羽茂五色石 旧佐渡郡羽茂町から産出された石です 昭和39年に国が他の県に先駆けて行った 農地計画の時に出土しました その計画がパイロット計画と言われたことから パイロット石とも呼ばれたといいます 鉱脈が狭くて深く産出量は極めて少なく 東京などの展示会に出展するにあたり 高野さんの先代らによって 「羽茂五色」という名称に統一されたとのことです 佐渡でも色のきれいな物は見る ことはまずお目にかかれないといいます 10年以上前のことですが 佐渡で唯一専門的に石を磨いている 高野さんに 半年、一年かかってもいいから 羽茂のいいのをみつけてきてくれるよう頼んだことがあります 高野さんは、佐渡じゅうの人を知っていて 誰が、錦紅石の原石をもっていて 「あれは磨けばよくなりそうだ」とあたりをつけている というほど、佐渡のことは熟知している方です ところが半年くらい経った頃でしょうか 「羽茂ってないんだね 俺がみつけてもないんだから 錦紅石ならあるんだよ 磨いてよくなるとは100%言えないけど 羽茂がこんなにもないとは思わなかった」 という連絡をもらったことがあります ちなみにパイロット計画は、佐渡特産のおけさ柿の増産計画で おけさ柿は日当たりがいいとよく育つので 山の斜面を削り柿の木用の農地とする計画でした これによって、佐渡の農家は裕福となり 数億をもつ資産家がザラにいるとか・・・ 下の写真の石は、美しさばかりでなく、希少性からも 日本一、いや世界一の石といっても過言ではないでしょう およそ31キロあります 羽茂の鉱脈が狭く、すぐになくなってしまった ということに関連して、以下の話があります 茨城県結城市の水石業者 株木さんは 「美石の産地というのはくどいんだよ」 (産地を特定するのが難しい)といいます 株木さんは、骨董と石の市をしていて 骨董商が、ときおり美石を持ち込んでくるそうですが その石の産地を特定するのに、難儀するというのです 水石というのは、ある川の石なら そのある川でずっと拾えるので、産地の特定がしやすいのに対して 美石というのは、あるとき出回って 鉱脈がなくなると、それっきりなくなってしまうからだそうです かつて、栃木県の茂木市に、ジャスパーが出て 「茂木ジャスパー」の名で、業者のあいだに 流通したことがあったそうです ところが、鉱脈がなくなり 突如、ぱったりでなくなってしまったそうです 「今じゃ、茂木ジャスパーの名すら知る人がいないんじゃないかな」 と言っておられました クリックすると写真が拡大表示されます 横66×高さ(台込)22.5×奥23 およそ31㎏ うちの看板石です トップページで最初に紹介している石です この写真の石は、美しさばかりでなく、希少性からも 日本一、いや世界一の石といっても過言ではないでしょう 佐渡名石協会副会長の市川さんのお店に 看板石としておかれていた当時の写真です 横21.5×高さ(台込)10.5×奥6.5 1575g 佐渡の大澤商会さんからいただきました (オコッペの五色と交換により手放しました) 横16×高さ(台込)25×奥9 およそ4.5㎏ 檸檬色の月が、この石の景色を一層よくしています 右(底)に、写真では判りずらいですが 羽茂特有の青(緑)がみられます この石は、著名な石の収集家 静岡県在住の一刻爺さんこと 田旗さん(故人)のもとに行ってゆずってもらったものです 一刻さんが美石を収集するきっかけになった石で 当時の値段で30万円したとのことでした これくらいのレベルの石だと、なかなかヤフオクなんかには出てきませんし おいそれと手にいれることができる石ではありません 横6.5×高さ(台なし)12.5×奥5.5 565g この石は、たてわきさんから購入しました たてわきさんは、先代が佐渡の石のマニアだったそうで そのコレクションを中心にネットで佐渡の石を販売しているそうです 羽茂五色によらず、五色石の基本が 赤、黄色、緑の三色で さらにそれらの中間色がまじってくるとより色彩がよくなります つまり、三色入っていたら「五色石」と言って さしさわりないのですが この石は、赤、朱色、黄色、緑、白(メノウ)が入るこぶりながら 完全な五色石で、景色もいいです 横18.5×高さ(台込)14.5×奥11.5 およそ3.5㎏ 羽茂五色の特徴の1つが、血の色を思わせる赤です 高野さんによると 発見された当初は この血のような赤のために 嫌われたといいます この石は、佐渡の大澤商会さんからいただきました 大澤商会さんのホームページに看板石として掲載されていたものです 横17.5×高さ(台込)17×奥6.5 2539g 以下、青を強めて撮影 おそらくリサイクルショップからだと思います 緑 赤 紫 黄色系 石 置物 観賞石 インテリア オブジェ 天然石 クオーツ ストーン で、ヤフオクに出ていたものを落札しました 1、出品地域が、新潟県であったこと 2、台座が、高野さんの台座の師匠で 佐渡では名人と呼ばれていた人の作だということ (高野さんによると いい石が出るとみんなこの人のところにもっていって 台座をつけてもらったというお話です) また、底切りされた底を見ると あきらかにジャスパーであること 