的な考え方や見方・

しがらみやしきたり、あるいは常識や人気といったもの〕

にひきずられていることが多いのです



これに対し

パラダイムという色眼鏡をはずし


自己の確固たる見識=審美眼をもって

誰もが認めていないものに

価値を与える場合だってあるわけです



この場合、他者に認められていない以上

ただの個人的な価値観や美意識

とされてしまいがちですが


単なる個人の必要性や好みと違って

≪真偽判断について客観的に正しい=客観性≫

というゆるぎのない根拠をもつのです



つまり主観ではあるが

その基盤に客観が存在する主観ということです










日本銘宝石保存協会



以前は、同じようなことやっていた

「協会」が別にも存在していたようで

その協会の冊子を入手しました


その名も「日本銘宝石保存協会」です



総長には、元皇族の 梨本徳彦 という人物をかつぎ出し

役員メンバーには

日本愛石館2代目館長 小森宗閑

(小森勝文・宗閑の前は崇石や凡堂と称していた)

も名をつらねています


小森宗閑氏については

揖斐川石Ⅱ に記述








この協会の理念は


≪わが国古来よりの歴史に伝わる由来石や

水石、美石、貴石など逸品ものの名石に対し

銘宝石の価値称号を与えて認定し

日本の国家の財宝として、永遠にその銘宝石を保存するため

日本銘宝石保存協会を発足させるに当たり

(中略)

わが国を代表する斯界(しかい・この分野という意味)の

専門委員による厳重審査の結果

決定された真に価値ある準国宝級の、大自然が生み出した

芸術品・・・・うんちゃらこうちゃら≫

だそうです





この日本銘宝石保存協会では

重要銘宝石や、貴重銘宝石などの称号を与えていたことが判ります








この冊子は

昭和40年代の石のブームも終焉したと思われる

昭和53年(1978年)のものですが

途方もない値段をつけています




クリックすると写真が拡大表示されます



3千300万 1千200万って

いったいどんな石!?

って話ですが




これが3千300万の羽茂五色


大きさが書かれていないので

評価しがたいですが

仮に20㎏として

どんなに高くてみつもっても50万ですね






五色の嵐渓石のウブ 22㎏

〔新潟県三条市の五十嵐川(いからしかわ)産出〕


わたしの所有するこの石のほうが

数段上というか、お話にならないくらい上ですが

送料込みで、2万3千円で買っています(笑)







これが1千200万の孔雀菊花石です


この孔雀菊花に関しては

孔雀をうたうのさえどうかと思います


「いちお、孔雀菊花石」ぐらいなもので

10万でもいらない石です







目録三番目のこのサバ菊は

550万ついています


仮に30センチ程度の大きさなら

杉山さんからいただくとしても

せいぜい30万くらいでしょう







表紙の羽茂と、孔雀菊花の他に

1千万を超えて

別格に高価なのがこの岐阜の孔雀石です

1千800万です




この石については




ワコー菊花石センター  若森孝基

1974年(昭和49) 限定1000部出版

という本にみられます




クリックすると写真が拡大表示されます




横40×高さ30×奥23  かなり大きな石です


但し、大きさがあっても


五城目孔雀石が、ジャスパー系統であるのに対し

岐阜の孔雀石は、大理石(石灰岩)の系統です


日本銘宝石保存協会のついては冊子の写真では

かなり綺麗にみえますが


照り、色の深み、透明感 いずれも

ジャスパー系の五城目孔雀よりにずっと劣ります


また、希少性に関しても五城目よりはるかに下がります




値段をつけるとしたら、ブランド力を考慮に入れても

全国レベルの目からいくと

50万がいいところではないでしょうか




「菊石 孔雀石」の写真で判るように

赤い部分は硬いので、磨いてツヤがでていて

他は質が悪いので、ツヤが出ないわけです




但し、菊花石に限定した収集家というのも多く

そうした人は、菊花石と同じ赤倉山で採れる孔雀石を欲しがります


希少性は、菊花石より、孔雀石のほうがずっとあるので

杉山さんによると「昔は、孔雀石の方が高かった」といいます


しかし、これを考慮しても、80万が、限度でしょう


赤がもっと多く

その赤が写真のとおり鮮やかで

これ以上の孔雀はないというものなら

もっと評価をつけられますが・・・






この冊子の中では

私が一番とみる石です


ほとんどの場合

本の写真は、明るく濃く撮れていますので

実物はどれほどのモノかは判りませんが・・・


570万の羽茂五色です







それから日本銘宝石保存協会は、美石ばかりでなく

水石にもこうして称号を与えていて

この石は128万です







このように

〇〇協会などというものを設立し

石に権威を与え

お金を儲ける


一部の人間が文化的遺産を利用し

特権化して潤う

あまりよくないことですよね(笑)


人間のサガとしてはわかるので

100%は否定はしませんが・・・



なにより一番のバカらしい点は

なんとか協会が

石に与える権威に、普遍妥当性がない

ということです




業者から安く買った石に

≪銘宝石≫ ≪凖国宝級≫などといった称号を与え

ホテルで展示会を催して

金持ち相手に販売する

ボロく儲けられますよ(笑)





ちなみに、日本銘宝保存石協会の冊子の

カラー刷りには

日本の美石の代表である

錦紅石が1つしかのっていません





390万ですが

私から言わせれば ほぼクズ石です


この協会と関係のある佐渡の業者が

おそらくいい錦紅石は売ってしまって

このとき手元にこんな石しかなかったのではないか?

と思われます




小森宗閑というのもこんなとこに名をつらねていた

ということからするとロクなものでない(笑)








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