緋山酔恭「山水石美術館」 佐渡 小倉石(油腐石)・小倉五色石


佐渡 油腐(ゆぶ)石

〔小倉石〕




小倉という地域の 通称 油腐山より産出する

赤玉に似た石です



他の佐渡の石に比べると歴史が浅く

20年昭和30年代後半の農地整備事業にでてきたといいます


現在は採石禁止になっています



特徴は、からし色の黄に、朱色に近い赤が溶け込むようにまじることです











クリックすると写真が拡大表示されます




横43.5×高さ(台込)22×奥9.5  8㎏弱




現在ただ一人、佐渡で、原石から仕上げまでする石磨き職人 高野さん

よりいただきました
















横25×高さ(台込)37×奥20.5  およそ17.5㎏
























横18×高さ(台込)19.5×奥16  およそ6㎏





この石の産地については

高野さんは「油腐」と考え、先代は「赤玉」と主張したそうで

その話を聞いたとき

「佐渡で一番の専門家でも

なかなか産地の特定が難しいんだな」と知りました



色が朱色で赤玉だとしても

油腐に近い色の赤玉と言えます










小倉五色石



高野さんによると

先代(高野さんの父)の時代

昭和30代後半から昭和40年代はじめに水石ブームがあり

当初、ちょっと色が混じったモノはなんでも「赤玉五色」と称され

あれもこれも「赤玉五色」という状態があったそうです


古い水石の本をみると

羽茂(はもち)五色石も「赤玉五色」として記載されています


その後、【五色】の名称は

「五色メノウ」(岩谷口五色・錦紅石)と

「羽茂五色」にのみに統一され

≪赤玉五色≫という名称は消滅したといいます



しかし現実には、羽茂、錦紅石以外でも

「〇〇五色」と呼んでも誤りとはいえない多色の石も存在するわけです


この石は

先代の高野さんの弟子(高野さんと兄弟弟子)で

佐渡名石協会の副会長の市川さんから

実際に「小倉五色」としていただいています






横25.5×高さ(台込)33×奥16  およそ17.5㎏






















横40×高さ(台込)26×奥20  およそ20㎏




この石は、茨城県結城市の水石業者の株木さんからいただきました


この石の場合、可能性として

「羽茂の五色」

あるいは、インドとパキスタンの紛争地域でとれる

「ファンシージャスパー」も考えられます



まず台座ですが、高野さんの台座作りの師匠で

当時、いい石はみなその人のもとにもっていって

台座を頼んだという方の作です



とはいえ

水石ブームは、本当にあったの?


を参照していただけるとよいと思いますが


茨城県結城市の水石業者の株木さん

に聞いたところによると


日本に、ファンシージャスパーが入ってきたのは

かなりふるい(おそらく昭和30年代後半)そうです


とくに、バブル期の

第二期の美石のブームのときには

ファンシージャスパーを売りまくったといいます



ちみみに

株木さんというかたは、業者に卸す業者さんでもあり

水石の世界では、名の知られたかたです


もう80歳ちかいかたですが

業者の人みなが、口を揃えて

株木さんの人のよさを語るくらい親切なかたです



名人といっても

佐渡産の名石だけにしか、台座をつくらない

なんてことはないはずです


飯を食べていくためには

そんなによくない石の台座もつくったでしょうし


ファンシージャスパーが古くから

日本に入っていたとなると

当然、ファンシージャスパーの台座もつくったはずです


なので、台座は1つの判断材料にしかなりません




ただ、ファンシージャスパーを売りまくった

という株木さんが

「佐渡の石として仕入れた」

というので、まず信じていいと思います


また、羽茂五色石 参考 ファンシージャスパー

を参照していただけるとよいと思いますが

なにより、ファンシージャスパーの特徴がまったくみられません



以下、写真はネットより転写









しかし、ファンシーの場合、青(緑)が多かったり






クレヨンを塗ったような感じで、色彩の分離がきっきりしていて

混じり感に乏しかったり





つぶがみられるなどの特徴がありますが

本石は、どの特徴もなく

佐渡の石には、間違えないかと思います



あとは「油腐」か「羽茂五色」か

ということになりますが

羽茂の場合、黄色は、黄土色から辛子色まで幅がありますが

辛子の場合でも、若干、油腐石(小倉石)より白っぽいというか

明るいというか、黄土色に近い感じです




しかし、油腐にこれだけの五色が出たとも思えないので

やはり羽茂なのかな?










赤主体の油腐





高野さんの話では、油腐の値段は、赤玉の半分だといいます

これは、黄色に赤が溶け込む特徴が

かえって汚く見える部分をつくったり

鮮やかさに欠ける景色をつくることにあるのでしょう


ただ、「油腐でもよい石は高い」といいます


高野さんの作の一級品の油腐を紹介しておきます





















要は、混じり方がめちゃくちゃよいのです

(但し、母岩の黄色がかなり鮮やかに撮れてしまっていると思います)



他に、赤が主体なものもあります









緋山が、高野さんから石を買っていたのが

10年くらいは前ですが

高野さんが送ってくださった写真(見本)のこれらの油腐は

その時(見本の写真がきた時)、すでに全部売れてなかったです


また、あったとしても油腐のいいのって

でかいんですよ

50キロ、100キロ、ふつうにあったりして・・・・



いずれにしても、それ以来、赤の主体の油腐の

10キロから15キロぐらいの石を

ずっと欲しいと思っていましたが

ヤフオクを通して、神奈川県のリサイクルショップからやっと入手でしました


山形とかに、形をつくっていない、ホントに色彩勝負の石です




なお、こういう石を写真にすると影ができたり

石の表面が鏡のようになっているので

撮影者や部屋のモノが石に写り込んだりしますが

違う角度から何枚か写して

総合的に判断できるようなしています


それと、緋山はヤフオクでなされているような

画像処理をして、実物より極端によく見せる

鮮やかな色に見せる

などといったことはしませんが

そのままだと全く違った色彩に写るので

なるべく実物の色に近づけるための加工をします


なので、むしろ実物に近づけるために

撮れた写真よりも色を悪くすることが多いです






横20×高さ(台込)26×奥20  13.2㎏




やや上から











こちらの面は、赤と黄色が互いに溶け込み

朱色を形成するという典型的な油腐の特徴を示しています










リサイクルショップの人の撮影



油腐は、黄玉を主体に

そこに赤が混じってくる石が多く

なかなか赤主体もの自体、ありません


この石は、朱、赤、濃い赤、オレンジ、黄色の

グラデーションの模様をも有し

景色を際立たせています







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