底に接着剤を注入した跡が見られますが 美石の場合、研磨加工していくうちに割れてしまうことがあるので それを防ぐ意味で、あらかじめ接着剤を注入することは ふつうになされているのでたいした欠点にはなりません 3、ファンシージャスパーの特徴がないこと 4、メノウ化された羽茂の存在を 高野さんから聞いて知っていたこと 以上のことから 「これは、羽茂だな」と思い落札しました 羽茂を知ってかどうか判りませんが50人近くも入札しています これだけ綺麗な石だと、羽茂を知らない 鉱物趣味の人も入札してくるのかもしれません ただ、水石趣味をもつ私からすると ここまでメノウ化すると やや落ち着かない感じはあります それと、ジャスパーがややメノウ化されたぐらいが 一番、いい感じで メノウ化、透明化が進みすぎ、水晶に近づけば近づくほど 安っぽい感じになります 横30×高さ(台なし)34×奥19 24㎏強 この石は、茨城県結城市の水石業者の株木さんからいただきました あと羽茂の場合、黄色は、黄土色から辛子色まで幅がありますが 辛子の場合でも、若干、油腐石(小倉石)より白っぽいというか 明るいというか、黄土色に近い感じが特徴になります 横15×高さ14×奥9.5 2050g ヤフオク出品者の写真 この画像の色が、実際の色に近いです この石は、骨董なんかをおもにヤフオクに出品なさっている 新潟の方から購入しました この石に関しては、ほぼ間違えなく羽茂だと思います これは以前、高道万石堂さんから購入した 産地不詳の石 こっちはたぶん、外国産 ファンシージャスパーだと思います 参考 ファンシージャスパー 羽茂に似た石に、インドとパキスタンの紛争地域で採れる 「ファンシージャスパー」があり、佐渡で普通に売られています 現在ただ一人、佐渡で、原石から仕上げまでする 石磨き職人 高野さんによると 現在は輸入禁止になっているそうですが 輸入禁止になるという話を聞いたときに、原石を大量購入したらしく まだ原石がドラム缶に満杯はあるようです (10年くらい前の話) また、佐渡のお土産屋さんなんかに 客寄せとして置かれている立派な五色石のほとんどが 高野さんが磨いてもっていったファンシーなんだそうです (佐渡の石ではありません) それから 水石ブームは、本当にあったの? を参照していただけるとよいと思いますが 茨城県結城市の水石業者の株木さん に聞いたところによると 日本に、ファンシージャスパーが入ってきたのは かなりふるい(おそらく昭和30年代後半)そうです とくに、バブル期の 第二期の美石のブームのときには ファンシージャスパーを売りまくったといいます ちみみに 株木さんというかたは、業者に卸す業者さんでもあり 水石の世界では、名の知られたかたです もう80歳ちかいかたですが 業者の人みなが、口を揃えて 株木さんの人のよさを語るくらい親切なかたです 羽茂との見分けは ファンシーの場合 1、色彩が、クレヨンを塗ったみたいな感じである 転写 2、羽茂に比べ、透明感がやや落ちる 3、玉やツブの模様が入る 転写 転写 転写 4、色がケバく、上品さに欠ける 5、言葉では表現しずらい感覚的なものですが なんとなく日本的な感じがしない といったところです ただ、羽茂、あるいはファンシーの明確な特徴を具えたものなら 容易に判断がつきますが どっちとも言えないものも存在し そうしたものは、正直、判断がしずらいです 横26×高さ(台込)16×奥12 およそ4.5㎏ この石は、典型的なファンシージャスパーの色彩ですが ジャスパー化した球果流紋岩なのでしょうか? 下が、カラ松の紅葉(黄色)、中腹が、ナナカマドの紅葉(赤) 山頂が、紅葉しないハイマツ(緑) という山の紅葉を表現していますし 気温の低い上の方から 下へと、もみじの紅葉が、進んでいくさまにもみれないこともありません また、羽茂との違いを知る見本ともなるので 高野さんから佐渡の石をまとめて購入したときに、一緒にいただいたものです (現在は、手放しています) 高野さん作 高野さん作 こうした緑の多いものもわりとみかけます 写真では、分かりにくいですが、玉、ツブのつながりです こうした玉やツブのつながりが見られ 緑が主体の石は、ファンシーとみていいかと思われます 昔は、ニセ物を売る = 犯罪 なんて意識は、そんなにはなかったので あきらかにファンシーと思える石が ≪佐渡銘石≫とか、≪佐渡名石細工≫などと称して お土産屋さんなどをからめったやたらと売られていったことが想像できます 写真は転写 (公益のための利用) なので、厳しく言えば 佐渡のブランド価値を下げてきたのは 他でもなく、佐渡の人たちであったと言えるわけです 本来は、佐渡名石協会なんかが、羽茂とファンシーとの違いを明らかにし ファンシーを佐渡の石のように思わせて、販売することを禁止する ことを決めて、各商店に従わせればよかったわけです しかし、石を売ってご飯を食べている人にとっては ご飯を食べるために、売ることがなにより優先されることでもあるし また欲もあるので、仕方なかったのかもしれません
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